アイリッジ<3917>上期赤字でも問題なし?バイトルトーク急拡大で通期成長は加速?

アイリッジ〈3917〉は、企業向けアプリ開発とAPPBOXを軸に、デジタルマーケティング領域で存在感を高める企業です。
2026年3月期2Qは赤字となりましたが、のれん処理が一巡し、新サービス「バイトルトーク」が前年同期比6.6倍と急成長するなど、本業は明らかに回復基調です。
2030年に売上150億円を掲げる中で、同社がどの位置にいるのか──フィスコ元レポートを基に、現状と成長シナリオを整理します。

目次

2025年11月27日に掲載されたアイリッジ<3917>の企業分析

元レポートは下記の通りです。
アイリッジ<3917>レポートPDF
出典元:FISCO

アイリッジ<3917>2026年3月期中間決算と今後の展望

 2026年3月期中間決算の概要

株式会社アイリッジは、2026年3月期第2四半期の決算を発表しました。
売上高は前年同期比7.4%増と順調に拡大しましたが、調整後営業利益は8,300万円の赤字となりました。
一方、親会社株主に帰属する四半期純利益は6億7,200万円の黒字を確保しており、これは関係会社株式の譲渡益が寄与したものです。

また、ディップ株式会社との共同事業や博報堂との協業による案件が下期以降の売上増加に寄与する見通しです。


 事業セグメント別の動向

アプリビジネス事業

売上高は前年同期比18.8%増と好調を維持しております。
MAU(1回以上/月のアプリ利用ユーザー)も1億ユーザー超の水準で推移し、既存取引先の継続利用やストック型収益の拡大が業績の下支えとなっています。

ビジネスプロデュース事業

大型案件が前倒しで上期に集中した影響により売上は減少しました。
ただし、通期では計画通りの進行が見込まれており、下期に売上が偏重する傾向は例年通りといえます。


ストック型収益の拡大

ストック型収益(ライセンス料等)は前年同期比41.1%増と伸びが顕著でした。
EX-DX(エクスペリエンスDX)領域の開発支援案件が増加しており、継続収益モデルの強化が進んでいます。


 コスト構造と先行投資

原価率は、EX-DX関連ソフトウェアの減価償却費、および採用強化による人件費増加などの先行投資により上昇しています。
中期的には、これらの投資により利益率の改善が期待されています。


従業員数と採用状況

2026年9月末の連結従業員数は254名となり、前期末から22名増加しました。
EX-DXを中心とする事業拡大に向け、引き続き採用を強化する方針です。


新サービス・パートナーシップの進捗

地域体験アプリ「OKITIVE(オキティブ)」

沖縄テレビと協業し、地域企業向けアプリプラットフォームを開発中です。
2026年春のリリースを予定し、2030年までに30社導入を目指します。

 鉄道系アプリ開発の強化

JR西日本の新決済サービス「Wesmo!アプリ」
つくばエクスプレス公式アプリ
など、大型案件が上期にローンチされ、技術力の高さが評価されています。

駐車場サービスの実証実験

LINEを活用した駐車場サービスの実証実験に取り組んでおり、Qoilとの連携によるグループシナジー最大化を目指しています。

 新規事業「Co-Assign(コーアサイン)」

導入社数が順調に増加し、新規事業として高い成長率を維持しています。


 中長期計画と今後の展望

アイリッジは、

2027年3月期:売上高82億円、営業利益5億円以上
2030年3月期:売上高150億円、営業利益15億円

を目標値として掲げています。

今後は、

  • ストック型収益モデルのさらなる拡大

  • M&Aによる事業領域拡大

  • 地域企業との協業強化

  • EX-DX案件の増加

を通じて、テクノロジー企業としての成長を加速させる計画です。

 総括(まとめ)

株式会社アイリッジは、2026年3月期中間決算において売上高は堅調に増加した一方、EX-DX関連ソフトウェアの減価償却費や採用強化に伴う先行投資が影響し、調整後営業利益は赤字となりました。ただし、関係会社株式の譲渡益により純利益は大幅な黒字を確保しています。

事業別では、アプリビジネス事業の高成長とストック型収益の拡大が全体を支えました。
MAU1億超という利用基盤の強さは引き続き競争優位性を維持しており、鉄道系アプリや地域体験アプリなど大型案件の実績も評価ポイントです。

下期は、ディップや博報堂との協業により、開発案件の進捗と売上の積み上げが期待されます。
中長期的には、「Tech & Innovation Partner」としての事業領域拡大と新規事業の育成により、2027年・2030年の数値目標達成に向けた進展が注目されます。


 筆者コメント

アイリッジは、足元では先行投資負担が利益を圧迫していますが、それ以上に「未来の収益源をどれだけ積み増せているか」という観点で評価すべき段階にあると感じます。
特に、ストック型収益が前年同期比41%増と大きく伸びている点は、同社のビジネスの質が中期的に変わりつつあることを示しています。

また、鉄道・金融・流通など、大手企業とのアプリ開発実績が着実に積み上がっており、同社の技術力や信頼性は市場で確立されています。
新規事業「Co-Assign」や地域アプリ「OKITIVE」など、将来の柱となり得るプロジェクトも動き始めているため、今後の成長ドライバーとして注目しています。

投資家としては、短期の利益率よりも「ストック型収益の増加ペース」「EX-DX案件の積み上がり」「先行投資の回収スケジュール」などを注視することで、中長期的な企業価値向上を見極めやすくなると考えています。

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2025年11月18日に掲載されたアイリッジ<3917>の企業分析

元レポートは下記の通りです。
アイリッジ<3917>レポートPDF
出典元:FISCO

アイリッジ〈3917〉企業調査レポート(2025年11月18日掲載)— のれん処理完了後、再成長フェーズへ

1.企業概要

アイリッジ(3917)は、企業向けスマートフォンアプリの企画・開発・運用支援を主軸とし、アプリビジネスプラットフォーム「APPBOX」や、統合マーケティング支援、ビジネスプロデュースを手掛ける企業です。
大手企業のアプリ開発実績を多数持ち、MAU(Monthly Active Users)は累計1億を超える規模に成長しています。

2025年時点では、過去に発生したM&Aに伴うのれんの損失処理に一定の目処がつき、中長期計画達成に向けた準備フェーズから「成長再加速フェーズ」へ移行しつつあります。


2.2026年3月期 第2四半期決算(累計)

指標 実績 前年同期比
売上高 3,096百万円 +7.4%
調整後営業損益 ▲83百万円 99百万円黒字 → 赤字転落
経常損益 ▲92百万円 75百万円黒字 → 赤字転落

※比較数値は、株式譲渡済みのフィンテック事業を除外したベース。

上期は“減収・赤字”となりましたが、例年大型案件が下期に偏重する構造があり、季節要因による影響が大きいとみられます。


3.通期見通し(2026年3月期)

通期の会社予想は据え置き。

指標 会社予想 前期比
売上高 7,200百万円 +7.3%
営業利益 270百万円 +23.2%

フィンテック事業を除くと、
売上高:+18.3%
営業利益:+117.7%

という高成長が期待されています。

■ 新サービス「バイトルトーク」が急拡大

ディップ社と共同開発した新サービス「バイトルトーク」が2Q売上で前年同期比6.6倍(291百万円)と急伸。

下期以降も成長ドライバーとして期待されます。


4.長期目標

アイリッジは、2030年3月期に

  • 売上高 150億円

  • 調整後営業利益 15億円

を掲げています。

APPBOXの機能拡張やパートナー連携、ビジネスプロデュース領域への深化を通じ、事業領域の広がりを見込んでいます。


5.事業概要と強み

■① APPBOXによるアプリ企画・開発支援
  • 300超のアプリ開発実績

  • MAUは1億超

  • 大企業向け高度開発領域に強み

APPBOXは、アプリの戦略策定〜運用・改善まで一貫支援できるプラットフォームで、外部ソリューションとの連携実績も多く、柔軟なカスタマイズが可能です。


■② ビジネスプロデュース事業の拡大

クライアント企業の
「アプリ×データ」活用の戦略策定や、新規サービスの共創など、より上流領域の支援を強化。

2027年3月期を最終年度とする中期計画では、

  • 顧客とのパートナーシップ深化

  • プロダクト×コンサルティングの一体化

を重点テーマに掲げています。


6.中期経営計画と成長戦略

■2027年3月期(中期計画)
  • 売上高:82億円

  • 調整後営業利益:5億円以上
    ※オーガニック成長のみで達成目標

M&Aによる上乗せも今後検討。

■成長戦略の柱
  1. APPBOXの機能拡張とパートナー連携強化

  2. 受託開発から“事業共創型”へシフト

  3. 新規事業とM&Aによる成長の加速

  4. 大手顧客のストック型収益の積み上げ


7.競合比較と株価評価

競合として比較されるヤプリは、

  • 時価総額:約120億円
    に対し、

  • アイリッジ:約39億円(レポート時点)

同様の成長率を維持できれば、

「現在株価の約3倍の評価余地がある」

とするアナリスト見解が示されています。


筆者コメント(TOITOI FINANCE視点)

現在のアイリッジは、「のれん処理完了 → 本業成長回帰」という構図がかなり明確です。
特に「バイトルトーク」の立ち上がり速度を見ると、アプリ×デジタルマーケ領域のプラットフォーム企業として、今後の拡大余地は大きいと感じます。

ヤプリ比較で割安に放置されやすい銘柄ですが、
APPBOXのストック収益化の加速が見えてきたタイミングが再評価ポイントになる
と考えます。

短期的には赤字決算がノイズになりますが、中長期で見れば「成長軌道に乗りつつある企業」として注目に値します。


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2025年05月16日に掲載されたアイリッジ<3917>のレポート要約

元レポートは下記の通りです。
アイリッジ<3917>レポートPDF
出典元:FISCO

株式会社アイリッジの成長戦略と業績の推移

アイリッジの成長戦略

株式会社アイリッジは、2025年3月期の決算説明会を受け、業績の改善と成長計画の進捗が明らかになりました。
FISCOアナリストのコメントによると、2025年3月期は営業利益で黒字転換し、2026年3月期でも利益の再拡大が期待されています。
特にアプリビジネス事業の拡大や資本業務提携に基づく取り組みの進展が好調であり、調整後営業利益の大幅な改善が見られました。
これにより、2027年3月期には調整後営業利益5億円以上が見込まれ、株式市場での評価も上昇する可能性が高まっています。

業績の推移とセグメント分析

2025年3月期の通期決算によると、アイリッジの売上高は前年比で17.4%増の6,708百万円、調整後営業利益は259百万円となりました。
全てのセグメントが増収を達成し、特にアプリビジネス事業が前年比103.3%増という好調な成績を収めました。
さらに、2026年3月期の業績も好調で、売上高は72億円、調整後営業利益は3億円となる見込みです。特別利益の計上も期待されており、成長基調が継続しています。

中期経営計画と将来展望

アイリッジは成長戦略を継続し、新規事業の開発やEX事業、DX事業の成長加速を計画しています。
中期経営計画2027(Tech & Innovation Partner)では、2026年3月期には売上高7,200百万円、調整後営業利益300百万円を目指しています。
さらなる成長が期待される中、アイリッジは市場での注目を集めています。

まとめ

アイリッジ〈3917〉は、スマートフォンアプリの企画・開発・運用支援を中心に、企業のDX推進を支えるプラットフォーム事業を展開するテクノロジー企業です。

2025年3月期決算では、売上高が前年比17.4%増の67億800万円、調整後営業利益は2億5,900万円と黒字転換を果たしました。
特にアプリビジネス事業が前年比103.3%増と好調で、収益成長の主軸となっています。

2026年3月期も堅調な見通しで、売上高72億円・調整後営業利益3億円を予想。
EX事業やDX関連サービスの拡大に加え、資本業務提携先との連携強化による新規案件の獲得が進む見込みです。
特別利益の計上も予定されており、利益率の改善が期待されています。

中期経営計画「Tech & Innovation Partner」では、2027年3月期に調整後営業利益5億円以上を目標に掲げ、企業のDX・EX支援を軸とした持続的な事業拡大を図ります。
安定した顧客基盤と高度な開発力を背景に、成長余地の大きいスマホアプリ市場での存在感をさらに高めていく見通しです。

アイリッジは今後の成長に期待が寄せられる企業として、注目を集めています。


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2025年05月13日に掲載されたアイリッジ<3917>のレポート要約

元レポートは下記の通りです。
アイリッジ<3917>レポートPDF
出典元:FISCO

アイリッジ〈3917〉:スマホアプリ事業を軸に黒字転換、成長軌道へ

企業概要

株式会社アイリッジ(東証グロース市場:3917)は、スマートフォンアプリの企画・開発・運用支援を中心に、アプリビジネスプラットフォーム「APPBOX」を展開するテクノロジー企業です。
同社は「アプリビジネス事業」「ビジネスプロデュース事業」「フィンテック事業」の3領域を主軸とし、幅広い業界の大手企業と取引を拡大。
特に小売・流通、鉄道、金融業界などで強みを発揮し、安定した収益基盤を構築しています。

同社が開発・運用を支援するアプリの月間アクティブユーザー(MAU)は1億人を突破しており、企業の顧客接点強化・DX推進における重要な役割を担っています。


業績動向(2025年3月期)

2025年3月期の連結業績は、売上高67億800万円(前年同期比17.4%増)営業利益2億1,900万円と増収増益を達成。
コロナ禍後のアプリ需要の回復や、大手クライアントとの継続取引の拡大が寄与しました。
積極的な開発投資を維持しつつも、費用効率化が進み、前期の赤字から黒字転換を果たしています。

また、主力のアプリビジネス事業が好調に推移し、特に流通・交通・金融セクターでのアプリ開発受託が増加。APPBOXを活用したサービス拡張が収益性の改善に寄与しました。


今後の展望(2026年3月期見通し)

2026年3月期は、売上高72億円(前期比7.3%増)、営業利益2億7,000万円(同23.2%増)を予想。
既存顧客向けのアップセルと、ディップ株式会社との資本業務提携を通じた新規顧客開拓が見込まれます。
APPBOXの機能拡充や外部パートナー連携の強化によって、アプリビジネス全体のスケール拡大を図る方針です。


成長戦略と中期計画

中期経営計画では、アプリ事業を中心に「デジタル接点の創出支援企業」としての地位を確立することを目標に掲げています。
特に以下の3点を重点戦略としています

  1. APPBOXの高機能化とAPI連携強化によるプラットフォーム収益の最大化

  2. パートナーシップ拡大を通じた新規分野(金融・行政・地域DXなど)への展開

  3. 顧客データ活用支援によるアプリ運用支援サービスの高付加価値化

また、2030年3月期に売上高150億円・営業利益15億円の達成を長期目標として掲げ、持続的な成長へと舵を切っています。


財務・株主還元方針

財務面では、黒字転換を機に自己資本の強化を進めており、開発投資・人材育成・新規事業投資をバランスよく実施。
配当は現時点で未定ながら、今後は安定的な利益成長を背景に株主還元方針の再検討も視野に入れています。


総括

アイリッジ〈3917〉は、スマホアプリの企画・開発・運用支援を軸に、アプリビジネスプラットフォーム「APPBOX」を展開するテクノロジー企業です。
主力事業は「アプリビジネス」「ビジネスプロデュース」「フィンテック」の3分野で構成され、小売・流通、鉄道、金融など幅広い業界で導入が進んでいます。
MAU(アクティブユーザー)は1億人を超え、企業のDX支援パートナーとしての地位を確立しました。

2025年3月期の連結業績は、売上高67億800万円(前期比+17.4%)、営業利益2億1,900万円と黒字転換。既存顧客からの案件拡大に加え、APPBOXを活用したプラットフォーム収益が寄与しました。
2026年3月期も増収増益を見込み、売上高72億円、営業利益2億7,000万円を予想。ディップ株式会社との協業を軸に、新たな顧客層の開拓や機能拡張を進めます。

中期経営計画では、APPBOXの高機能化・パートナーシップ強化・データ活用支援を重点戦略に掲げ、2030年3月期には売上高150億円・営業利益15億円の達成を目指します。
財務基盤の健全化と開発投資の両立を進めながら、長期的な株主価値向上に注力。アプリ市場とフィンテック分野の拡大を背景に、持続的な成長が期待されています。


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