トレンダーズ〈6069〉は、美容・メディカル領域に特化したマーケティング支援企業として、2025年3月期に増収増益を達成。
インフルエンサー活用やトレンド分析を強みに、美容マーケティング事業が業績を牽引しました。
FISCOレポートによると、2026年3月期も大幅な増収増益を見込み、成長基盤の強化を継続。
一方で、キャッシュ・フローや自己資本比率など財務面への注視も必要な局面です。
2025年06月23日に掲載されたトレンダーズ<6069>のレポート要約
元レポートは下記の通りです。
トレンダーズ<6069>レポートPDF
出典元:FISCO
トレンダーズ〈6069〉 企業レポート:現状・戦略・見通しまとめ
1. 会社概要と事業ドメイン
トレンダーズは、主に マーケティング事業 と インベストメント事業 の 2本柱で成長を目指す企業で、特に「美容マーケティング領域」に特化した支援を強みとしています。
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マーケティング事業:美容カテゴリ向けマーケティング支援、SNS/インフルエンサー施策、トレンド分析、メディア運営を含む
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インベストメント事業:成長企業への出資・投資活動などを通じた資産運用・成長追随型の取り組み
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また、メディカルマーケティングや美容医療領域への展開も打ち出しており、クレマンスラボラトリー(美容医療子会社)などを傘下に持ち事業拡張を図っています。
沿革としては、2000年設立、2012年東証マザーズ上場、なでしこ銘柄選定など、女性活躍企業としての評価実績もあります。
2. 業績動向(2025年3月期実績)
トレンダーズは、2025年3月期(=通期)において 増収増益 を達成しています。
主な実績ハイライトは以下の通り:
指標 | 実績 | 前期比 |
---|---|---|
売上高 | 6,191 百万円 | +9.1 % |
営業利益 | 988 百万円 | +25.3 % |
経常利益 | 991 百万円 | +28.1 % |
親会社株主帰属当期純利益 | 600 百万円 | +25.2 % |
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売上の伸びは主に マーケティング事業 の好調によるもの。美容カテゴリの特化戦略が奏功しています。
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また、販管費を抑制する努力や、有価証券売却益などの寄与もあり、利益面での伸びが加速しました。
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インベストメント事業も収益に寄与しており、営業利益面でプラスに働いています。
財務状況にも目を向けると、期末の貸借対照表では資産総額や負債・純資産の変動が見られ、自己資本比率は 51.3 % まで低下したものの、依然として安定性を保つ水準です。
キャッシュ・フロー面では、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナス化しており、投資活動での支出(有価証券取得など)も大きい。
財務活動での借入や株主資本調整などでキャッシュを補填している構図となっています。
3. 事業環境・強みとリスク
強み・競争優位性
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美容マーケティングに特化:業界内で差別化を図る軸として、トレンダーズは美容カテゴリに強くフォーカスしており、ブランドやクリニック、化粧品企業などとの関係性を築いています。
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トレンド感度・データ力:SNS やインフルエンサーを活用したトレンド分析、情報発信力を持っており、生活者インサイトを即座に捉えた提案が可能。
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一気通貫型ソリューション:企画 → 実行 → 効果検証 までのマーケティングソリューションを一連で提供できる体制が強み。
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既存のマイクロインフルエンサー・ネットワーク:約13,000人規模のインフルエンサー基盤を保有し、キャスティング精度・提供力を高めている点。
リスク・課題
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中期経営計画の見直し:2026年期以降の中期経営計画が従来計画より修正されており、メディカルマーケティング分野の収益化遅れや美容カテゴリ外売上の伸び悩みが背景にあります。
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キャッシュ・フロー圧迫:営業活動キャッシュがマイナスである状況や、有価証券の取得投資など資金流出項目が大きいことは資金運用面での注意点。
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自己資本比率の低下:資産拡大や借入れ増加により自己資本比率が下落傾向にある点は、財務健全性の観点でモニタリング要。
4. 今後の見通しと戦略
2026年3月期の業績見通し
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売上高:8,700 百万円(前年比 +40.5 %)
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営業利益:1,300 百万円(前年比 +31.5 %)
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当期純利益:800 百万円(前年比 +33.2 %)
マーケティング事業は引き続き美容カテゴリ注力を続け、インフルエンサー関連売上拡大を見込みます。
一方、インベストメント事業は、投資有価証券売却益の想定が保守的であり、利益への直接寄与は限定的とされています。
中期経営計画の変更
従来の中期目標について見直しがされ、利益目標の修正がなされました。メディカルマーケティング領域への収益確立や、ブランド取引幅拡大、協業強化が軸となる戦略にシフトしています。
また、リアルイベントの企画・運営や EC 運営支援、Shop TikTok 機能対応など、新領域サービスでの展開も公表。
これによりマーケティング施策とリアルプロモーションを融合させたソリューション提供を強化する意図が窺えます。
株主還元・ESG等
レポートではあまり詳細な配当政策は触れられていないものの、財務構造の改善や利益成長を通じた株主還元余地の拡大が期待できるとの見方が示されています。
また、事業展開に際しては女性主体比率、女性活躍企業指標、トレンド感度重視など、社会トレンドと企業理念を連動させた経営姿勢がアピールされており、ESG対応意識も見受けられます。
5. まとめと投資視点
トレンダーズは、美容マーケティングに特化するという明確な軸を持ち、SNS・トレンド分析・インフルエンサー連携力を背景に業績を拡大してきた企業です。
2025年期は増収増益を確保し、利益成長が顕著でした。2026年期も高成長予想を掲げ、事業拡大を追求しています。
ただし、資金面・キャッシュ・フローの流動性、自己資本比率低下、投資事業の収益安定性など、複数の注意点も併存します。
中長期的には、美容カテゴリの拡張性、メディカル領域の収益確立、イベント × デジタル融合型サービス展開が鍵となるでしょう。
投資家としては、以下の視点を念頭に置くとよいでしょう:
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美容マーケティング市場の成長性とトレンダーズの競争ポジション
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キャッシュ・フロー動向と資金調達・運用戦略
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中期計画の実現可能性と、メディカルマーケティング収益化の進捗
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リスク管理(借入・自己資本比率・投資活動への依存度)
以上を踏まえ、トレンダーズは、ニッチ特化型マーケティング企業として将来的な成長の可能性を秘めつつも、慎重なモニタリングを要する銘柄と評価できます。
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