トレードワークス<3997>|業績・成長戦略・投資ポイントまとめ

独立系で証券・FXのフロント領域に強みを持つトレードワークスが、攻めの投資フェーズを抜けて再び成長軌道に乗りつつある。
2024年12月期は過去最高の売上を更新する一方で、人件費増や一時費用計上が響き赤字着地。
しかし、提供価値の中核である株式・米国株・FX/CFDの取引プラットフォームに加え、ブロックチェーン活用の特典配信やオンライン型アドバイザリーなど金融アセットを積み増し、2025年12月期は増収・黒字転換を計画。主要顧客との資本業務提携を梃子に、ネット証券から大手総合証券、銀行・保険へと商圏拡大を図る。

2025年03月18日に掲載されたトレードワークス<3997>のレポート要約

元レポートは下記の通りです。
トレードワークス<3997>レポートPDF
出典元:FISCO

トレードワークス(3997)企業レポート

会社概要

  • 事業ドメイン:証券会社・FX会社向けのフロントシステム開発・運用が柱。

  • 沿革トピック:2017年上場。22年以降は開発リソース拡充へM&Aを加速(あじょ、ペガサス)。
    24年に本社移転、25年にSBIホールディングスと資本業務提携、25年3月にミンカブアセットパートナーズを子会社化。

  • 顧客基盤:auカブコム、DMM.com証券、岩井コスモ証券 等。独立系ベンダーとしてフロント領域で高い開発力を評価される。


事業ポートフォリオと強み

  • 金融ソリューション(売上の基幹):投資家向けインターネット証券取引「TradeAgent」、不公正取引監視、取引所売買端末、iDeCo 等。SaaS化でストック比率が上昇。

  • FXシステム:取引・チャート「STUDIO TRAdING」。SaaS中心で安定収益。

  • デジタルコマース:「AZLM」とのOMO基盤、特典配信PF「chain-toku」(ブロックチェーン/NFT活用)を拡販。

  • 受託/ITコンシェルジュ:製造・営業支援などエンタープライズ開発、Salesforce連携。

  • 基幹サーバー・NW/運用コンサル:子会社ペガサスがSES含め大手インフラ案件を担う。

  • コア・コンピタンス:証券ドメイン×完全オブジェクト指向開発で短納期・低コスト改修を実現。頻繁な制度改正・商品追加に柔軟対応。


市場環境

  • 証券IT投資は年3,000億円規模、クラウド・パッケージ活用が7割超。
    NISA拡充、米国株取引拡大(取扱社数の増加、米市場の取引時間延長予定)により、米国株ネット取引システムの需要が継続。
    ネット証券の裾野拡大に加え、総合証券のフロント刷新ニーズも顕在化。


業績ハイライト

2024年12月期(実績)

  • 売上高:45.91億円(+22.3%)

  • 営業損益:▲0.55億円(前年+0.31億円)

  • 経常損益:▲0.53億円、純損益:▲1.51億円

  • 要因:大型案件獲得とM&A通期寄与で増収。一方、人件費・外注費増、受注損失引当金・貸倒引当金、移転コスト等の一時費用で減益。

  • EBITDA:1.25億円(▲27.1%)だが、一時費用除き増益基調。

  • セグメント

    • 金融ソリューション:30.93億円(+10.3%)で最高更新。米国株・NISA対応が牽引。

    • FX:1.97億円(+7.3%)増収継続。

    • デジタルコマース:2.69億円(+73.1%)、「chain-toku」伸長。

    • 基幹サーバー/NW・運用コンサル:7.72億円(+103.3%)通期寄与。

財務

  • 総資産29.04億円(前期比▲1.39億円)、自己資本比率44.0%(45.5%)。

  • 有利子負債増でネットキャッシュは▲0.44億円(21/12期+8.02億円)。

  • 25年3月:主要顧客(SBI HD、岩井コスモ、松井証券)向け第三者割当で5.39億円調達
    借入返済・品質/生産性向上投資・新サービス基盤・ミンカブAP株取得などに充当。顧客=パートナーへの深化が狙い。

2025年12月期 見通し

  • 売上高:52.00億円(+13.3%)

  • 営業利益/経常利益:各1.80億円(黒字転換)

  • 純利益:1.00億円

  • 牽引材料

    • 既存の株式取引システムの継続案件+米国株時間拡張対応、新規導入。

    • CFD/FX取引基盤の受注(2Qリリース予定)。

    • chain-tokuの顧客拡大(証券・銀行・保険等の新規口座獲得/CRM施策に活用)。

    • 子会社案件の拡大(関西圏顧客との協業など)。

  • 織り込み外の上振れ余地

    • オンライン型金融アドバイザリー(24年3月子会社化のミンカブAPで25年4月開始予定):1~2年目での収支改善を想定。2Q時点で初年度見通しの手応えを判断し、必要に応じて計画に反映。


成長戦略

1)株式システムのシェア拡大
  • 2026年に主力「TradeAgent」大規模リニューアルを複数社へ展開。

  • SCSKと共同で証券業務PFを構築・販売(SCSKはバック領域強者、同社はフロント独立系トップ)。2030年に両社合計売上100億円規模を目指し、同社の寄与はその約3割想定。

2)金融アセットの強化
  • オンライン型アドバイザリー:自動取引×生成AI活用、B2C/B2B/B2B2Cの多面展開。FX・CFD・暗号資産等も対象。

  • chain-toku:NFT連携の特典配布でCRM/家族口座獲得に効く金融版ロイヤルティ基盤。

  • 保険簿(IB社)等のフロントアプリ連携で銀行・保険に横展開。

3)オペレーティングモデル刷新
  • 25年に事業横断体制へ再編、予実管理を厳格化。RPA/生成AI導入で開発生産性・品質を底上げ、不採算リスクの抑制へ。


株主還元・資本政策

  • 配当:24/12期・25/12期とも1株20.0円(安定配当方針)。

  • 株主優待:24/12期末から「プレミアム優待倶楽部」を導入(600株以上保有にポイント進呈)。

  • 資本提携:SBI HD、SCSK 等と戦略連携。自己株取得・流動性向上策は機動的に検討。


投資視点(エクイティ・ナラティブ)

  1. フロント×ドメイン知見の希少性:制度改正/商品追加の高速対応が求められる証券フロントでの独立系トップは差別化源泉。

  2. パートナー戦略で案件獲得力を補強:SCSKと連合し総合証券・大手系へ門戸拡大。SBI/主要顧客との資本関係で商談確度と継続性を高める。

  3. 第二の収益エンジン:アドバイザリー/chain-toku/CFD・FX基盤がSaaS/従量のストック性を押し上げ、中期の利益体質を改善。

  4. リスク:人件費・外注費の上振れ、案件採算管理、開発遅延、財務レバレッジ。→体制再編とDXで管理強化中。

  5. モメンタム:25/12期は2ケタ増収+黒字転換の“見える”計画。2Q時点で新規アセットの寄与度が確認できれば、再評価のきっかけに。


まとめ

トレードワークスは、証券フロントというスピードと正確性が命の領域で磨いた開発力をベースに、株式システムのシェア拡大と金融アセットの横展開で収益の厚みを増していく局面に入った。
赤字の24/12期で下地を整え、25/12期は増収・黒字化へ。
顧客をパートナーへ格上げする資本政策も奏功しつつあり、中期はSaaSストックの厚みと業務効率化の両輪で利益弾性が高まる公算が大きい。
ここからは案件の積み上がり速度と新アセットの立ち上がりが株価カタリストになるだろう。


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