会社概要
-
事業ドメイン:証券会社・FX会社向けのフロントシステム開発・運用が柱。
-
沿革トピック:2017年上場。22年以降は開発リソース拡充へM&Aを加速(あじょ、ペガサス)。
24年に本社移転、25年にSBIホールディングスと資本業務提携、25年3月にミンカブアセットパートナーズを子会社化。
-
顧客基盤:auカブコム、DMM.com証券、岩井コスモ証券 等。独立系ベンダーとしてフロント領域で高い開発力を評価される。
事業ポートフォリオと強み
-
金融ソリューション(売上の基幹):投資家向けインターネット証券取引「TradeAgent」、不公正取引監視、取引所売買端末、iDeCo 等。SaaS化でストック比率が上昇。
-
FXシステム:取引・チャート「STUDIO TRAdING」。SaaS中心で安定収益。
-
デジタルコマース:「AZLM」とのOMO基盤、特典配信PF「chain-toku」(ブロックチェーン/NFT活用)を拡販。
-
受託/ITコンシェルジュ:製造・営業支援などエンタープライズ開発、Salesforce連携。
-
基幹サーバー・NW/運用コンサル:子会社ペガサスがSES含め大手インフラ案件を担う。
-
コア・コンピタンス:証券ドメイン×完全オブジェクト指向開発で短納期・低コスト改修を実現。頻繁な制度改正・商品追加に柔軟対応。
市場環境
業績ハイライト
2024年12月期(実績)
財務
-
総資産29.04億円(前期比▲1.39億円)、自己資本比率44.0%(45.5%)。
-
有利子負債増でネットキャッシュは▲0.44億円(21/12期+8.02億円)。
-
25年3月:主要顧客(SBI HD、岩井コスモ、松井証券)向け第三者割当で5.39億円調達。
借入返済・品質/生産性向上投資・新サービス基盤・ミンカブAP株取得などに充当。顧客=パートナーへの深化が狙い。
2025年12月期 見通し
-
売上高:52.00億円(+13.3%)
-
営業利益/経常利益:各1.80億円(黒字転換)
-
純利益:1.00億円
-
牽引材料
-
織り込み外の上振れ余地
成長戦略
1)株式システムのシェア拡大
2)金融アセットの強化
-
オンライン型アドバイザリー:自動取引×生成AI活用、B2C/B2B/B2B2Cの多面展開。FX・CFD・暗号資産等も対象。
-
chain-toku:NFT連携の特典配布でCRM/家族口座獲得に効く金融版ロイヤルティ基盤。
-
保険簿(IB社)等のフロントアプリ連携で銀行・保険に横展開。
3)オペレーティングモデル刷新
株主還元・資本政策
-
配当:24/12期・25/12期とも1株20.0円(安定配当方針)。
-
株主優待:24/12期末から「プレミアム優待倶楽部」を導入(600株以上保有にポイント進呈)。
-
資本提携:SBI HD、SCSK 等と戦略連携。自己株取得・流動性向上策は機動的に検討。
投資視点(エクイティ・ナラティブ)
-
フロント×ドメイン知見の希少性:制度改正/商品追加の高速対応が求められる証券フロントでの独立系トップは差別化源泉。
-
パートナー戦略で案件獲得力を補強:SCSKと連合し総合証券・大手系へ門戸拡大。SBI/主要顧客との資本関係で商談確度と継続性を高める。
-
第二の収益エンジン:アドバイザリー/chain-toku/CFD・FX基盤がSaaS/従量のストック性を押し上げ、中期の利益体質を改善。
-
リスク:人件費・外注費の上振れ、案件採算管理、開発遅延、財務レバレッジ。→体制再編とDXで管理強化中。
-
モメンタム:25/12期は2ケタ増収+黒字転換の“見える”計画。2Q時点で新規アセットの寄与度が確認できれば、再評価のきっかけに。
まとめ
トレードワークスは、証券フロントというスピードと正確性が命の領域で磨いた開発力をベースに、株式システムのシェア拡大と金融アセットの横展開で収益の厚みを増していく局面に入った。
赤字の24/12期で下地を整え、25/12期は増収・黒字化へ。
顧客をパートナーへ格上げする資本政策も奏功しつつあり、中期はSaaSストックの厚みと業務効率化の両輪で利益弾性が高まる公算が大きい。
ここからは案件の積み上がり速度と新アセットの立ち上がりが株価カタリストになるだろう。
■ この企業を含む【20.情報・通信業【10.情報通信サービス】セクターまとめ】はこちら