5.医薬品セクターまとめ
医薬品セクターは、人々の健康と命を支える基幹産業であり、長期的な安定性と高い社会的意義を併せ持つ分野です。
新薬メーカー(先発医薬品)、ジェネリックメーカー(後発医薬品)、バイオ医薬品、医療機器関連など、多様な領域で構成されています。
景気変動の影響を受けにくい一方で、研究開発費の負担・薬価改定・規制強化・特許切れリスクなど、独自の課題も多いのが特徴です。
それでも、少子高齢化・がん・認知症・生活習慣病の増加といった社会的背景を追い風に、中長期的な成長が見込まれる国策型ディフェンシブセクターとして投資家の注目を集めています。
近年では、バイオ・AI創薬・遺伝子治療・細胞医薬などの新技術が急速に進展しており、研究開発のスピードと成功確率が企業の競争力を大きく左右する時代になっています。
5. 医薬品セクター
最終更新:2025-10-30
概況
日本の医薬品業界は、国内の少子高齢化や医療費抑制政策の影響を強く受ける一方、世界的な新薬需要やグローバル展開が成長の原動力となっています。
新薬開発には時間とコストがかかるため、パイプライン(開発中の薬) の成否が業績を大きく左右。近年はバイオ医薬品・遺伝子治療・創薬AIなどの先端分野が注目を集めています。
最新トピック
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厚労省の薬価改定で新薬・後発薬ともに収益圧迫リスク。
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オンコロジー(がん領域)や希少疾患薬への投資が加速。
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海外展開強化:米国・中国市場への新薬承認が株価の材料に。
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AI創薬やバイオベンチャー連携で開発効率を改善。
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自社株買いや増配など株主還元も活発化。
注目テーマ
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薬価改定リスク:収益圧迫要因。特に長期収載品は下落幅大。
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グローバル展開:米中欧での承認スピードが業績カギ。
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新薬パイプライン:抗がん剤、希少疾患薬、免疫治療薬の開発状況。
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バイオ・創薬AI:研究効率とコスト削減の柱。
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M&A・提携:大手はベンチャー企業との連携で新薬候補を確保。
KPI(重要指標)
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研究開発費比率(R&D比率):売上に占める研究費の割合。
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パイプライン数:臨床試験フェーズ別(フェーズ1~3)。
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承認申請数・承認取得数:各国規制当局への申請・承認動向。
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薬価改定影響額:収益に与えるマイナス効果。
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海外売上比率:グローバル展開度合い。
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営業利益率:安定収益力の確認指標。
個別レポート
- シンバイオ製薬<4582>
└ がん・血液・ウイルス感染症の3領域に特化する創薬ベンチャー。2025年は赤字が続くものの、研究開発を最優先とする方針を維持 - ティムス<4891>
└ 2025年12月期は損益横ばいながら研究開発が順調に進展 - 大幸薬品<4574>
└ 「正露丸」「クレベリン」。25/中間は大幅減益も、供給安定化と規格対応で反転狙い。 - タウンズ<197A>
└ IVD+抗原検査+成長投資。25/6期は増収増益、26/6期も成長継続と累進配当を見込む - アンジェス<4563>
└ HGF遺伝子治療薬を中心に成長を目指すバイオベンチャー。 - VERITAS IN SILIC<130A>
└ mRNA標的創薬でハイブリッド型ビジネスを展開し、プラットフォーム拡大と自社パイプライン開発で成長を目指す。 - ファンペップ<4881>
└ 大阪大学発のバイオベンチャーで、機能性ペプチドを活用した新薬開発を推進。 - NANO MRNA<4571>
└ 2025年3月期は売上高108百万円、営業損失755百万円と赤字ながら、研究開発費を拡大し将来の収益源を育成。 - 坪田ラボ<4890>
└ 近視抑制や角膜疾患治療を中心に医療機器・医薬品を開発。業績は過去最高を更新 - ノイルイミューン・バイオテック<4893>
└ PRIME技術を活用した次世代CAR-T細胞療法を開発。主力NIB103を中心に固形がん治療へ挑み、学術・製薬連携で成長を加速 - ケイファーマ<4896>
└ 2024年12月期は研究費抑制により損失が縮小したが、2025年は研究開発強化に伴う費用増を見込む - 室町ケミカル<4885>
└ 2025年5月期は売上・営業利益ともに過去最高を更新 - Chordia Therapeutics<190A>
└ 小野薬品との提携で収益化加速。2030年にR&D型製薬企業を目指す
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基礎知識(初心者向け)
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薬価制度:日本は国が薬の価格を決める。改定で利益が削られることが多い。
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パイプライン:開発中の薬のリスト。これが株価材料になる。
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先発薬と後発薬:先発薬は高収益だが、特許切れ後は後発薬(ジェネリック)が台頭。
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新薬承認の流れ:基礎研究 → 臨床試験 → 承認申請 → 販売。
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成長ドライバー:がん領域、希少疾患、バイオ医薬品、グローバル展開。
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この記事は「日本株17セクター総合ガイド」の一部です。
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