1.食品セクターまとめ

食品セクターは、景気変動に強く、生活に直結するディフェンシブ産業です。
加工食品、飲料、調味料、乳製品、冷凍食品、外食など多様な業態から構成され、消費者の嗜好変化・原材料コスト・為替・天候・物流コストなど、日常の小さな変化が業績に直結するのが特徴です。

近年は、物価上昇を背景に価格転嫁とブランド力の差がより鮮明になっています。
原材料高・人件費上昇を吸収できる企業と、コスト負担が重くなる企業の二極化が進行。
一方で、健康志向・高付加価値・海外展開・冷凍食品・非常食・代替肉などの新領域は成長余地が大きく、安定+進化の両面を備えたセクターとして注目が集まっています。

投資家にとっては、ブランド力・価格転嫁力・原価率・海外売上比率が分析の主軸となります。

1. 食品セクター

最終更新:2025-10-03


概況

食品セクターは、飲料・加工食品・外食・冷凍食品など幅広い分野をカバーし、景気に左右されにくい「ディフェンシブ」セクターとして位置付けられています。
円安による輸入コスト増や原材料高が課題となる一方、値上げの定着や高付加価値商品の展開によって収益改善を図る企業が増えています。
健康志向・簡便化ニーズの高まりも追い風となり、機能性食品・冷凍食品・中食関連が注目されています。


最新トピック

  • 値上げ効果の定着:2024年の大幅値上げの反動減は限定的で、25年以降は収益改善傾向。

  • 健康志向商品が好調:プロテイン、低糖質、機能性飲料などが市場を拡大。

  • 外食・中食の回復:インバウンド需要や共働き世帯増加で外食・惣菜市場が拡大。

  • 海外展開の加速:アジア・北米市場への進出で成長機会を模索。


注目テーマ

  • 値上げの持続力:どこまで消費者に受け入れられるか。

  • 健康・ウェルネス:機能性表示食品や低カロリー食品の拡大。

  • 冷凍・簡便食の普及:共働き世帯の増加を背景に需要増。

  • 海外市場開拓:アジアを中心に海外売上比率を伸ばせるか。

  • 原材料調達リスク:小麦・砂糖・油脂価格の変動が利益に直撃。


KPI(重要指標)

  • 売上高成長率(既存店売上高/商品別売上高)

  • 営業利益率/原材料高騰に対する値上げ効果

  • 海外売上比率

  • 新商品発売数(ヒット商品の有無)

  • 外食・中食の既存店客数/単価推移

個別レポート

  • 一正蒲鉾<2904>
    └  売上高34,579百万円(前期比+0.3%)、営業利益891百万円(同-29.9%)。原材料・エネルギーコスト上昇で減益。
  • J-オイルミルズ<2613>
    └  2025年3月期は過去最高益を達成し、DX推進や海外展開で2026年以降も増収増益を見込む。

  • 昭和産業<2004>
    └  25/1Qは減収減益も純利益増。価格改定遅れが響いたが、高付加価値油脂や古米販売、ASEAN輸出拡大が収益改善の柱。
  • STIフードホールディングス<2932>
    └  セブン向け中食が柱。25/中間は増収・減益も、通期は増益回復計画。北米展開・新工場で2桁成長狙い。
  • フィード・ワン<2060>
    └  畜産+水産飼料で成長継続。25/3期は最終益最高、26/3期は増収増益・累進配当へ。
  • ケンコーマヨネーズ<2915>
    └  2025年3月期は、価格改定と生産体制の改善により増収・大幅増益を達成し、7期ぶりに過去最高益を更新。
  • 紀文食品<2933>
    └  スリミ製品の国内トップメーカーとして、開発力・物流力を強みに増収増益を目指す。2026年3月期は利益率改善と中期計画が焦点。
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基礎知識(初心者向け)

  • ディフェンシブ株とは? 景気に左右されにくい業種。食品は生活必需品のため需要が安定。

  • 値上げと需要:原材料高を転嫁できるかどうかで利益が変わる。

  • 中食とは? 惣菜や弁当など「調理済みを持ち帰って食べる」市場。外食と内食の中間。

  • 機能性表示食品:健康志向を背景に拡大中。認証ラベルが消費者の購入動機に。


 食品セクターは「安定感」と「成長余地」を併せ持つ分野。生活必需性の高さから下落耐性がある一方、健康・簡便・海外展開といった新しいテーマが投資の注目ポイントになります。

この記事は「日本株17セクター総合ガイド」の一部です。
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