いちご<2337>業績が過去最高ペースに突入|心築事業がけん引し営業利益64%増

いちご(2337)は、オフィス・商業施設・ホテルなど多様な不動産の価値向上を手掛ける企業です。
2026年2月期中間期では、ストック収益と心築事業が順調に拡大し、売上高40.6%増、営業利益64.3%増という大幅な増収増益を達成しました。

トレードピアお台場の稼働率改善など既存物件の収益性が向上しており、通期でも過去最高益を見込むなど、同社の成長基調は一段と鮮明になっています。
本記事では、フィスコのレポートを基に、いちごの業績・事業構造・財務状況・株主還元策をわかりやすく整理します。

2025年11月18日に掲載されたいちご<2337>の企業分析

元レポートは下記の通りです。
いちご<2337>レポートPDF
出典元:FISCO

いちご(2337)企業分析レポート── ストック収益と心築事業の成長で大幅増益を達成

 概要

いちご株式会社(2337)は、オフィス、商業施設、ホテル、レジデンスなど多様な不動産を対象に、価値向上を伴う運用・投資を行う総合不動産企業です。
2026年2月期中間期の決算では、ストック収益の拡大に加えて、主要事業の「心築(しんちく)事業」が大きく寄与し、前年同期比で大幅な増収増益を達成しました。

同社の収益はストック収益とフロー収益の両輪で構成されており、安定性と成長性を併せ持つ点が特徴です。
サステナビリティへの取り組みも積極的で、RE100や国連グローバル・コンパクトに加盟するなど、社会貢献姿勢を明確にしています。

 1. 2026年2月期中間期 業績概要

2026年2月期中間期は、全体的に大幅な増収増益となりました。

 中間期実績
  • 売上高:510億24百万円(前年同期比 +40.6%)

  • 営業利益:112億61百万円(同 +64.3%)

  • 事業利益:151億28百万円(同 +60.2%)

  • 親会社株主に帰属する中間純利益:86億24百万円(同 +60.7%)

 増益要因
  • 心築事業の新規・既存物件の賃料収入が拡大

  • トレードピアお台場の稼働率上昇

  • ストック収益・フロー収益の両方が堅調

ストック収益は前年同期比14.3%増の127億98百万円と順調に拡大しました。

2. 2026年2月期 通期見通し

同社は中間期の進捗を踏まえ、通期でも過去最高益更新を見込んでいます。

  • 営業利益:195億円(前期比 +19.6%)

  • 事業利益:284億円(同 +14.2%)

  • 経常利益:148億円(同 +7.5%)

  • 当期純利益:160億円(同 +5.4%)

特に心築事業は高成長が続く見通しで、
事業利益は前期比 +67.1% の134億円を見込む など、主力事業として確固たる地位を築いています。

3. 企業概要

 事業領域
  • アセットマネジメント事業
    いちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーンインフラの運用

  • 心築事業
    既存不動産の価値向上と賃料収入

  • ホテル事業
    自社ブランド施設の運営・改装

  • いちごオーナーズ事業(レジデンス)
    「GRAN PASEO」ブランド展開

  • クリーンエネルギー事業
    太陽光・風力発電の開発・運営

2002年に上場、2022年に東証プライム市場へ移行し、大型 REIT3法人の運用力を強みとしています。

 4. 財務状況

2025年8月末時点

  • 資産合計:4,201億90百万円

  • 負債合計:2,958億47百万円(長期借入金比率 85.6%)

  • 自己資本比率:26.8%(評価額ベース39.9%)

指標は以下のとおりです。

  • 流動比率:418%

  • 固定長期適合率:56.9%

財務健全性は十分に確保されており、事業拡大に対応できる資金調達力を持っています。

 5. 中長期戦略と重点施策

 心築事業の拡大
  • トレードピアお台場の稼働率:95%に回復

  • テナントニーズに対応した価値向上施策を継続

 ホテル事業
  • 地方都市ホテルへの投資を拡大

  • 不動産再生ノウハウを活かしてブランド力強化

クリーンエネルギー事業
  • 太陽光・風力発電の新規プロジェクトを継続

  • ESG を強く意識した事業展開

6. 株主還元

いちごは 累進配当政策 を採用しており、13期連続で増配を継続中。

  • 2026年2月期配当予想:11.50円(前年 +1.00円)

  • 配当性向:30.2%

  • 自己株式取得:50億円の新規枠を発表

株主還元姿勢の強さは同社の評価ポイントです。

7. 総括

いちご株式会社は、心築事業を中心にストック収益を着実に積み上げながら、フロー収益も拡大することで、安定と成長を両立したビジネスモデルを確立しています。
サステナビリティや再生可能エネルギーへの取り組みも進んでおり、社会的評価も高い企業です。

中間期の好調な業績から、通期でも増収増益が見込まれ、株主還元姿勢も明確であることから、今後の成長期待は大きいと言えます。

筆者コメント

いちごは「心築」という独自の不動産再生モデルが強みで、景気に左右されにくいストック収益を積み上げながら着実に成長している点が魅力です。
今回の決算はその強みが鮮明に表れた内容で、特に心築事業の利益成長率は驚くほど高いです。

一方で負債比率はやや高めで、借入を活用した運用型のビジネスモデルである点は注意ポイント。
ただしREIT運用やグリーンエネルギーなど、複数の収益源を持つため、中長期視点ではバランスが取れた企業だと感じます。

個人的には、サステナビリティと収益性を両立している点が評価でき、今後も安定成長を続ける可能性が高い企業だと考えています。


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2025年05月26日に掲載されたいちご<2337>のレポート要約

元レポートは下記の通りです。
いちご<2337>レポートPDF
出典元:FISCO

■会社概要と事業構成

いちごは、「サステナブル・インフラ企業」として、不動産の価値向上と社会貢献の両立を追求しています。
事業は以下の5つのセグメントで構成され、オフィスやホテルを中心とした再生不動産、再生可能エネルギー発電施設など多様な収益源を確立しています。

  • アセットマネジメント事業:投資法人の運用・管理(オフィス・ホテル・再エネ)

  • 心築(しんちく)事業:既存不動産を再生・再販する独自の不動産再生ビジネス

  • いちごオーナーズ事業:不動産保有者向けの資産活用支援

  • ホテル事業:リゾート・都市型ホテル運営によるストック収益拡大

  • クリーンエネルギー事業:太陽光など再エネ発電による環境貢献と安定収益

これらの事業を通じて、「ストック収益(継続収入)」と「フロー収益(売却益)」の両立を図り、景気変動に左右されにくい経営体質を築いています。


■2025年2月期業績:過去最高益を達成

2025年2月期通期では、営業利益・キャッシュ収益ともに過去最高を更新
不動産の再生販売やホテル事業の売却益増加が業績を牽引しました。

ストック収益は着実に拡大し、フロー収益も堅調。これにより安定成長モデルが確立されつつあります。
また、財務面でも総資産・自己資本比率が改善し、キャッシュフローの健全性も高水準を維持しています。


■2026年2月期見通し:増益継続へ

2026年2月期も、いちごは前年比で増益を見込む堅調な計画を掲げています。
不動産再生や再エネ関連投資の収益拡大に加え、ホテル事業の運営効率改善が利益率向上に寄与する見通しです。
投資家の不動産需要は依然として高く、国内外の機関投資家からの資金流入も追い風となっています。


■中長期ビジョン「いちご2030」:持続可能な企業価値の創出へ

いちごは2030年を見据えた長期ビジョン「いちご2030」を掲げ、
「安定した利益成長」「財務基盤の強化」「ESG経営の深化」を三本柱として掲げています。

  • 外部環境の変化に強い収益構造の確立

  • 再生可能エネルギー発電施設の拡大

  • 不動産再生による都市の価値向上

  • 社会・環境課題解決に向けた投資拡充

これらを通じて、財務的な健全性と社会的責任を両立する企業としての地位を強化しています。


■ESG評価と社会的評価

環境情報開示プログラム「CDP 2024」において、
いちごは「気候変動・水セキュリティ分野のAリスト企業」に選定。
これは、同社の脱炭素経営・再エネ推進・情報開示の透明性が国際的に高く評価された結果です。


■株主還元方針:増配と自社株買いを継続

いちごは、株主還元を経営の重要方針として位置づけています。
2025年2月期には増配を実施し、自社株買いも継続
配当性向の引き上げと財務基盤の強化を両立させ、
「株主還元の経営目標」を着実に実行しています。


■まとめ

いちご株式会社は、不動産再生と再エネ事業を軸に安定した成長を続ける企業です。
2025年には過去最高益を達成し、2030年に向けた長期ビジョン「いちご2030」を推進中。
ESG経営・株主還元・財務健全性を兼ね備えた「安定成長型企業」として、今後も注目が集まります。

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