逆日歩とは? 計算方法・銘柄の調べ方・満額リスクと回避戦略を徹底解説

株式投資を始めると、ニュースや掲示板でよく目にする言葉があります。

それが「逆日歩(ぎゃくひぶ)」です。

一見むずかしそうですが、これは空売り(信用売り)を行った投資家が負担するコストのこと。

つまり、株を借りるためのレンタル料のようなものです。

逆日歩は、株価の上下に直接関係する重要な仕組みであり、知らないまま取引すると思わぬコストや損失を被るリスクもあります。

特に優待クロス取引や短期トレードを行う投資家にとっては、回避・予測の知識がそのまま利益率に直結します。

本記事では、逆日歩の意味・仕組み・計算方法・銘柄の調べ方・満額リスク・回避戦略までを体系的に整理しました。

「そもそもどうやって決まるの?」
「いつ発生する?」
「どう避ければいい?」

といった疑問を、初心者にもわかるように図解と具体例で徹底解説します。

読み終えるころには、逆日歩を恐れずにコントロールできる投資家になれるはずです。

目次

逆日歩とは?|株式市場でよく聞く空売りコストの正体

「逆日歩ってよく聞くけど、結局なんのこと?」

株式投資を始めたばかりの人なら、一度は耳にする言葉でしょう。

実は逆日歩は、信用取引で株を空売りした人が負担するコストのことを指します。

つまり、株を借りて売る際に発生する借り賃のようなもの。

これが、投資家の間で「空売りコスト」と呼ばれるゆえんです。

ただし、逆日歩は常に発生するわけではありません。

需給バランスによって変動し、ときに「満額逆日歩」と呼ばれる高額コストが発生することもあります。

ここでは、仕組みを分解しながら、なぜ生じるのか、いつ決まるのかを順を追って整理します。

逆日歩(品貸料)とは?信用取引で発生する借りる側のコスト

まず、「逆日歩」というのは、正式には品貸料(しながしりょう)と呼ばれるものです。

信用取引では、空売りを行う際に証券会社を通じて他の投資家から株を借りて市場で売ります。

このとき、株を貸す側(=証券金融会社)が在庫不足になると、貸し株の需要が供給を上回る状態が生まれます。

その結果、借り手である空売り投資家に対して、追加的なコスト(品貸料)が課されます。これが「逆日歩」です。

つまり、貸し株が不足すればするほど逆日歩は高くなり、投資家にとっては持ち続けるほど不利になるコストになります。

このため、逆日歩は空売りポジションを保有する期間市場の需給状態によって大きく変動します。

短期取引では軽微でも、権利確定日前後のように需給が偏ると一気に跳ね上がることも珍しくありません。

なぜ逆日歩が発生するのか|貸株不足と需給の関係

逆日歩が発生する根本原因は、「株を貸す人」よりも「借りたい人」が多くなることです。

たとえば人気の優待銘柄や、値下がりが予想される株を空売りする投資家が殺到すると、証券金融会社の貸株在庫が枯渇します。

この貸株不足状態が起こると、株を借りるための競り合いが始まり、入札方式で料率が決まるのです。

需給が逼迫するほど料率(逆日歩)は上昇し、逆に貸株が余ればゼロ円(=逆日歩なし)となります。

したがって、逆日歩の発生には明確なメカニズムがあります。

  • 貸株が潤沢→逆日歩ゼロ(発生しない)

  • 貸株が不足→品貸料が発生(逆日歩発生)

  • 需給が極端に偏る→満額逆日歩(最高料率)

このように、逆日歩は相場全体の需給バランスを映す鏡のような存在なのです。

逆日歩に買いなし/売りなしとは?|相場格言に隠れた需給の真意

投資の世界には「逆日歩に買いなし」「逆日歩に売りなし」という格言があります。

一見、正反対の言葉のように見えますが、どちらも需給の偏りが極端になっている状態を警告しています。

たとえば「逆日歩に買いなし」とは、逆日歩がついている=売りが過熱している状態を意味します。

つまり、空売りが増えすぎて株を借りるコストが高騰しているときは、すでに売りポジションが限界に近い=これ以上下がりにくいという示唆です。

逆に「逆日歩に売りなし」とは、買いが過熱し、売りたい人が少ない状況を指します。

どちらも、「需給の偏りが極端な相場では、トレンドの転換点に注意せよ」という教訓なのです。

つまり逆日歩は、単なるコストではなく、相場の過熱感を測る指標としても活用できるのです。

逆日歩が発生するタイミング・決定日(いつ決まる?)

「逆日歩はいつ決まるの?」という疑問を持つ人も多いでしょう。

逆日歩は、日本証券金融(通称:日証金)が毎営業日の貸借状況を集計し、翌営業日に料率を公表します。

つまり、たとえば月曜の取引で貸株不足が発生すると、火曜の夕方にその料率(逆日歩)が発表される仕組みです。

このとき、基準となるのは受渡日ベースである点にも注意が必要です。

祝日を挟むと発生日がズレたり、権利確定日直前のように貸株需要が急増するタイミングでは、複数日分まとめて逆日歩が発生することもあります。

つまり「いつつくか」は取引日ではなく、受渡日と需給の関係で決まるということ。

これを知らずに保有を続けてしまうと、翌日思わぬコストを請求されるケースもあるため、発生タイミングと決定日の理解は非常に重要です。

逆日歩とは、空売りの増加によって株の貸し出し需要が高まったときに発生する需給の歪みのサインです。
「なぜついたのか」「どのくらいのコストになるのか」を理解できれば、リスクを予測して回避する第一歩になります。

信用取引や信用残の概念にも興味がある方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

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逆日歩の仕組みと決定ルールを理解する

逆日歩は、なんとなく株を借りるコストというイメージが強いですが、実際には日証金(日本証券金融株式会社)による制度的な入札ルールで厳密に決まっています。

この仕組みを知らないと、なぜ金額が付くのか、なぜ満額逆日歩になるのかが理解できません。

ここでは、貸借取引の全体構造から、品貸入札制度、そして10倍逆日歩までを整理しながら、制度の裏側を分かりやすく解説します。

貸借取引と品貸入札制度の基本構造

まず、逆日歩の発生源となるのが「貸借取引制度」です。

信用取引で空売りを行う際、投資家は証券会社を通して日証金(日本証券金融)から株を借りる形になります。

日証金は、通常は自社の在庫や証券会社経由の貸株を使って、売り建て需要(空売り)に対応しています。

しかし、ある銘柄で空売りが急増し、貸株の在庫が不足(=需給が逼迫)した場合には、「品貸入札(しながしいれさつ)制度」という仕組みを使って、外部の金融機関から株を追加で借り入れます。

この入札では、機関投資家などの参加者が「いくらの料率なら貸せるか」を提示し、その結果をもとに最終的な品貸料率(=逆日歩率)が決まります。

つまり、逆日歩の金額は、貸株不足という需給のひっ迫を反映した市場の競り合い価格なのです。

応札ランク・最高料率・最低料率の決まり方

品貸入札には、応札ランク(上位・中位・下位)という分類があり、応札額の高低に応じて貸株の割り当て量が決まります。

基本的なルールは次の通りです。

  • 最高料率
    入札で最も高い料率。これが逆日歩の上限(満額)になる

  • 最低料率
    入札の中で最も低い料率。実際には採用されないことが多い

  • 平均的な料率
    複数の応札結果を加重平均した実際の品貸料率として公表される

そして、日証金が毎営業日夕方に発表する貸借取引情報の中で、この最終料率(=逆日歩)が一覧表示されます。

つまり、我々投資家がニュースなどで目にする逆日歩◯円は、こうした入札プロセスを経て決定された最終値なのです。

10倍逆日歩とは?制度信用で起こるペナルティ的料率

一部の投資家が驚くのが10倍逆日歩という言葉でしょう。

これは、制度信用取引で定められている最高料率を10倍まで引き上げる特別措置です。

日証金は、極端な貸株不足を是正するために、これ以上貸せない状況に陥ると、この10倍ルールを適用します。

たとえば通常料率が0.3円であれば、10倍適用で3円/日の逆日歩になるケースもあります。

これはいわば市場の罰金的な仕組みであり、短期的な需給偏りを抑制するためのペナルティ料率なのです。

このため、人気優待銘柄やテーマ株など、一時的に空売りが集中する銘柄では、10倍逆日歩が発生しやすい傾向があります。

投資家にとっては、取引コストが急増するリスクとして常に注意すべきポイントです。

変動日と固定料率日の違い(満額逆日歩がつく背景)

逆日歩には、毎日変動する日(変動日)と、特定期間固定される日(固定料率日)があります。

たとえば、権利確定日直前や需給が急激に動いたタイミングでは、品貸入札が実施される日ごとに料率が更新されます(変動日)。

一方で、需給が安定している期間では、あらかじめ定められた料率(最低料率)が維持されることもあります(固定料率日)。

特に注意すべきは、「満額逆日歩」と呼ばれるケースです。

これは、品貸入札の結果、最高料率がそのまま適用された状態を指します。

需給が極端に偏った結果、「この料率でも構わない」という高い応札が集まり、結果的に日証金が定めた上限(最高料率)いっぱいで決まる=満額逆日歩となるのです。

この満額逆日歩は投資家にとって非常にコストが重く、数日持つだけで数千円単位の負担になることもあります。

後述の回避戦略でも詳しく触れますが、権利確定日前後のように需給が偏る局面では特に注意が必要です。

逆日歩は感覚的に「ついた」「つかない」で判断されがちですが、実際には日証金の入札制度と料率ルールによって厳密に決定されています。
つまり、高逆日歩=需給が崩れている、満額逆日歩=市場が貸株を出したくない状態と読み取ることができるのです。
仕組みを理解すれば、逆日歩は恐れるものではなく、需給の歪みを示すシグナルとして活用できるでしょう。

逆日歩の計算方法|式・具体例・日数の数え方を完全解説

逆日歩の金額は、「料率 × 株数 × 日数」 という単純な式で求められます。

しかし実際には、

「料率とは?」
「日数はどう数える?」
「いつ分かるの?」

と混乱する人が多いテーマです。

ここでは、公式の計算式・日証金ルール・受渡日ベースでの日数計算までを整理し、実際のシミュレーションを交えて解説します。

逆日歩の正しい求め方を理解することで、保有コストや回避戦略を精密に設計できるようになります。

逆日歩の基本計算式「料率 × 株数 × 日数」

逆日歩の基本計算は次の式で表されます。

逆日歩(円)= 品貸料率(円) × 株数 × 日数

ここでの品貸料率とは、日証金がその銘柄に対して決定・公表する1日あたりの貸株料のことです。

たとえば逆日歩 1.2円と公表されていれば、それは1株あたり1日1.2円の貸株料が発生することを意味します。

つまり、100株を3日間空売りで保有していた場合は次のように計算します。

1.2円 × 100株 × 3日 = 360円

この360円が、投資家が支払う逆日歩コストとなります。

銘柄や需給によっては、0円(=逆日歩なし)の場合もありますが、優待クロスや貸株不足銘柄では数百円〜数千円単位になることもあります。

受渡日基準のカウント方法(休日跨ぎの扱い)

逆日歩の発生期間を計算するときに最も間違えやすいのが、取引日ではなく受渡日ベースで数えるという点です。

株式の受渡日は、取引日から原則 2営業日後(T+2)です。

つまり、月曜日に建てたポジションの受渡日は水曜日。

そのため、日証金が発表する逆日歩適用日は、この受渡日に応じた期間に基づいています。

注意すべきは、休日を跨ぐ場合や権利確定日直前

たとえば金曜日に取引をした場合、受渡日は翌週火曜日となり、土日を含む3日分の逆日歩が発生することになります。

このため、実際の支払額が想定よりも多くなることがあり、特に優待権利取りのタイミングでは3日分まとめて発生というケースが多く見られます。

チェックポイント
  • 逆日歩は、建てた日ではなく受渡ベースで決まる

  • 休日を跨ぐと複数日分まとめてつく

  • 日証金の貸借取引情報(前日発表)を確認すれば、適用日と日数が分かる

計算例①100株・料率1.2円のケース

それでは、具体的な例で計算してみましょう。

  • 株数
    100株

  • 品貸料率
    1.2円

  • 保有日数
    3日

この場合の計算式は以下の通りです。

逆日歩 = 1.2円 × 100株 × 3日 = 360円

360円が、あなたの空売りポジションに対して発生する逆日歩です。

ただし、証券会社によっては端数処理や最低単位の切り上げルールがあり、実際の請求額は少し異なる場合があります。

また、同じ料率でも株価や株数によってインパクトは大きく異なります。

株価が低い小型株で1.2円の逆日歩がつけば、実質的な利回り負担(%)は大きくなり、思わぬ損益圧迫要因になるのです。

計算例②満額逆日歩と零銭逆日歩のシミュレーション

逆日歩には、需給の逼迫度合いによって「満額逆日歩」と「零銭逆日歩」という極端な状態が存在します。

満額逆日歩の例

  • 品貸料率(最高料率)
    8.0円

  • 株数
    100株

  • 日数
    2日

8.0円 × 100株 × 2日 = 1,600円

これは、日証金が設定する上限料率(最高料率)いっぱいで決まったケース

需給が極端に逼迫しているため、貸株を借りたい投資家が満額で応札している状態です。

優待クロスやIPO銘柄などでよく見られます。

零銭逆日歩の例

  • 品貸料率
    0円(発生なし)

この場合、貸株の供給が十分にあり、需給が均衡しているため、コストは発生しません。

つまり逆日歩はゼロ=貸株余りの健全な状態です。

この2つの例からわかるように、逆日歩は日数よりも料率(需給)による影響が圧倒的に大きく、同じ期間でもコスト差が数十倍になることがあります。

日計り取引・短期取引で逆日歩が発生するケース

「デイトレードなら逆日歩は関係ない」と思われがちですが、制度信用取引の場合、日計り取引(当日返済)でも1日分の逆日歩が発生する可能性があります。

これは、日証金を介した貸株が受渡日ベース(T+2)で処理されるため、実質1日分は株を借りた扱いになるからです。

一方で、SBI証券・楽天証券・松井証券などの一日信用取引は、日証金を介さない独自制度であり、当日中に建玉を返済すれば逆日歩は発生しません。

ただし、建玉を持ち越すと翌営業日から制度信用扱いとなり、逆日歩の対象になる点には注意が必要です。

チェックポイント
  • 制度信用では建てた瞬間に逆日歩発生リスクがある

  • 一日信用取引なら日証金を介さないため原則逆日歩はつかない

  • 優待クロス取引では、日数が1日でも「3日分」発生することもある

つまり、取引の種類と受渡ルールの違いを理解しておくことが、逆日歩リスクを最小化する第一歩なのです。

逆日歩は、料率 × 株数 × 日数というシンプルな構造ですが、実際には受渡ベースの考え方と料率変動の影響を正しく理解しないと誤解しやすいテーマです。
計算式の背後にあるのは、日証金による品貸料率の決定ルールであり、需給が変われば一夜でコストが跳ね上がることもあります。

正確に逆日歩を把握できれば、取引後に驚くではなく、事前に見積もって判断する投資行動が取れるようになります。

逆日歩を調べる方法|日証金・証券会社・速報サイトの使い方

逆日歩はその日の取引が終わってから決まるため、翌営業日にならないと金額を確認できません。

「どの銘柄に逆日歩がついたのか」
「満額になったのか」
「明日はどうなりそうか」

を把握するには、日証金の公表情報と証券会社のデータを使い分けるのがポイントです。

ここでは、初心者でも迷わないように、逆日歩の調べ方を4つのルート(公式・証券会社・速報・予報)に整理して解説します。

日証金の貸借取引情報で確認する手順

まず最も信頼できる情報源が、日本証券金融株式会社(日証金)が毎営業日17時ごろに公表する貸借取引情報です。

制度信用取引における逆日歩(=品貸料率)は、ここで全銘柄分まとめて公開されます。

確認手順

  1. 日証金公式サイトの貸借取引情報ページにアクセス

  2. 対象日を選択

  3. 品貸料率(円)の列にある数字が、その日の逆日歩

  4. 日数列で、1日分か3日分か(休日跨ぎ)を確認

たとえば1株あたり3.6円(3日分)とあれば、→ 1株×3.6円×3日=10.8円/株 のコストが発生している計算になります。

このデータは翌営業日の朝には各証券会社のサイトにも反映されますが、日証金が最も早く・公式的に確定値を出すため、情報の起点として押さえておきましょう。

SMBC日興・SBI・楽天など各社の逆日歩ページ比較

証券会社によっては、投資家が見やすいように逆日歩情報を再掲しています。

各社の特徴を知っておくと、日常のチェックが格段にスムーズになります。

証券会社 逆日歩ページの特徴
SMBC日興証券 「信用取引の貸借銘柄一覧」から確認可能。日証金データを加工しており、初心者にも分かりやすい。
SBI証券 「逆日歩一覧」ページで、過去データも日付別に検索できる。優待クロス目的のユーザーに人気。
楽天証券 「信用取引 逆日歩情報」から当日・前日比較が可能。表形式で料率・日数が一目で分かる。
マネックス証券 「制度信用取引 銘柄別情報」にて確認可能。スマホでも見やすい設計。

特にSBI証券の逆日歩一覧は履歴表示に優れており、この銘柄は優待前にいつも高いといった傾向分析に向いています。

また、各社とも一般信用売りが可能な銘柄では、逆日歩発生のリスクを避けられるかも同時に確認できます。

逆日歩速報・一覧サイトの見方(IR BANK・Yahoo!ファイナンス等)

「すぐに一覧で見たい」「人気銘柄だけチェックしたい」という場合は、速報サイトを活用しましょう。

主要サイトでは、日証金発表後のデータを整形して銘柄別・日別に並べ替えしてくれています。

代表的なものは以下の通りです。

サイト名 特徴
IR BANK 「逆日歩一覧」ページで、銘柄別の推移をグラフ化。履歴データも豊富。
Yahoo!ファイナンス 各銘柄ページの「信用取引」タブで、逆日歩・貸株残高・貸借倍率を一括表示。
みんかぶプレミアム 有料プランで「逆日歩ランキング」なども参照可能。満額発生銘柄が一目で分かる。

速報サイトは視覚的に分かりやすい反面、反映まで数時間遅れることがある点に注意が必要です。

確定値を確認する場合は、必ず日証金の公式発表と照合しましょう。

逆日歩予報サービスの活用法(発生確率を読むコツ)

最近は逆日歩がつく確率を予測するツールやサイトも増えています。

たとえば、逆日歩速報.comやその他証券会社などでは、貸借残高・倍率・直近傾向などが見れるようになっています。

優待前の空売りが膨らんでいる銘柄や、貸借倍率が極端に低い銘柄は逆日歩がつきやすいため、これらを事前にチェックしておくことで、高額逆日歩のリスクを避ける判断材料になります。

予報の使い方のコツは次の通りです。

  • 貸借倍率が1倍以下の銘柄は危険ゾーン

  • 優待権利付き最終日3〜5営業日前から需給が急変しやすい

  • 満額リスクがあると判断したら新規空売りは避ける

逆日歩は制度上完全に予測することはできませんが、データを見ておけば踏み抜きリスクを事前に察知できます。

当サイトでも、直近傾向から翌日の逆日歩発生確率を予想してスコア化していますので、参考にしてみてください。

  • 公式:日証金サイトで正確な料率・日数を確認

  • 証券会社:SBI・楽天などで履歴・優待前傾向を分析

  • 速報サイト:IR BANK・Yahoo!で発生銘柄を一目で確認

  • 当サイトや予想サービスで翌日のリスク目安を事前に把握

この4ステップを習慣化すれば、「知らないうちに逆日歩がついていた…」という事態を防ぎ、リスクを可視化した精度の高い売買判断ができるようになります。

逆日歩が発生しやすい銘柄の特徴と傾向分析

逆日歩は制度信用取引の需給で決まるため、特定の銘柄で偏って発生しやすい傾向があります。

この傾向を知っておくと、空売りや優待クロスの際に危険銘柄を事前に避けることができます。

ここでは、貸借倍率・銘柄タイプ・権利確定月・過去ランキングの4つの観点から、逆日歩が起きやすい銘柄を分析します。

貸借倍率と逆日歩発生リスクの関係

逆日歩が最も発生しやすいのは、貸借倍率が低い銘柄です。

貸借倍率とは、信用買い残 ÷ 信用売り残で算出され、1倍を下回ると売りが買いを上回っている状態(貸株不足)を意味します。

たとえば貸借倍率が0.3倍なら、買い残より売り残が3倍多い=空売り需要が極端に偏っている=貸株が不足しやすく、

その結果、品貸料率(逆日歩)が上昇しやすいという流れになります。

貸借倍率 状態 逆日歩リスク
1.0以上 需給均衡 低い(逆日歩なしが多い)
0.5〜1.0 やや売り超 中程度
0.3未満 売り超過 高リスク(満額逆日歩の可能性)

過去の高逆日歩銘柄を見てみると、貸借倍率が低い銘柄(たとえば0.3前後以下)が目立つ傾向があります。

ただしすべてではなく、例外もありますので絶対的な法則とは言えません。

いずれにせよ、逆日歩を回避したいなら、まず貸借倍率チェックを習慣にするのが第一歩です。

小型株・低流動性銘柄で起こりやすい理由

小型株や出来高が少ない銘柄では、そもそも市場で貸し出せる株数が少ないため、

少しの空売りでも貸株が不足し、すぐに逆日歩がつきやすくなります。

特に以下のような特徴を持つ銘柄は要注意です。

  • 発行株式数が少ない

  • 信用取引市場で人気化している(空売り集中)

  • 流動性が低く、1日の出来高が小さい

たとえば株価が500円前後の小型銘柄で出来高が数万株しかない場合、少量の信用売りでも需給が一気に偏り、満額逆日歩(最高料率)になるケースがあります。

逆に、大型株(日経平均採用銘柄など)ではほとんど逆日歩がつかないのが一般的です。

理由は単純で、貸株供給量が多く、需給が崩れにくいからです。

つまり、人気がある=逆日歩がつきやすいとは限らず、流動性と需給のバランスこそがカギなのです。

権利確定日・優待クロス銘柄の注意点

逆日歩が最も多発する時期は、配当・株主優待の権利確定前です。

いわゆる優待クロス取引(=優待を得るために買いと売りを同時に建てる手法)によって、短期間で空売りが急増し、貸株不足が発生します。

特に以下のような条件が重なると、逆日歩が跳ね上がります。

  • 優待内容が人気(クオカード・金券・食事券など)

  • 発行株数が少ない

  • 一般信用売りが設定されていない

過去の事例では、3月・9月の権利月が最も逆日歩発生件数が多く、2024年3月期には優待クロス関連で満額逆日歩(最高料率)を記録した銘柄が100銘柄以上確認されています。

また、権利付最終日から逆日歩日数が3日になるケースも多く、1日持っただけで3日分のコストを支払うリスクがあります。

優待クロスを行う場合は、一般信用売りが利用できる銘柄を優先するのが鉄則です。

過去の高逆日歩ランキング(事例紹介)

ここで、過去に高額逆日歩が発生した主な銘柄の傾向を見てみましょう。

年度 銘柄例 状況 備考
2024年3月 吉野家HD・すかいらーくHD 優待クロス集中 3日分満額逆日歩(最高料率8円)
2024年9月 丸井グループ・アルペン 優待人気+貸株不足 2〜3日連続逆日歩発生
2023年12月 サンリオ 小型株+需給偏り 株価急騰により制度信用売り殺到

これらに共通するのは、「優待・貸株不足・小型株」の三拍子が揃っていたという点です。

一方で、トヨタや三菱UFJなどの大型株では、過去数年ほとんど逆日歩は発生していません。

過去ランキングを定期的にチェックすれば、どのセクター・時期・優待内容がリスク高いかをパターン化でき、次回以降の取引で逆日歩を避ける判断に活かせます。

  • 貸借倍率が低い(0.5未満)銘柄は高リスク

  • 小型株・出来高少ない銘柄ほど逆日歩がつきやすい

  • 優待権利前(3月・9月)は満額逆日歩が多発

  • 過去ランキングを定期チェックすることで危険パターンが見えてくる

逆日歩は、予想不能なリスクではなく、発生しやすい条件が明確にあるリスクです。

逆日歩と他の取引コストを比較|貸株料・信用金利との違い

「逆日歩って高いって聞くけど、実際どれくらい?」

投資初心者が最も混乱しやすいのが、逆日歩と他コストの違いです。

空売りにかかるコストには、逆日歩・貸株料・信用金利の3種類があり、性質がまったく異なります。

ここではそれぞれの意味・発生条件・コスト差を整理し、どの取引で何がコストになるのかを理解しましょう。

逆日歩 vs 貸株料|どちらが高い?どんな時に差が出る?

まず最も混同されやすいのが「逆日歩」と「貸株料」です。

どちらも株を借りて売る際にかかるコストですが、発生の仕組みがまったく違います

項目 逆日歩 貸株料
対象 制度信用取引 一般信用取引
決まり方 需給で変動(入札) 一律固定(年率)
発生タイミング 貸株不足時のみ 建玉を保有中ずっと
料率 変動(例:0円〜8円/日) 固定(例:年率1〜3%程度)
支払先 貸株提供者(証券金融会社) 証券会社

逆日歩は市場の需給次第で上下する変動コスト、貸株料は契約で決まった固定コストです。

たとえば、SBI証券の一般信用売りでは貸株料が年率1.1〜3.9%(無期限)程度で固定されます。

一方、制度信用で貸株が不足した場合は、逆日歩が1日で年率換算数十%に跳ね上がることもあります。

  • 通常時 → 一般信用(貸株料)の方が安定

  • 優待・権利確定期 → 制度信用(逆日歩)が急上昇しやすい

つまり、安く売りたいなら一般信用、手軽に売りたいなら制度信用と使い分けが重要です。

信用取引コストとの関係|売建と買建の違い

信用取引には「金利」と「貸株料(または逆日歩)」の2種類のコストが存在します。

混乱しやすいのは、売建と買建で課されるコストの内容が違うという点です。

取引区分 主なコスト 内容
買建(信用買い) 信用金利 証券会社から資金を借りるための金利(例:年率2〜3%)
売建(信用売り) 逆日歩 or 貸株料 株を借りるためのコスト(需給 or 固定)

つまり、買建ではお金を借りるコスト、売建では株を借りるコストが発生します。

特に制度信用の売建では、通常は貸株料0円だが、貸株が足りないと逆日歩に切り替わるという仕組みです。

この貸株不足による入札料こそが逆日歩であり、信用金利とは別物です。

  • 買い=お金を借りる(信用金利)

  • 売り=株を借りる(貸株料 or 逆日歩)

どちらも借りる行為だが、対象と性質が違う点を押さえておきましょう。

逆日歩を受け取れるケースはあるのか

逆日歩は、信用売り側が支払うコストであり、制度的には個人の信用買い投資家に分配されることはありません。

ただし、現物株を貸株サービスに出していた場合には、証券会社から貸株料(金利)を受け取れるケースがあります。

これは逆日歩とは別の仕組みですが、株を貸す側にまわるとコストを受け取る立場になるという点では似ています。

逆日歩は支払う側と受け取る側が常に存在するコストであり、制度上は日証金を中心とした証券金融システム内で清算されます。

総コスト比較シミュレーション

最後に、逆日歩・貸株料・信用金利をまとめて比較します。

取引種類 コスト要素 平常時(1日) 貸株不足・権利確定期(1日)
一般信用売り 貸株料 約0.02〜0.05% 変動なし(固定)
制度信用売り 逆日歩 通常0% 数円〜十数円(年率換算で数十%超)
信用買い 信用金利 約0.005〜0.01%

変動なし

たとえば、株価1,000円・100株を3日間空売りした場合、

  • 一般信用(貸株料2%) → 約16円

  • 制度信用(逆日歩1円/日) → 約300円

このように、短期でもコスト差はコスト差は約18倍。

逆日歩は「発生頻度は低いが、ついたときのインパクトが大きい」典型的な変動リスク型コストです。

  • 逆日歩
    制度信用売りで貸株不足のときだけ発生(変動)

  • 貸株料
    一般信用売りで常時発生(固定)

  • 信用金利
    買建で資金を借りたときに発生

逆日歩は一見損に見えますが、制度を理解すれば避ける方法もあります。

逆日歩を回避・抑えるための実践戦略

「逆日歩が怖くて空売りできない」
「優待クロスで思わぬ出費になった」

そんな悩みを防ぐカギは、事前の対策にあります。

逆日歩は完全にゼロにすることは難しいものの、発生リスクを下げ、コストを抑える戦略は存在します。

ここでは初心者でも実践できる5つの具体的な方法を紹介します。

空売り期間を短縮する/権利付き最終日を避ける

最も基本的な逆日歩回避策は、空売りの保有期間を短くすることです。

逆日歩は保有日数 × 料率 × 株数で計算されるため、1日でも短縮すれば、その分だけ支払う金額を抑えられます。

特に注意が必要なのが、権利付き最終日(配当・優待の基準日直前)です。

この日は制度信用の売り注文が集中し、証券金融会社の貸株が急減します。

結果として、翌営業日(=権利落ち日)に満額逆日歩(最高料率)がつくことも珍しくありません。

たとえば3月末の権利銘柄では、権利付き最終日の翌営業日(権利落ち日)に、休日を挟む関係で3日分の逆日歩が一度に発生するケースがあります(日証金方式)。

チェックポイント
  • 権利付き最終日〜権利落ち日の空売りを避ける

  • 空売りは数営業日前の短期取引に限定する

  • 優待クロス狙いは一般信用売りを優先して行う

一般信用売り・無期限信用を使う方法

逆日歩を根本的に防ぐなら、制度信用ではなく一般信用を使うのが最も有効です。

制度信用は証券金融会社を介して市場全体で株を借りるため、需給に応じて料率(逆日歩)が変動します。

一方、一般信用は証券会社が自社在庫を貸し出す方式のため、逆日歩は発生しない代わりに、貸株料が固定で発生します。

信用取引の種類 コストの特徴 逆日歩リスク
制度信用 需給変動(逆日歩あり) 高い
一般信用(短期) 固定貸株料(例:年率3.9%) なし
一般信用(無期限) 低貸株料(例:年率1.1%) なし

SBI証券・楽天証券・マネックス証券などでは、一般信用売り(無期限)を利用すれば、逆日歩ゼロで空売り可能です。

ただし、人気銘柄は一般信用の在庫が即日なくなることも多く、在庫は朝7〜8時台の更新直後にチェックするのが鉄則。

長期ポジションなら、無期限タイプを選ぶことで、安定的に保有できます。

逆日歩予報を事前チェックする習慣

逆日歩は予測できないと思われがちですが、実際には発生確率をスコア化して配信する予報サービスが存在します。

たとえばSMBC日興証券の逆日歩予報では、過去の貸借残高や倍率、需給動向から翌営業日の発生確率と料率の予想を確認でき、当サイトも無料で逆日歩予想(独自算出)が閲覧可能です。

また、IR BANKやYahoo!ファイナンスの貸借倍率ランキングを見るだけでも、逆日歩のつきやすい銘柄を事前に把握可能です。

  • 夜間に貸借倍率0.5未満の銘柄を避ける

  • 優待クロスは発生確率が高いと出ている銘柄を外す

  • 予報サービスは目安であり、過信しないことも大切

こうした事前チェックをルーティン化することで、思わぬ満額逆日歩を避けられます。

優待クロス取引の逆日歩リスクを管理する

優待クロス(つなぎ売り)は人気の高い節税・優待戦略ですが、制度信用を使うと逆日歩の温床になります。

特に一般信用売り在庫が少ない銘柄で、制度信用でクロスを組むと、1日で数千円〜数万円の逆日歩が発生することも。

  1. 一般信用の在庫状況を優先チェック(SBI・楽天は専用ページあり)

  2. 人気銘柄は早めにクロスを組む(1〜2週間前が理想)

  3. 貸借倍率0.5未満の銘柄は避ける

  4. 満額逆日歩時のシミュレーションをしておく

また、権利月(3月・9月)は特に混雑し、当日朝の在庫争奪戦が起きるため、逆日歩ゼロでも在庫が取れないリスクにも注意が必要です。

満額逆日歩を避けるためのポジション設計術

最後に、ポジション設計そのものを見直すことで、逆日歩リスクを根本からコントロールできます。

主なポイントは以下の3つです。

  1. 分散建玉
    同一銘柄に集中せず、複数銘柄に小分けして建てる。
    → 貸株不足の影響を受けにくい。

  2. 建玉のタイミング調整
    権利付最終日や信用残が急増したタイミングを避ける。
    → 売り残急増=逆日歩リスク増大の合図。

  3. ポジション縮小のルール化
    日証金速報で貸借倍率が急低下したらポジションを縮小。
    → 需給悪化を察知して早めに手仕舞う。

こうした設計段階の工夫こそが、逆日歩に怯えず継続的に取引するための最も実務的なリスク管理法です。

  • 制度信用よりも一般信用売りを使う

  • 空売り期間を短縮して日数リスクを下げる

  • 予報サービス・貸借倍率で需給を読む

  • 優待クロスは人気銘柄・直前建てを避ける

  • ポジション設計で分散と縮小ルールを明確にする

逆日歩は運ではなく設計でコントロールできます。

実例で学ぶ|逆日歩で損したケース・得したケース

「知識としては分かったけど、実際どんな損をするの?」

多くの投資家が逆日歩で痛い目を見た経験があります。

ここでは、実際に高逆日歩が発生した具体的な銘柄事例をもとに、どんな状況でリスクが顕在化し、どうすれば避けられたのかを解説します。

また、逆に逆日歩を味方につけたケースもあわせて紹介します。

高逆日歩で利益が吹き飛んだ失敗例

例①すかいらーくHD(2024年3月)

優待クロス取引の定番銘柄として人気の「すかいらーくHD」では、2024年3月の権利付き最終日に1株あたり8円×3日分=24円の満額逆日歩が発生。

100株建てでも2,400円、1,000株なら2万4,000円の逆日歩コストとなりました。

この銘柄は、優待内容が豪華、制度信用の空売りが殺到、一般信用の在庫が枯渇という三重苦の条件が揃っていた典型例です。

結果、優待(2,000円相当)をもらっても、逆日歩(2,400円)で赤字になる逆転損失が発生しました。

学ぶべき教訓

人気優待銘柄は制度信用クロスを避ける。
特に3月・9月の権利月、貸借倍率0.3未満は要注意サインです。

例②サンリオ(2023年12月)

2023年末に株価急騰中だったサンリオでは、出来高が急増する一方で貸株が不足し、1株あたり6円×2日分=12円の逆日歩が発生。

株価が上昇していたため、空売りして下落を狙う投資家が増え、需給が極端に悪化しました。

結果、逆日歩による損失が売買益を上回る形に。

学ぶべき教訓

株価上昇局面での空売りは、逆日歩リスクが急増する。
売りが集中している=貸株不足という需給の歪みを意識することが重要です。

逆日歩を事前に予測して回避できた成功例

例①吉野家HD(2024年9月)

2024年9月の権利月、吉野家HDは優待銘柄として人気でしたが、日証金の貸借倍率が0.18倍と低水準に推移。

多くの投資家は逆日歩が出ると判断し、制度信用ではなく一般信用(無期限)でクロスを実施しました。

結果、制度信用では1株あたり6円の逆日歩が発生したのに対し、一般信用では固定貸株料のみ(約100円前後)で済み、優待+配当の利益をほぼ満額確保できた成功例です。

学ぶべき教訓

貸借倍率と一般信用在庫をチェックすれば、逆日歩は事前回避できる。
数値的な兆候(0.5倍未満)を日々確認する習慣が、最も実用的な防御策です。

例②丸井グループ(2024年9月)

権利確定直前に日証金データで売り残が急増(貸借倍率0.25倍)。

SNSでも逆日歩注意と話題になり、一部投資家がポジションを前倒しで手仕舞いした結果、権利付最終日には逆日歩が満額(8円×3日=24円)に。

事前に撤退していた投資家はコストをゼロで回避できました。

学ぶべき教訓

情報拡散が早い時代では、日証金速報やSNSも需給警報の早期信号になる。

逆日歩が発生した日の株価推移を読み解く

逆日歩が発生した当日や翌日は、株価の動きにも明確なパターンが見られます。

  1. 逆日歩が重くついた銘柄ほど、翌日に買い戻しが集中しやすい。
    → 売り方がコスト回避のため決済を急ぐため、株価が一時的に上昇。

  2. 満額逆日歩翌日の急反発は踏み上げリスクの典型。
    → 売り方の損切りが雪だるま式に発生。

  3. 逆日歩ゼロ(需給均衡)銘柄は、株価が安定しやすい。
    → 貸借バランスが整い、短期的な需給変動が少ない。

学ぶべき教訓

逆日歩は株価の短期反転シグナルになることもある。
売り建てだけでなく、買い方のエントリーチャンスとしても利用可能です。

  • 高逆日歩銘柄の共通点 → 貸借倍率が低く、優待や配当が直前

  • 成功例の共通点 → 一般信用を活用、日証金データを毎日確認

  • 株価も逆日歩に反応する → 翌日の踏み上げ・反発を意識

逆日歩は運ではなく仕組みを知っていたかどうかで結果が分かれるコストです。

よくある質問(Q&A)

ここでは、株初心者が特に混乱しやすい逆日歩に関する疑問を整理しました。

仕組み・タイミング・例外的なケースまで、最も誤解が多い5つの質問に答えます。

逆日歩はいつ確定する?
逆日歩の金額は、権利付き最終日の翌営業日(品貸日)に日証金で入札が行われた時点で確定します。

発生日=貸株不足が発生した日、確定日=翌日の公表時点と覚えましょう。

3月26日(火)に貸株不足 → 3月27日(水)に逆日歩料率が決定・公表。

証券会社によっては、翌営業日の夕方以降に「逆日歩一覧」として掲載されます。

したがって、リアルタイムでは分からず翌日確認が必要です。

チェックポイント

「逆日歩が発生した=前日の取引結果」なので、事前の回避は需給の兆候を読むことが重要です。

満額逆日歩とはどういう意味?
満額逆日歩とは、制度上の最高料率が上限いっぱいまでついた状態を指します。

日証金では通常、品貸料率=基準料率×上限倍率(10倍まで)として上限を設定しています。

たとえば基準料率0.4円の銘柄で、需給逼迫により10倍適用となれば、1株あたり4円が満額逆日歩です。

この満額はそれ以上上がらない最大値で、需給が極端に偏った場合(権利付き最終日・優待銘柄など)に多く見られます。

チェックポイント

満額=制度的リミットなので、逆日歩リスクを読む際は、過去に満額が頻発している銘柄を避けるのが賢明です。

逆日歩がゼロになることはある?
あります。

貸株が十分に確保されており、日証金の入札で需要超過が発生しなかった場合、逆日歩は0円(=発生なし)となります。

この状態は貸借バランスが正常と呼ばれ、貸借倍率1倍前後(=売り残と買い残が均衡)で起こりやすいです。

チェックポイント
  • 貸株に余裕がある → 逆日歩ゼロ

  • 売りが殺到して不足 → 逆日歩発生

信用売り以外でも逆日歩は発生する?
基本的に逆日歩は制度信用の売り建てにのみ発生します。

現物株や一般信用売りでは固定貸株料がかかるだけで、逆日歩は発生しません。

ただし、ETF・REITなどの一部銘柄は日証金の貸借銘柄に指定されており、需給が逼迫すると品貸料として実質的な逆日歩が発生する場合があります。

チェックポイント

そのため、逆日歩が発生=制度信用取引の空売りをしているとほぼ同義と考えて問題ありません。

逆日歩に買いなしは本当に正しいの?
この相場格言は逆日歩がつくほど売りが過熱している=短期的に上がりやすいという経験則です。

つまり、逆日歩が出た=買いチャンスという逆説的な意味を持ちます。

実際、満額逆日歩の翌日に株価が反発する踏み上げ相場はよく見られます。

ただし、中長期的には需給が落ち着けば逆日歩も消え、株価も戻る傾向があります。

チェックポイント

格言は短期の需給読みとしては有効ですが、逆日歩=必ず上昇ではなく、短期の過熱サインとして扱うのが正解です。

  1. 逆日歩は翌日確定・翌日発表

  2. 満額は制度的な上限、ゼロは需給均衡

  3. 信用売りだけが対象、格言は需給シグナル

これらを理解していれば、ニュースや一覧表を見るだけで、今どの銘柄が危険か/チャンスかを即判断できるようになります。

まとめ|逆日歩を理解すれば、恐れる必要はない

逆日歩は、思わぬコストとして恐れられがちですが、実際には仕組みを理解し、需給を読めばコントロールできるリスクです。

ここでは、これまで学んだ内容を整理しつつ、明日から実践できる逆日歩リスク管理のテンプレをまとめます。

逆日歩の要点まとめ

まず押さえておきたいのは、逆日歩とは貸株不足が起きたときに発生する空売りの追加コストという点です。

日証金が行う品貸入札の結果で料率が決まり、計算式は「料率 × 株数 × 日数」で算出されます。

発生タイミングは貸株不足が生じた翌日なので、リアルタイムでは分からず、翌営業日に確定・公表されます。

回避するためには、

  • 一般信用売りを活用する

  • 優待クロスを権利付き最終日前に調整する

  • 逆日歩予報サイトで需給を確認する

といった事前対策が有効です。

チェックポイント

逆日歩は不可避ではなく、予見可能なコスト。
仕組みを理解しておけば、決して恐れる必要はありません。

明日からできる逆日歩チェック習慣

実務に落とし込むなら、日々の取引前に需給バランスを確認する習慣をつけましょう。

具体的には以下の3ステップです。

  1. 日証金サイトで貸借残速報を確認(貸株不足の兆候)

  2. 逆日歩速報サイトで前日の発生銘柄をチェック(需給トレンドの把握)

  3. 証券会社ページで一般信用売り可否を確認(リスク回避手段の確保)

特に、権利付き最終日・優待クロスシーズンは要注意期間。

前日夜に確認するだけでも、満額逆日歩による想定外のコストを避けられます。

チェックポイント

ルールではなく習慣化が最大のリスクヘッジです。

関連リンク・逆日歩速報サイト一覧

逆日歩情報は、複数の公式・民間サイトを組み合わせて確認するのがベストです。

サイト名 主な内容 特徴
日本証券金融(公式) 貸借取引残高・品貸料率 一次情報。翌営業日以降に更新
IR BANK 逆日歩一覧・履歴 銘柄別の履歴参照がしやすい
Yahoo!ファイナンス 株価+逆日歩欄 一般投資家に最も見やすいUI
SMBC日興証券 逆日歩予報 発生確率モデル 予報としての需給シグナルを提供

これらをブックマークしておけば、日々の逆日歩チェックルーティンを自動化できます。

  • 逆日歩は需給の歪みを示すサインであり、過熱・踏み上げ・割安局面を読む上でも重要な指標。

  • 逆日歩=リスクではなく、市場心理の温度計として使えば、投資判断の精度が上がります。

  • 明日からは、逆日歩を恐れずに観察する視点でマーケットを見てみましょう。

信用取引や信用残の概念にも興味がある方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

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