不動産業界のDXを支えるSaaS企業として知られる いい生活〈3796〉 が、ようやく収益改善フェーズに入ってきました。
2026年3月期中間期は売上成長を維持しながら利益面が大きく改善し、通期では黒字転換を見込んでいます。
同社は賃貸管理・賃貸仲介・売買仲介といった不動産業務をクラウドで支援する不動産特化SaaSを展開しており、サブスクリプション型収益の積み上げを軸に事業を拡大してきました。
近年はBPaaS(業務代行)やトランザクション課金の拡充にも取り組み、収益モデルの多層化が進んでいます。
本記事では、FISCOの企業レポートを基に、いい生活の直近業績、ビジネスモデルの特徴、黒字転換に至った背景、そして中長期の成長戦略について整理します。
不動産DXというテーマの中で、同社がどのフェーズに位置しているのかを冷静に確認していきます。
2025年12月08日に掲載されたいい生活<3796>の企業分析
元レポートは下記の通りです。
いい生活<3796>レポートPDF
出典元:FISCO
いい生活〈3796〉 不動産DXを支えるSaaS企業、黒字転換への道筋
いい生活は、不動産業界に特化したクラウド型SaaSおよびBPaaSを提供する不動産テック企業です。
賃貸管理、賃貸仲介、売買仲介といった不動産業務のデジタル化を支援し、業界全体の業務効率向上と透明性向上を目指しています。
2026年3月期中間期においては、収益性の改善が進み、通期での黒字転換が視野に入る状況となりました。
本稿では、直近の業績動向と事業構造、ならびに中長期の成長戦略について整理します。
2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の業績は、売上高1,562百万円(前年同期比7.9%増)となりました。
利益面では、営業利益66百万円、経常利益65百万円、親会社株主に帰属する中間純利益39百万円を計上し、収益性の改善が明確に表れています。
特にEBITDAは341百万円と前年同期比46.7%増となり、過去最高水準を更新しました。サブスクリプションモデルを中心とした安定収益の積み上がりに加え、ソリューション案件の拡大が業績を押し上げた形です。
2026年3月期の業績見通し
会社側は2026年3月期通期について、売上高3,196百万円(前期比5.5%増)、営業利益107百万円、経常利益106百万円、親会社株主に帰属する当期純利益72百万円を見込んでいます。
これにより、通期ベースでの黒字転換が計画されており、これまで続いていた投資フェーズから、収益フェーズへの移行が進みつつあることがうかがえます。
事業概要とビジネスモデル
(1)不動産業界特化型SaaS・BPaaS
いい生活は、不動産業界に特化したSaaSおよびBPaaSを提供しています。
賃貸管理、賃貸仲介、売買仲介といった実務に即したクラウドサービスを月額課金で提供するモデルが中核です。
法改正への迅速な対応や、業務フロー全体を見据えたプロダクト設計により、現場の負担軽減と業務効率化を実現しています。
(2)マルチプロダクト戦略
同社は「業務クラウドシリーズ」と「不動産プラットフォーム」という2系統のサービス群を展開しています。
単一サービスに依存せず、複数プロダクトを組み合わせて導入してもらうことで、顧客単価(ARPU)の向上を図っています。
市場環境と追い風
不動産業界では、契約手続きの電子化や書面規制の緩和など、デジタル化を後押しする制度改革が進んでいます。
加えて、2025年からは不動産取引における「囲い込み」行為の規制が施行され、取引の透明性が一段と重視される環境となります。
こうした市場環境の変化は、業務の可視化やデータ管理を強みとするいい生活のサービスにとって、追い風となる可能性があります。
KPIと財務状況
2026年3月期中間期末時点で、有料課金法人数は1,570社まで増加しました。
ARPUは約145千円に上昇しており、マルチプロダクト化による収益力の強化が進んでいます。
財務面では、成長投資を続けながらも収益改善が進み、経営指標は安定的に推移しています。KPIの積み上がりとともに、利益体質への転換が進行している点が特徴です。
中長期の成長戦略
同社は中期的な目標として、売上高60億円、顧客数5,000社、ARPU10万円を掲げています。この達成に向け、以下の3つを成長戦略の柱としています。
-
顧客基盤の拡大:SaaS導入支援の強化による新規顧客獲得
-
収益力の強化:マルチプロダクト戦略とトランザクション課金の拡大
-
将来への布石:データモダナイゼーションを通じた付加価値創出
リアルタイムでの自動連携を目指したプロダクト開発を進め、不動産業務全体をカバーするプラットフォーム構築を目指しています。
株主還元と資本政策
いい生活は、成長投資と株主還元の両立を基本方針としています。
2026年3月期には1株当たり5.0円の配当を予定しており、安定配当の継続を重視する姿勢が示されています。
また、ROA・ROE・PBRといった資本効率指標の向上を意識した経営を行い、企業価値の最大化を目指しています。
まとめ
いい生活は、不動産業界に特化したSaaSモデルを武器に、安定的なサブスクリプション収益の積み上げを進めてきました。
2026年3月期中間期では収益性の改善が鮮明となり、通期での黒字転換が現実的な目標となっています。
市場環境の変化を追い風に、顧客基盤の拡大とARPU向上をどこまで進められるかが、今後の成長を左右するポイントとなります。
投資家にとっては、黒字定着と中長期成長の両立が確認できるかが注目点となるでしょう。
筆者コメント
いい生活は、派手さはないものの「業界特化×サブスクリプション」という堅実なモデルで、ようやく収益改善が数字に表れてきた銘柄です。
不動産DXというテーマ性に加え、ARPU上昇と顧客数の積み上げが同時に進んでいる点は評価できます。
一方で、成長スピードは緩やかであり、短期的な爆発力を期待する銘柄ではありません。
黒字転換後にどこまで利益率を高められるか、そして中期KPI(顧客数・ARPU)が計画通り進捗するか──この2点を冷静に追っていきたい企業です。
■ この企業を含む【20.情報・通信業【10.情報通信サービス】セクターまとめ】はこちら
20.情報・通信業【10.情報通信サービス】セクター最新動向
【関連記事】決算書の読み方・分析方法|初心者でも「企業の実力」を見抜く完全ガイド
無料で株価チャートや決算データ、アナリストコメントなどを確認でき、企業分析の精度を高められます。
松井証券「マーケットラボ」徹底ガイド|無料機能・使い方・米国株版・他社比較まで解説
ここから確認
2025年07月17日に掲載されたいい生活<3796>のレポート要約
元レポートは下記の通りです。
いい生活<3796>レポートPDF
出典元:FISCO
いい生活株式会社の魅力と将来性を探る
要約
2025年3月期は戦略的投資による損失計上、2026年3月期には黒字転換を見込む。中長期目標として顧客法人数5,000社、顧客あたりAPRU10万円を目指す。
会社概要
いい生活株式会社は不動産会社のDXを支援する不動産テック企業で、クラウド上でSaaS型システムを提供し、業務効率化を図る。
事業内容
同社は不動産業務支援システムを提供するSaaSサービスとDX導入支援を行うソリューションサービスを展開しており、不動産業界のデジタル化を促進している。
業績動向
2025年3月期は売上高3,028百万円(前期比7.8%増)、営業利益37百万円の損失を計上。
一方、2026年3月期には売上高3,196百万円(前期比5.5%増)、営業利益107百万円を見込んでおり、黒字転換を目指す。
今後の見通し
2026年3月期ではSaaS導入支援やデータモダナイゼーション、マルチプロダクト戦略の推進に注力し、黒字転換を目指す。
中長期の成長戦略
同社は売上高60億円、顧客法人数5,000社、顧客あたりAPRU10万円を目標に、「顧客基盤の拡大」「収益力の強化」「将来への布石」を掲げている。
株主還元策
成長投資と安定配当を両立し、企業価値の最大化を図っている。
SDGs・ESGへの取り組み
同社はSDGsとESGに積極的に取り組み、持続可能な社会貢献を目指している。
SaaSとBPaaSのビジネス展開
いい生活株式会社はSaaSとBPaaSを中心にビジネスを展開し、不動産業界に特化した市場特化型SaaSを提供している。
マルチプロダクト戦略を採用し、顧客のニーズに幅広く対応している。
サービスの導入事例
2025年3月期における導入事例では、地域の中核不動産会社や大手企業にSaaSの導入が進んでおり、顧客層の拡大が見られる。
特にビレッジハウス・マネジメントなどがノンカスタマイズ型SaaSを活用して業務効率化を実現している。
ビジネスモデルの特色・強み
同社の強みは、バーティカルSaaSの展開やSaaSオンリーの戦略、マルチプロダクト戦略など多岐にわたる。
賃貸管理会社に特化したサービス提供や自社開発製品の強みが競合他社との差別化要因となっている。
財務状況と経営指標
現金及び預金の減少や固定資産の増加など、資産合計は減少傾向にあるが、自己資本比率は上昇しており、財務の健全性は保たれている。
収益性指標は低下しており、今後の利益水準の回復が課題となっている。
連結キャッシュ・フロー計算書
2019年3月期と2020年3月期の連結キャッシュ・フローは以下の通り、
– 営業活動によるキャッシュ・フロー:2019年3月期は618百万円、2020年3月期は316百万円
– 投資活動によるキャッシュ・フロー:2019年3月期は-656百万円、2020年3月期は-676百万円
– 財務活動によるキャッシュ・フロー:2019年3月期は-34百万円、2020年3月期は-34百万円
– 現金及び現金同等物の末期残高:2019年3月期は739百万円、2020年3月期は345百万円
2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の業績見通しは以下の通り、
– 売上高:3,196百万円(前期比5.5%増)
– 営業利益:107百万円(前期は37百万円の損失)
– 経常利益:106百万円(前期は42百万円の損失)
– 当期純利益:72百万円(前期は39百万円の損失)
いい生活株式会社は積極的な成長戦略と持続可能な経営方針を掲げ、不動産業界のデジタル化に貢献しています。
今後の業績や株主還元策、SDGs・ESGへの取り組みに注目が集まる企業と言えるでしょう。
■ この企業を含む【20.情報・通信業【10.情報通信サービス】セクターまとめ】はこちら
20.情報・通信業【10.情報通信サービス】セクター最新動向
【関連記事】決算書の読み方・分析方法|初心者でも「企業の実力」を見抜く完全ガイド
2024年12月05日に掲載されたいい生活<3796>のレポート要約
元レポートは下記の通りです。
いい生活<3796>レポートPDF
出典元:FISCO
いい生活株式会社のビジネスと成長
要約
いい生活株式会社は不動産業界向けのSaaSを提供し、業務効率化を促進している。売上高の増加や大型案件獲得により業績が持ち直し、今後も成長が期待される。
企業概要と事業内容
いい生活株式会社は不動産業務支援システムをSaaSとして提供しており、不動産取引における課題解決に注力している。
主力サービスには「ESいい物件One」があり、不動産業務全般をカバーしている。
業績動向と今後の見通し
2025年3月期第2四半期の業績では売上高増加や大型案件獲得による実績を示し、持ち直しの兆しが見られる。
将来的な業績予測では売上高の増加や顧客法人数の拡大を目指す成長戦略が示されている。
財務状況の分析
財務状況は資本構造の強化や財務安定性向上が見込まれ、将来的な競争力の強化が期待される。
キャッシュ・フローの減少や投資活動の増加により企業の流動性には注意が必要。
成長戦略とSDGs・ESGへの取り組み
同社の成長戦略は大手企業へのSaaS導入推進や顧客基盤の拡大に焦点を当てており、SDGsへの貢献やESG関連への取り組みを重視している。
社会的責任を果たす企業としての活動に注力している。
株主還元策
株主還元策として、安定した配当を続けることで株主に利益還元を行っている。総合的な株主リターンに配慮しながら、企業価値の向上を図っている。
いい生活株式会社は不動産業界に特化したSaaS企業として成長を続けており、今後も業績の持続的な拡大が期待される。
企業の財務安定性や成長戦略、社会的責任への取り組みなどを総合的に評価すると、投資家にとって魅力的な企業であると言える。
■ この企業を含む【20.情報・通信業【10.情報通信サービス】セクターまとめ】はこちら
20.情報・通信業【10.情報通信サービス】セクター最新動向
【関連記事】決算書の読み方・分析方法|初心者でも「企業の実力」を見抜く完全ガイド
松井証券の「マーケットラボ」は、銘柄分析・チャート・四季報・スクリーニングまでを無料で使える高機能ツールです。
本記事では、松井証券マーケットラボの使い方、機能一覧、米国株版との違い、そして他社ツールとの比較までを徹底解説。
初[…]
