全体動向
8月4日から6日の東京株式市場は、米国の景気懸念と雇用統計を受けた利下げ観測、さらに国内企業の決算発表が入り混じり、値動きの荒い展開となりました。
週初は米景気悪化懸念で大幅安スタートとなったものの、米利下げ期待と好決算銘柄への物色が下支えし、日経平均は2日連続で反発。
為替も円安に振れ、輸出株や主力株の一角を支えました。
初心者向け解説①:雇用統計が株に与える影響
米国の雇用統計は「世界で最も注目される経済指標」と言われます。
非農業部門雇用者数、失業率、平均時給などが毎月第一金曜日に発表され、アメリカ経済の「健康診断表」として位置づけられています。
株価に大きな影響を与える理由は、この数字が米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)の金利政策を左右するからです。
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雇用が強すぎる場合:景気が加熱しインフレが加速する恐れがあるため、FRBは「利上げ」を検討しやすくなります。
利上げは企業の資金調達コストを高め、株価にはマイナス要因になります。 -
雇用が弱い場合:景気減速と判断され、利下げや緩和的な政策が意識されやすくなります。
利下げは株価の押し上げ要因になるため、投資家は積極的に株を買いやすくなります。
今回(7月分)の雇用統計は労働市場の軟化を示し、米株は一時下落しました。
しかし同時に「FRBが近く利下げに動くのでは」という期待が高まり、東京市場では翌日以降の株価下支え要因となりました。
初心者の方は、「雇用統計は単なる数字の発表ではなく、金利シナリオを変えるきっかけ」と覚えておくと理解がぐっと深まります。
初心者向け解説②:押し目買いとは?
株式市場でよく聞く「押し目買い」とは、株価が一時的に下落したタイミングを買いチャンスと捉えて投資する手法のことです。
長期的に上昇傾向にある銘柄が、短期的な調整で下がったときに狙う買い方とも言えます。
例えば、日経平均が心理的節目である4万円を一時的に割り込むと「ここは安く買えるチャンスだ」と考える投資家が現れます。
実際に2025年8月4日の東京市場でも、米景気懸念で日経平均が急落し一時4万円を割り込みましたが、その場面で個人投資家を中心に押し目買いが入り、下げ幅を縮小しました。
重要なのは「押し目買いが成立するのは、全体の相場観がまだ強気であるとき」という点です。
長期的に下落トレンドに入っている銘柄で押し目買いを狙っても落ちるナイフを掴むリスクがあります。
初心者は「株価が下がった=悪いニュース」と短絡的に考えがちですが、相場には「安くなった今こそ買いたい」と動く投資家が必ず存在します。
この攻める投資家心理を理解することで、ニュースと株価の動きがより立体的に見えるようになります。
日別の市況まとめ
8月4日(月)|大幅反落、4万円割れ場面も
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日経平均:508円安の4万0290円
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背景:米景気懸念と前週末の米株安を受け、幅広い銘柄に売りが先行。半導体・金融株が特に弱く、円高進行で輸出株も売られた。
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ポイント:一時4万円を下回るも、個人投資家による押し目買いで下げ幅縮小。
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銘柄動向:ヤマハ、三菱UFJ、ホンダが下落。一方で高島屋やエーザイが上昇。
8月5日(火)|反発、利下げ期待と決算物色
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日経平均:259円高の4万0549円
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背景:米雇用統計を受け利下げ観測が高まり、米株高の流れを引き継いだ。
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ポイント:決算発表銘柄への物色が活発で、日経平均は一時300円超の上昇。
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銘柄動向:TDK、バンダイナムコHD、住友電が上昇。味の素、郵船、ヤマハ発が下落。
8月6日(水)|続伸、好決算と円安で輸出株高
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日経平均:245円高の4万0794円
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背景:好決算を発表した銘柄に買い集中。円安ドル高も輸出株を押し上げ。
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ポイント:米ハイテク株安で半導体株は一時軟調も、主力株と好決算銘柄で相場を支えた。
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銘柄動向:三井不、ダイキン、ソフトバンクGが上昇。リクルート、キッコマン、メルカリは下落。
総括
8/4は米景気懸念で大幅安となったものの、8/5・8/6は利下げ観測や好決算銘柄への買いで反発しました。
為替も円安に振れ、輸出関連株が支えとなりました。一方で半導体関連株は米市場の影響を強く受け、強弱が入り混じる展開でした。
投資家は引き続き「米利下げ観測」「国内決算」「為替動向」という3つの材料を注視する必要があります。