全体動向
12月第3週の東京市場は、日経平均株価が6日連続で下落するなど、軟調な展開が続きました。米国の金融政策に対する不透明感や円安の進行、半導体株の下落が重しとなる一方で、自動車株や一部のディフェンシブ株が下支えする場面も見られました。特に米国のハイテク株安や半導体株指数(SOX)の下落が東京市場に大きく波及し、投資家心理を冷やしました。
日別サマリー
12月16日(月)
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日経平均は 12円安の3万9457円。
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米国半導体株高を受けて東エレクやディスコなど半導体株が買われ、機械受注の堅調さも追い風となり一時100円超の上昇。
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しかし、消費関連株や陸運株が売られ下落に転換。ヤマトHDは日本郵便への委託停止報道で軟調。
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日米中銀のイベントを控え、様子見姿勢が強まった。
12月17日(火)
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日経平均は 92円安の3万9364円で3日続落。
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米ハイテク株高や円安進行を背景に朝方は上昇、一時300円超の上げ幅。
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しかし、アドテスト急落(外資系証券の目標株価引き下げ)で投資家心理が悪化、利益確定売りが広がった。
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円安は1ドル=154円台まで進行したが、輸出株への買いは限定的。
12月18日(水)
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日経平均は 282円安の3万9081円で4日続落。
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SBGなどの主力株に売りが出て下落。
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一方、日本経済新聞の「ホンダと日産が経営統合へ」の報道を受け、自動車株は上昇し下値を支えた。
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翌日のFOMCを控え、利下げ回数減少の観測から米株は大幅安。東京市場でも警戒感が強まった。
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この日新規上場のキオクシアは公開価格を下回ったが、終値では1600円台を回復。
12月19日(木)
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日経平均は 続落、3万9000円割れの場面も。
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FOMCで0.25%利下げが決定されたが、回数減少観測が広がり米株は急落。
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東京市場でも売り優勢、特にハイテク株が軟調。
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日銀は金融政策を据え置いたものの、追加利上げへの圧力観測から投資家は様子見姿勢を強めた。
12月20日(金)
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日経平均は 111円安の3万8701円、6日続落。9月以来の連続下落。
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米半導体株指数(SOX)が3日続落し、東エレクやアドテストなど半導体株に売りが広がった。
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円安は一時1ドル=157円台後半となり自動車株に買いが入るも、相場全体を押し上げるには至らず。
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銀行株は日銀の追加利上げ後退観測で下落。不動産株は上昇し、業種間の明暗が分かれた。
初心者向け解説
「円安=株高」が必ずしも成り立たない理由
一般的に、円安は輸出企業にとって追い風です。例えばトヨタやソニーなどは、海外で製品をドルで売り、その利益を円に換算するため、円が安くなるほど利益が増える仕組みです。
しかし今週のように株価が下がったままというケースもあります。その理由は「過度な円安は外国人投資家にとってリスクになる」からです。海外投資家は円建てで資産を持つため、円の価値が下がりすぎると運用リスクが高まり、日本株を売る動きにつながるのです。つまり、円安は一方向に株高を導くのではなく、「度合い」と「市場心理」によって効果が変わる点を覚えておきましょう。
半導体株がなぜ重要?
半導体は「産業の米」と呼ばれ、スマートフォン、自動車、AI、データセンターなど、あらゆる分野に不可欠です。
特に今の相場では、米国の半導体株指数(SOX)の動きが日本株に直結する構造になっています。今週は米半導体株が3日連続で下落し、日本市場のアドテストや東エレクなども大幅安となりました。その影響で日経平均全体が押し下げられるほどのインパクトが出ています。
初心者は「半導体株が市場全体のバロメーターになる」と理解しておくと、相場の大きな流れを読む助けになります。
金融政策の不透明感とは?
市場では「金利」が最大のテーマです。米国ではFRBが利下げを進めるかどうか、日本では日銀が追加利上げに踏み切るかどうかが注目されています。
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米国: 利下げが鈍化する観測 → 株安要因
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日本: 利上げが進む観測 → 株安要因
今週は「米国で利下げが想定より少なくなるかも」「日銀が今後引き締めに動くかも」という観測が同時に広がり、投資家が警戒感を強めました。金融政策は一国だけでなく世界的に連動するため、初心者でも最低限「米金利」と「日銀の動き」を追っておくことが大切です。
総括
12月第3週の東京市場は、日経平均が6日連続で下落する波乱の週となりました。背景には米FRBの利下げ回数減少観測や日銀の政策不透明感、米ハイテク株安と半導体株下落など海外要因が大きく影響しました。円安による自動車株の底支えは見られましたが、全体的には「金融政策の不透明さ」「世界景気への不安」が売り圧力につながりました。年末にかけてもイベントリスクが多く、引き続き注意が必要です。
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