和田興産〈8931〉は、神戸・阪神間で「ワコーレ」ブランドを展開する分譲マンション会社です。
2026年2月期中間期は販売単価の上昇が収益を押し上げ、売上・利益ともに前年を上回りました。
一方で、好採算案件の減少により通期は増収ながら減益の見通しです。本記事では、中間決算の詳細と今後の業績見通し、中期計画の進捗をわかりやすく解説します。
2025年11月17日に掲載された和田興産<8931>の企業分析
元レポートは下記の通りです。
和田興産<8931>レポートPDF
出典元:FISCO
和田興産〈8931〉―神戸・阪神間のマンション販売に強み。中間期は大幅増益、販売単価上昇が寄与―
概要
和田興産(8931)は、神戸・阪神間を中心に分譲マンション開発を行う総合不動産会社で、「ワコーレ」ブランドを軸に地域密着型の事業を展開している。
2026年2月期中間期は、販売価格の上昇が利益を押し上げ、大幅な増収増益を記録した。
2026年2月期中間期の業績概要
中間期の連結業績は以下の通り。
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売上高:221億82百万円(前年同期比 +10.1%)
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営業利益:27億58百万円(同 +26.8%)
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親会社株主に帰属する四半期純利益:18億44百万円(同 +26.4%)
主力の分譲マンション販売は、引渡戸数こそ前年並みの326戸だったものの、平均販売価格の上昇が売上・利益を押し上げた。
セグメント別の主なポイント
分譲マンション販売(売上構成比 82.8%)
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売上高 前年同期比 +24.0%
-
セグメント利益 同 +62.1%
高価格帯物件の供給が進み、単価上昇が収益改善に直結した。
戸建て住宅販売(売上構成比 2.6%)
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前年同期比 36.5%減収
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引渡戸数が計画を下回り、苦戦
その他不動産販売(売上構成比 7.0%)
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前年同期比 43.2%減
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土地売却等の売上が減少
不動産賃貸収入(売上構成比 7.5%)
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前年同期比 +0.3%
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高い入居率を維持
2026年2月期通期見通し
会社計画は以下の通り。
-
売上高:410億円(前期比 +2.2%)
-
営業利益:45億円(同 ▲14.9%)
売上は増収が見込まれる一方、
好採算プロジェクトの減少により利益率が低下する見通し。
平均販売単価は約5,500万円(前年から約15%上昇)と高水準だが、粗利率は約3ポイント下落する予想。
下半期の引渡状況と仕入進捗
-
下半期の引渡予定 274戸
→ 235戸は契約済み(2025年8月末時点) -
残る物件数については販売活動で充足見込み。
開発中の供給予定(仕入済未発売)
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神戸市:18棟
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阪神間:2棟
-
大阪府:4棟
年600戸ペースの継続供給が可能な状況。
中期経営計画の進捗
中計(2024年2月期〜2026年2月期)では、
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売上高 1,224億円
-
営業利益 118億円
を目標としていたが、営業利益は当初計画を超過する見通し。
新規領域では以下を推進
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系統用蓄電所事業
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高齢者向け住宅型有料老人ホームの開発
地域密着型に加え、事業の多角化を進めている。
株主還元策
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2026年2月期 配当:1株70円(前年同額)
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配当性向:約30.7%
減益見込みでも配当を維持しており、株主還元へのコミットを継続。
会社概要と強み
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創業:1899年
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主力エリア:神戸市・阪神間
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主力ブランド:「ワコーレ」
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強み
• 地域密着の供給体制
• 高い商品企画力
• 安定した賃貸収入ポートフォリオ
総括
和田興産は、主力である分譲マンションの販売価格上昇が業績を牽引し、中間期は大幅な増益を実現した。
下半期の契約進捗も安定しており、販売体制の強さが裏付けられている。
一方で、好採算案件の減少が通期利益を圧迫する見通しであり、粗利率の低下には注意が必要である。
中期計画の進捗は順調で、新規事業や多角化戦略の成果にも期待が高まる。
地域密着型ビジネスの安定感に加え、新規分野が収益基盤をどこまで広げられるかが今後の焦点となる。
筆者コメント
和田興産は典型的な「地場に強いデベロッパー」であり、派手さはないものの、販売単価・契約進捗・仕入バランスの3点が非常に堅実だと感じます。
特に神戸・阪神間は供給が限定される市場で、同社のブランド力は強い。
ただし利益率部分は明確にサイクルが出るため、粗利率の変化と好採算物件の有無が株価の短期ドライバーになると見ています。
中期計画での新規事業は評価ポイントですが、本質的にはやはり 「ワコーレの供給力」を維持できるか が最重要。
今後も販売単価・契約比率の推移を注視したいところです。
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2025年06月12日に掲載された和田興産<8931>のレポート要約
元レポートは下記の通りです。
和田興産<8931>レポートPDF
出典元:FISCO
和田興産株式会社の業績と見通し
業績の概要
和田興産株式会社は、3連続した記録的な利益を達成し、3年間の中期経営計画を通じて初期目標を20%以上上回ると予想されています。
2026年2月までの3つの財政年度の累積利益は、予想をわずかに上回ることが見込まれています。しかし、市況の影響により、FY2/26の利益は低下する見通しです。
FY2/25の業績概要
– 純売上高:40,130百万円、前年比3.4%増
– 営業利益:5,285百万円、前年比16.7%増
– 販売と利益の両方で記録的な高水準を達成
– 他の不動産販売および分譲マンション販売で大幅な成長
FY2/26の見通し
– 純売上高:41,000百万円、前年比2.2%増
– 営業利益:4,500百万円、前年比14.9%減
– 市況の影響により利益が低下する見込み
中長期経営計画の進捗
– 純売上高と営業利益の目標を達成
– 新しい地理的エリアや業界に進出する取り組みが進行中
– 初期利益目標を21.3%上回る
和田興産株式会社の事業概要
分譲マンション販売事業
和田興産株式会社は、FY2/25において、純売上高が2.3%増の30,614百万円を達成しました。
納入戸数は6.4%減少しましたが、販売と利益の両方で増加し、利益率は14.3%でした。
平均販売価格が約9%増加し、需要の高まりと供給の限界に対応して価格を引き下げずに契約を獲得する進展を見せました。
戸建て住宅販売事業
戸建て住宅販売事業は、FY2/25において、純売上高が8.3%減の1,850百万円となりました。
納入戸数は12.5%減少しましたが、セグメントの総利益率は15.3%に向上しました。
利益を確保するために収益性の高い土地の選定に注力し、2年連続で7%台の一貫した営業利益率を達成しました。
その他の不動産販売事業
その他の不動産販売事業は、純売上高が17.6%増の4,300百万円と利益が596.3%増の910百万円を達成しました。
利益は、予想を上回る価格での収益性の高い物件の販売や分譲マンション用の土地の売却により急増しました。
不動産賃貸収入事業
不動産賃貸収入事業は、FY2/25において、賃貸収入が3.0%増の3,282百万円となりました。
しかし、セグメント利益は7.5%減の1,033百万円となり、修繕費の増加や販売原価の上昇が主な要因でした。住宅と店舗の稼働率は95%以上を維持しています。
財務状況と経営指標
財務状況
FY2/25の終了時点で、総資産は110,655百万円に増加し、総負債は77,726百万円でした。
自己資本比率は29.8%に低下し、負債資本比率は1.74倍に増加しました。
同社は、事業運営のために一定の範囲内で借入金を活用し続ける予定です。
キャッシュフロー状況
FY2/25における営業活動による純現金使用額は1,939百万円、投資活動による純現金使用額は2,094百万円でした。
資金調達活動による純現金提供額は3,896百万円でした。現金および現金同等物はFY2/25の終了時点で14,832百万円に減少しました。
経営指標
FY2/25における総資産利益率(ROA)は4.3%、自己資本利益率(ROE)は9.8%、営業利益率は13.2%でした。
同社は8%以上のROE目標を上回りました。自己資本比率は低下し、負債資本比率はわずかに増加しました。
展望
FY2/26の見通し
FY2/26において、和田興産株式会社は売上高の増加と利益の減少が見込まれています。
売上高は41,000百万円に増加し、営業利益は4,500百万円に減少する見通しです。
同社は高収益プロジェクトの減少による利益の低下を予想しています。
分譲マンション販売事業の売上高は、価格上昇により持続すると予想されています。
以上が和田興産株式会社の業績と見通しに関する総合的なまとめとなります。
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17.不動産セクター最新動向
2025年05月19日に掲載された和田興産<8931>のレポート要約
元レポートは下記の通りです。
和田興産<8931>レポートPDF
出典元:FISCO
和田興産株式会社のビジネス展開と財務状況についての総合レポート
会社概要と業績
和田興産は神戸市を地盤とした総合不動産会社であり、不動産販売事業と賃貸その他事業を主軸として展開しています。
2025年2月期の業績では、売上高で前期比3.4%増の40,130百万円、営業利益で同16.7%増の5,285百万円を記録し、3期連続で過去最高益を更新しました。
しかし、2026年2月期の業績見通しでは、売上高は前期比2.2%増の41,000百万円、営業利益で同14.9%減の4,500百万円となる増収減益の見込みです。
事業概要と成長戦略
和田興産の主力事業は分譲マンション販売であり、その他にも戸建て住宅販売や不動産賃貸収入の事業も展開しています。
分譲マンション販売では売上高や利益率が伸長しており、2025年2月期の業績は順調でしたが、戸建て住宅販売は売上が減少しました。
また、その他不動産販売は大幅な増収増益を達成し、不動産賃貸収入も安定した成績を示しています。
中長期の成長戦略では、新築分譲マンションの竣工や自由設計住宅の展開、サステナビリティ経営の推進などが重要な取り組みとして挙げられています。
財務状況と経営指標
2025年2月期末の財務状況では、資産合計が110,655百万円となり、有形固定資産の取得などによる増加が見られました。
キャッシュ・フローの状況では、営業キャッシュ・フローや投資キャッシュ・フローがマイナスとなり、将来の資金需要が増加しています。
経営指標では、自己資本比率が29.8%、ROEが9.8%となり、収益性が向上していますが、D/Eレシオは1.74倍となっており、財務状況の安定に向けた取り組みが求められています。
今後の見通しと株主還元策
2026年2月期の業績見通しでは、特に分譲マンション販売の価格上昇が増収要因となる見通しであり、各事業セグメントにおいて成長を見込んでいます。
また、株主還元策については、配当金を維持する方針を示しており、安定的かつ継続的な配当を実施していくことを基本方針としています。
和田興産は、不動産市況の変化に柔軟に対応し、安定した業績と成長戦略を展開しています。
今後もサステナビリティ経営への取り組みや財務状況の強化を図りながら、持続可能な成長を目指していくことが期待されます。
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17.不動産セクター最新動向
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