トリプルアイズ<5026>AI×GPUで拡大加速|BEX買収で収益基盤を強化し成長へ

トリプルアイズ(5026)は、AIソリューション事業とGPUサーバー事業を軸に成長を目指すテクノロジー企業です。
2025年8月期は売上高5,714百万円(前年同期比+29.6%)と大幅増収を達成したものの、GPUサーバー事業の需要減少や人件費増加が影響し、営業損失61百万円を計上しました。
一方で、2026年8月期は売上収益5,837百万円、営業利益81百万円と黒字転換を予想。
AIインテグレーション需要の継続と契約単価の改善が見込まれており、事業構造の立て直しが焦点となります。
本記事では、FISCOレポートを基に同社の最新業績と成長戦略を分かりやすく解説します。

2025年11月26日に掲載されたトリプルアイズ<5026>の企業分析

元レポートは下記の通りです。
トリプルアイズ<5026>レポートPDF
出典元:FISCO

トリプルアイズ(5026)― AIソリューション好調も、GPUサーバー事業が重荷に。2026年は黒字化へ転換なるか ―

1. 2025年8月期の業績概要

トリプルアイズ(5026)は、AIソリューション事業とGPUサーバー事業を主力とするテクノロジー企業です。
2025年8月期の売上高は5,714百万円と前年から29.6%増加したものの、営業損失61百万円を計上し赤字に転落しました。

  • 売上高:5,714百万円(前年比+29.6%)

  • 営業損失:61百万円(前期は38百万円の黒字)

  • EBITDA:298百万円(同+32.3%)

  • 親会社株主に帰属する当期純損失:343百万円(前期76百万円の黒字)

AIソリューション事業は堅調だったが、GPUサーバー事業は暗号資産マイニング市場の悪化による需要減少が響きました。
また、人件費の増加が利益を圧迫しました。


2. 2026年8月期の業績見通し

会社は2026年8月期に黒字転換を見込みます。

  • 売上収益:5,837百万円(前年比+2.2%)

  • 営業利益:81百万円(前期 61百万円の損失 → 黒字へ転換)

  • 当期利益:36百万円(前期343百万円の赤字 → 黒字化)

AIインテグレーションの需要増加と契約単価の改善、また人員体制の最適化により利益改善を見込みます。

GPUサーバー事業については、暗号資産マイニング向け需要から AI開発用途向けサーバー販売へ転換 を図ることが鍵となります。


3. 事業内容・セグメント分析

AIソリューション事業
  • AIインテグレーション/開発

  • 画像認識プロダクト「AIZE」

  • エンジニアリングサービス

  • AI研修・教育
    顔認証・画像認識技術に強みがあり、複数業界で実績を持つ。

GPUサーバー事業

2023年にゼロフィールドを完全子会社化して本格参入。
GPUマシン販売・保守管理が中心だったが、マイニング市況悪化で需要が減衰。

現在は AI開発用途のGPUサーバー販売へシフト を進めています。


4. 沿革と戦略的提携

  • 2008年 会社設立

  • 2019年 画像認識プラットフォーム「AIZE」提供開始

  • 2022年 東証グロース市場に上場

  • 2023年 ゼロフィールドを子会社化(GPU事業強化)

  • 2024年 BEXがグループ入り

  • ゲームカード・ジョイコHDとも資本業務提携

AI × 事業領域拡張のためのM&Aを積極的に進めています。


5. 財務状況

 貸借対照表(2025年8月期末)
  • 資産合計:4,845百万円(前期比−73百万円)

  • 現金:300百万円

  • 棚卸資産:−324百万円
    売掛金・現金は増加したが、GPUサーバー関連の棚卸資産が大幅に減少。

キャッシュフロー
  • 営業CF:▲68百万円

  • 財務CF:447百万円(主に株式発行)

資金繰りは改善しており運転資金には問題ありません。


6. 中長期成長戦略

トリプルアイズは「AI実装」を軸に、以下を重点戦略として掲げる。

  • AIプロダクト展開の強化

  • レガシー産業へのAI導入推進

  • 資本業務提携・M&Aによる領域拡大

  • 人材採用による開発力強化

  • GPU事業のAI向け用途への転換

特に「AI × 既存産業」は市場規模が大きく、中長期的成長ドライバーとして期待されています。


7. 株主還元とESG

現在は配当なし。
今後は収益力の強化を踏まえた株主還元を検討していく方針です。
また、SDGsの観点からテクノロジー教育の提供や社会インフラのデジタル化支援にも取り組みます。


まとめ

トリプルアイズの2025年は、売上成長こそ大幅だったものの、人件費増加とGPUサーバー事業の苦戦が影響し赤字転落しました。
一方で、AIソリューション需要は強く、技術力とM&Aによる領域拡大は競争優位の源泉となっています。

2026年は黒字転換を見込んでおり、AIソリューションの成長 × GPU事業の方向転換 が達成できれば、再び成長路線に乗る可能性が高いといえます。


筆者コメント

トリプルアイズの本質的な課題は非常に明確で、それは GPU事業が足を引っ張っている点 に尽きます。
暗号資産マイニング需要が消失した今、旧来のGPU販売モデルでは利益が出ないのは当然です。

ただし、同社には明確な追い風があります。

  • 日本国内でAI開発用途のGPU需要が急増

  • エンタープライズ向けのGPUサーバー供給が不足

  • AIインテグレーションは人不足で単価が上昇

AIソリューションは確実に成長領域であり、GPU事業を「AI開発インフラ供給」へリブランディングできれば収益改善は期待できます。

課題は3つ。

  1. GPU事業をどこまで早く転換できるか

  2. 採用強化で増えた人件費を吸収できるだけの案件獲得能力

  3. AIプロダクトの収益化速度が遅い点

2026年は正念場の1年。
黒字化を実現できれば市場の評価は大きく変わると思います。

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2024年12月12日に掲載されたトリプルアイズ<5026>の企業分析

元レポートは下記の通りです。
トリプルアイズ<5026>レポートPDF
出典元:FISCO

トリプルアイズ株式会社(5026 東証グロース市場)の業績と将来展望について

会社概要

トリプルアイズは、AIソリューション事業とGPUサーバー事業を主要事業とし、先端技術を活用したITシステムの提供を通じてイノベーションを追求している企業である。
AI技術を幅広い業界に展開し、経営理念は「テクノロジーに想像力を載せる」。

事業概要

AIソリューション事業では、AIインテグレーション、エンジニアリング、AIプロダクトの提供を行っており、自動車メーカー向けの設計開発も手掛けている。
GPUサーバー事業では、暗号資産のマイニングに使用されるGPUマシンの販売が主な収入源である。

業績動向

2024年8月期の業績は予想を上回り、売上高や営業利益が増加した。BEXの買収によるシナジー効果が顕著に現れ、持続的な成長が期待されている。
2025年8月期はBEXのフル連結効果を考慮し、増収増益が見込まれている。

今後の見通し

トリプルアイズは中長期成長戦略としてAI実装戦略を掲げており、M&Aや新サービス展開に注力している。
AI技術の幅広い活用と外部資本の活用により、事業領域を拡大し、成長を加速させる計画を立てている。

株主還元とSDGsへの取り組み

トリプルアイズは株主還元策として内部留保の充実を優先し、将来的な株主還元を検討している。
また、SDGsへの取り組みとして社会インフラ提供や次世代人材育成に注力し、持続可能な成長を目指している。

財務状況

2024年8月期の売上高は4,410百万円であり、AIソリューション事業の収益拡大が見られる。
資産合計は4,917百万円であり、安定した財務基盤を築いている。

トリプルアイズはAI技術の活用と事業拡大により、成長を続けている企業であり、将来的な展望も明るいと言える。


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