東洋ドライルーブ株式会社は、潤滑・表面処理技術を基盤に、自動車・電子・光学機器など幅広い分野で独自の存在感を示す企業です。
2025年6月期第2四半期では増収増益を達成し、海外拠点の強化や環境対応製品の開発を通じて、持続的な成長に向けた基盤づくりを進めています。
本レポートでは、同社の業績動向、中期経営方針、そして今後の成長戦略を詳しく解説します。
2025年03月12日に掲載された東洋ドライルーブ<4976>のレポート要約
元レポートは下記の通りです。
東洋ドライルーブ<4976>レポートPDF
出典元:FISCO
東洋ドライルーブ株式会社 2025年6月期第2四半期決算説明会レポート
出演者
– 東洋ドライルーブ株式会社
– 飯野 光彦様(代表取締役)
– 鈴木 茂生様(取締役 管理部長)
– 近藤 弘基様(管理部財務経理課長)
決算説明
– 東洋ドライルーブの概要
– 社名: 東洋ドライルーブ株式会社
– 従業員数の変化:514名→503名
– 沿革
– 1962年7月:当社設立
– 2008年2月:ジャスダック証券取引所に上場
– 製品の基本機能
– ドライルーブ:潤滑物質と特殊バインダーを配合した多機能被膜
– 製品ラインナップ
– 第1グループ:潤滑被膜
– 第2グループ:熱関連製品
– 第3グループ:電気関係製品
– 採用例
– 自動車機器、電子部品、光学機器などで採用されている
2025年6月期連結業績サマリー
– 売上高:25億6,600万円(前期比9.0%増)
– 営業利益:4億2,100万円(前期比12.3%増)
– 経常利益:5億1,800万円(前期比24.6%増)
採用先別連結売上高
– 自動車:53.9%
– 光学機器:11.7%
– 電子部品:21.7%
– その他:12.7%
東洋ドライルーブ株式会社の業績レポート
営業利益の分析
営業利益は前年比で微減となり、売上高の増加に対し、製造固定費の増加が影響しています。
売上高の伸びに比べて製造変動費が増えたことから、営業利益は4億2,100万円と5,000万円近く増益しました。
連結損益計算書
売上高は前期比で9.0%増加し、営業利益は2桁の増加率を記録しており、持分法による投資利益が増加しています。
特別利益と特別損失においても変動があり、税金等調整前当期純利益は5億1,900万円となりました。
連結貸借対照表
資産合計は4億4,400万円増加し、純資産合計は4億3,800万円増加しています。持分法会社の利益増加や固定資産の増加が影響しています。
連結キャッシュフロー計算書
営業活動によるキャッシュフローは減少し、投資活動による支出が増加しています。有形固定資産の取得による支出が主な要因となっています。
今後の事業展開
事業活動のイノベーション
新製品の開発やアジア・グローバル展開に注力しています。製品開発や加工生産における技術革新が進んでおり、環境配慮型製品の開発も行っています。
アジア・グローバル展開
中国、タイ、ベトナムなどアジア各国に拠点を持ち、各拠点が力をつけてきている状況です。新たな展開に向けて取り組んでいます。
2025年6月期業績予想
2025年6月期の連結業績予想
売上高は前年比で若干の増収を見込んでいますが、原材料費や人件費の高騰により営業利益は微減と予想されています。
海外の関連会社の業績回復により、経常利益と当期純利益は増益が見込まれています。
1株当たり当期純利益は472.77円、1株当たり配当金は72円と予想されています。
採用先別の売上高構成では、自動車部品や光学機器部品が好調であることが示されています。
中期経営方針と成長戦略
東洋ドライルーブは、創業以来の「表面処理技術による摩擦低減・耐久性向上」という強みを軸に、グローバル市場での競争力強化を図っています。
同社は中期経営方針として「持続的成長と技術革新の両立」を掲げ、以下の3つの重点施策を推進しています。
-
主力事業の収益力強化
自動車・電子部品分野の高付加価値案件を中心に、既存顧客への深耕と新規用途開拓を進めています。
特にEV(電気自動車)関連部品やADAS(先進運転支援システム)向けの精密潤滑コーティング需要の拡大が見込まれています。 -
新製品・新用途開発の推進
環境対応型の水系コーティングや耐熱・耐食性能を高めた新素材の開発を進め、エネルギー機器・航空分野など新たな産業領域への展開を強化しています。
研究開発費は継続的に増加傾向にあり、直近では売上高の約3%をR&Dに投資しています。 -
海外事業基盤の拡大
中国、タイ、ベトナムなど既存拠点の生産効率化を進めるとともに、欧州市場への新規参入を視野に入れています。
現地ニーズに応じた受託加工・技術サポートを強化することで、海外売上比率のさらなる上昇を目指します。
ESG・サステナビリティの取り組み
東洋ドライルーブは、環境負荷低減型製品の開発を通じてカーボンニュートラル社会の実現に貢献しています。
水溶性潤滑被膜など有機溶剤を用いない製品のラインナップを拡充し、製造工程でのCO₂排出量削減にも注力。
また、地域雇用や人材育成を通じた社会貢献活動も推進しており、グローバル企業としての社会的責任を果たしています。
株主還元策と財務方針
2025年6月期の配当は、1株あたり72円を予定しており、前年に続く安定配当方針を継続しています。
同社は株主還元と内部留保のバランスを重視しており、将来的な設備投資・研究開発・海外展開資金を確保しつつ、安定的な利益配分を維持する方針です。
自己資本比率は引き続き高水準を維持しており、財務基盤の健全性が成長投資を支える構造となっています。
総括:堅実な成長を続ける表面処理技術企業
東洋ドライルーブは、表面処理・潤滑技術の分野で確固たる地位を築きながら、次の成長段階に向けた基盤を固めています。
2025年6月期はコスト上昇の影響を受けるものの、海外事業の回復や新製品投入によって中長期的な成長が見込まれています。
自動車・電子・光学といった多様な産業分野に支えられ、堅実かつ着実な成長を続ける企業として、今後も安定した収益拡大が期待されます。
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