東邦ガス<9533>増収増益で中間期好調、累進配当と自己株取得で株主還元を強化

東邦ガス〈9533〉は、愛知・岐阜・三重を中心に都市ガス・LPG・電力などを展開する総合エネルギープロバイダーです。
2025年3月期は売上高が増加した一方で、原燃料コストの上昇により利益は減少しました。
しかし、同社は新たな中期経営計画を策定し、FY3/28までに連結経常利益300億円を目指すなど、「ガス中心」から「多様なエネルギーソリューション事業」への変革を本格化しています。
再生可能エネルギーや水素関連への投資強化、配当維持・自己株式取得による株主還元策も積極的に進めており、脱炭素社会に向けた次世代型エネルギー企業としての成長戦略に注目が集まっています。

2025年12月09日に掲載された東邦ガス<9533>の企業分析

元レポートは下記の通りです。
東邦ガス<9533>レポートPDF
出典元:FISCO

東邦ガス〈9533〉安定収益の都市ガス事業が牽引、資本効率改善と還元姿勢に注目

(2025年12月9日掲載・FISCOベース)

企業概要

東邦ガスは、愛知県・岐阜県・三重県を中心とする東海エリアを事業基盤とし、都市ガス、LPG、電気、周辺サービスを展開する総合エネルギー企業です。
1922年の創業以来、地域密着型のエネルギー供給を続けており、2022年には創業100周年を迎えました。

都市ガス事業では国内トップ3に位置し、顧客数は約310万件に達しています。近年は電力小売や周辺サービスの拡充を進め、エネルギーの枠を超えた価値提供を目指しています。


 2026年3月期中間期の業績動向

2026年3月期中間期の連結業績は、増収増益となりました。

  • 売上高:307,161百万円(前年同期比 +4.7%)

  • 営業利益:23,817百万円(同 +24.7%)

  • 経常利益:26,734百万円(同 +17.1%)

  • 親会社株主に帰属する中間純利益:20,236百万円(同 +12.5%)

ガス事業を中心に利益が大きく改善しており、コスト構造の安定化が収益を押し上げています。


セグメント別の業績状況

(1)ガス事業

主力のガス事業は、売上高200,925百万円(前年同期比 +4.9%)となりました。
販売量自体は前年同期比で0.9%減少しましたが、料金改定の影響などにより増収となっています。

セグメント利益は19,317百万円と、前年同期比で33.2%の増益となり、全体業績を牽引しました。

(2)LPG・その他エネルギー事業

LPG・その他エネルギー事業の売上高は43,168百万円(前年同期比 ▲2.4%)となりました。
この結果、セグメント損失458百万円を計上しており、収益面では引き続き課題が残っています。

(3)電気事業

電気事業は、売上高50,211百万円(前年同期比 +8.5%)と拡大しました。
一方で、セグメント利益は1,242百万円(同 ▲3.1%)と減益となっており、競争環境の厳しさが表れています。

(4)その他事業

不動産管理・賃貸などを含むその他事業は、売上高26,915百万円(前年同期比 +9.2%)、
セグメント利益は2,905百万円(同 +19.9%)と堅調に推移しました。


 財務状況

2026年3月期中間期末の財務状況は、引き続き安定しています。

  • 総資産:760,818百万円

  • 自己資本比率:60.0%

  • 負債合計:304,075百万円

  • 純資産合計:456,743百万円

エネルギー事業という特性を踏まえても、健全性の高い財務体質を維持していると評価できます。


 通期業績見通し

2026年3月期の通期業績予想は以下の通りです。

  • 売上高:630,000百万円(前期比 ▲4.0%)

  • 営業利益:27,000百万円(同 ▲12.6%)

  • 経常利益:33,000百万円(同 +1.8%)

  • 当期純利益:27,000百万円(同 +6.1%)

中間期の好調な進捗を受け、業績予想は上方修正されています。


成長戦略と経営方針

東邦ガスは、中期経営計画において「資本コストと株価を意識した経営」を明確に打ち出しています。
具体的には、保有株式の売却を進めることで資本効率を高め、自己資本を約4,000億円規模に最適化する方針です。

また、コア事業であるガス事業の安定収益を基盤に、電気や周辺サービスを含む戦略事業の拡充を進め、持続的なキャッシュフロー創出を目指しています。


株主還元策

株主還元については、安定配当と累進配当を基本方針としています。

  • 2026年3月期の年間配当予想:90円(前期比 +10円)

  • 配当性向:31.4%(見込み)

加えて、自己株式の取得を進めており、株主優待制度では地域の名産品やガス・電気料金への充当といった地域密着型の還元も行っています。


まとめ

東邦ガスは、主力の都市ガス事業を中心に安定した収益基盤を維持しつつ、資本効率改善と株主還元を同時に進めている点が特徴です。
中間期は増収増益と好調であり、財務体質も引き続き堅固です。

エネルギー価格や需要環境の変化といった外部要因には注意が必要ですが、地域密着型インフラ企業としての安定性と、株主重視の経営姿勢は引き続き評価される局面にあるといえます。

筆者コメント

東邦ガスは、派手な成長はないものの「業績の安定性」「財務の健全性」「株主還元姿勢」の3点が非常に分かりやすい銘柄です。
中間期は増収増益と好調で、特にガス事業の利益改善が全体を支えています。

中期経営計画では資本コストを明確に意識し、保有株式の売却や自己株取得を通じて資本効率を高める方針を示しており、成熟企業としての経営スタンスは一段と明確になっています。

成長株というよりは、ディフェンシブ性と還元重視を評価する投資家向けの銘柄であり、長期保有のポートフォリオに組み入れる価値を冷静に検討したい企業です。

2025年07月10日に掲載された東邦ガス<9533>のレポート要約

元レポートは下記の通りです。
東邦ガス<9533>レポートPDF
出典元:FISCO

東邦ガス株式会社の事業、財務、成長戦略、及び株主還元ポリシーに関する総合レポート

会社概要

東邦ガス株式会社は、愛知、岐阜、三重の三つの東海県に拠点を置く総合エネルギープロバイダーであり、都市ガス、LPG、電力、周辺事業に従事しています。
同社の企業使命は、豊かでエキサイティングな生活の創造と魅力的なコミュニティの発展に焦点を当てています。
同社は2022年に100周年を迎え、変化する時代に適応するために変革を遂げてきました。

事業概要

同社の事業セグメントには、ガス事業、LPGおよびその他のエネルギー事業、電力事業、その他の事業が含まれます。
ガス事業はグループ全体の売上高と利益の重要な部分を占め、パフォーマンスの基盤となっています。
電力事業は現在収益の一部しか占めていませんが、高い成長ポテンシャルを持っています。

成果の傾向

FY3/25では、売上高は増加しましたが利益は減少しました。ガス事業は堅調な売上高を記録し、一方で電力事業は着実な成長を遂げました。
FY3/26については、原材料コストや電力事業の販売数量などの要因により、売上高や利益が減少すると予測されています。

成長戦略

新しい中期経営計画は、戦略的事業の成長を通じて、FY3/28までに30.0億円の連結経常利益を目指しています。
同社は、コア事業の収益性を強化し、現金を戦略的分野に再投資する計画です。

株主還元ポリシー

同社のポリシーは、経営基盤の強化と安定した配当の提供です。利益成長に応じて配当を着実に増やすことを目指しています。
株主還元ポリシーの重要な要素として、自己株式の取得と株主資本の最適化が挙げられます。

東邦ガス株式会社の事業概要

セグメント概要

東邦ガス株式会社は、ガス、LPGおよびその他のエネルギー、電力、その他のセグメントで事業を展開しています。
ガスセグメントは、愛知、岐阜、三重、岡山の主に市内ガスの製造販売、ガス機器、関連サービスに従事しています。
LPGおよびその他のエネルギーセグメントには、LPG、LPG機器、関連製品の販売が含まれます。
電力セグメントは電力の販売に焦点を当てており、その他のセグメントには情報処理サービスや海外開発などの非エネルギー事業が含まれます。

ガス事業:特徴と成果傾向

概要

ガス事業は、東邦ガスの事業の基幹を形成し、売上高の大部分を占めています。セグメントには、特定の県での市内ガス供給、ガス機器販売、輸送などが含まれます。
原材料価格の変動によるセグメント収益のわずかな変動を除けば、売上高は安定しています。販売数量にわずかな減少が見られたものの、売上高はFY3/25に増加しました。

成果の傾向

FY3/25の売上高は429,299百万円に増加し、セグメント収益は20,549百万円でした。販売数量がわずかに減少しましたが、販売価格の上昇がその影響を相殺しました。
顧客数は安定しており、セグメント全体のパフォーマンスに寄与しています。

LPGおよびその他のエネルギー事業:特徴と成果の傾向

 概要

LPGおよびその他のエネルギー事業は、LPG、機器、物流業務などを含む広範囲な事業領域をカバーしています。
売上高は上昇傾向にあり、販売数量は安定しており、セグメント収益には徐々に変化が見られます。このセグメントは東邦ガスの事業の重要な部分です。

成果の傾向

FY3/25では、売上高は101,601百万円に達し、セグメント収益は2,591百万円でした。顧客数と販売数量は増加傾向にあり、セグメントのパフォーマンスを支えています。

これらのセグメントは、東邦ガス株式会社の事業運営において重要な役割を果たし、全体的な財務の安定性と成長に貢献しています。

東邦ガス株式会社の財務報告概要

財務概要

– 総資産は8,458億円減少し、448,394億円
– 総負債および純資産は24,241億円増加し、758,765億円
– 流動比率は194.1%に改善
– 自己資本比率は62.2%に増加
– ROEは6.4%
– ROAは3.8%
– ROSは5.3%

見通しと予測

  • 2025年3月期(連結)では、売上高が前年比 +3.6% 増と、ネット売上は伸長したものの、利益面では減少。純利益・経常利益・営業利益すべて前年を下回りました。

  • 主力のガス事業は売上高 429,299 百万円(+2.4%)と堅調に維持。販売数量はやや減少傾向にあるものの、価格改定が影響を押し上げ要因となりました。

  • LPG/エネルギーその他事業は売上高 101,601 百万円と、ほぼ横ばい。収益性には大きな変化は見られていません。

  • 電力事業は売上高 96,018 百万円(+8.4%)と伸びを示し、黒字転換に成功。電力部門が利益拡大の起点となりました。

  • その他事業(設備・賃貸・情報処理等)は、売上高 61,112 百万円(+12.4%)と高い成長を記録。利益への貢献も拡大しています。

財務面・経営指標

  • 総資産:前期比で増加。負債・純資産も拡大し、自己資本比率は62.2%。

  • 流動比率は 194.1% と改善。健全な流動性体制を維持。

  • ROE:6.4%、ROA:3.8%、営業利益率(ROS):5.3% 程度。

2026年3月期の見通し

  • 売上高:610,000 百万円(前年比 −7.0%)と減収予想。

  • 営業利益:24,000 百万円(−22.3%)と大幅減益を見込む。

  • 経常利益:30,000 百万円(−7.4%)と、こちらも減益。

  • 見通しでは、燃料価格や電力販売量の変動、原材料コスト圧力が主な逆風要因と想定。温暖化や気象変動によるガス需要の揺らぎにも注意が必要としています。


戦略・テーマ/中期経営計画の方向性

  • 新しい中期経営計画(~2028年度)では、連結経常利益 30.0 億円を目標に設定。成長領域への再投資を進め、コア事業の収益性強化に取り組む方針。

  • 事業ポートフォリオ改革を進め、「ガス中心」から「多様なエネルギー・ソリューション事業」へとシフト。電力事業や周辺サービス(設備、情報、サービス事業等)強化が鍵とされています。

  • 再生可能エネルギー・脱炭素化を視野に、再エネ・水素関連などの投資機会を模索。技術開発および業務提携・協業を通じた技術基盤強化を打ち出しています。

  • 割高な原燃料コストを抑制するため、調達効率化や制度対応、長期契約の拡充などを進める計画。


株主還元・配当政策

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