東邦ガス〈9533〉は、愛知・岐阜・三重を中心に都市ガス・LPG・電力などを展開する総合エネルギープロバイダーです。
2025年3月期は売上高が増加した一方で、原燃料コストの上昇により利益は減少しました。
しかし、同社は新たな中期経営計画を策定し、FY3/28までに連結経常利益300億円を目指すなど、
「ガス中心」から「多様なエネルギーソリューション事業」への変革を本格化しています。
再生可能エネルギーや水素関連への投資強化、配当維持・自己株式取得による株主還元策も積極的に進めており、
脱炭素社会に向けた次世代型エネルギー企業としての成長戦略に注目が集まっています。
2025年07月10日に掲載された東邦ガス<9533>のレポート要約
元レポートは下記の通りです。
東邦ガス<9533>レポートPDF
出典元:FISCO
東邦ガス株式会社の事業、財務、成長戦略、及び株主還元ポリシーに関する総合レポート
会社概要
東邦ガス株式会社は、愛知、岐阜、三重の三つの東海県に拠点を置く総合エネルギープロバイダーであり、都市ガス、LPG、電力、周辺事業に従事しています。
同社の企業使命は、豊かでエキサイティングな生活の創造と魅力的なコミュニティの発展に焦点を当てています。
同社は2022年に100周年を迎え、変化する時代に適応するために変革を遂げてきました。
事業概要
同社の事業セグメントには、ガス事業、LPGおよびその他のエネルギー事業、電力事業、その他の事業が含まれます。
ガス事業はグループ全体の売上高と利益の重要な部分を占め、パフォーマンスの基盤となっています。
電力事業は現在収益の一部しか占めていませんが、高い成長ポテンシャルを持っています。
成果の傾向
FY3/25では、売上高は増加しましたが利益は減少しました。ガス事業は堅調な売上高を記録し、一方で電力事業は着実な成長を遂げました。
FY3/26については、原材料コストや電力事業の販売数量などの要因により、売上高や利益が減少すると予測されています。
成長戦略
新しい中期経営計画は、戦略的事業の成長を通じて、FY3/28までに30.0億円の連結経常利益を目指しています。
同社は、コア事業の収益性を強化し、現金を戦略的分野に再投資する計画です。
株主還元ポリシー
同社のポリシーは、経営基盤の強化と安定した配当の提供です。利益成長に応じて配当を着実に増やすことを目指しています。
株主還元ポリシーの重要な要素として、自己株式の取得と株主資本の最適化が挙げられます。
東邦ガス株式会社の事業概要
セグメント概要
東邦ガス株式会社は、ガス、LPGおよびその他のエネルギー、電力、その他のセグメントで事業を展開しています。
ガスセグメントは、愛知、岐阜、三重、岡山の主に市内ガスの製造販売、ガス機器、関連サービスに従事しています。
LPGおよびその他のエネルギーセグメントには、LPG、LPG機器、関連製品の販売が含まれます。
電力セグメントは電力の販売に焦点を当てており、その他のセグメントには情報処理サービスや海外開発などの非エネルギー事業が含まれます。
ガス事業:特徴と成果傾向
概要
ガス事業は、東邦ガスの事業の基幹を形成し、売上高の大部分を占めています。セグメントには、特定の県での市内ガス供給、ガス機器販売、輸送などが含まれます。
原材料価格の変動によるセグメント収益のわずかな変動を除けば、売上高は安定しています。販売数量にわずかな減少が見られたものの、売上高はFY3/25に増加しました。
成果の傾向
FY3/25の売上高は429,299百万円に増加し、セグメント収益は20,549百万円でした。販売数量がわずかに減少しましたが、販売価格の上昇がその影響を相殺しました。
顧客数は安定しており、セグメント全体のパフォーマンスに寄与しています。
LPGおよびその他のエネルギー事業:特徴と成果の傾向
概要
LPGおよびその他のエネルギー事業は、LPG、機器、物流業務などを含む広範囲な事業領域をカバーしています。
売上高は上昇傾向にあり、販売数量は安定しており、セグメント収益には徐々に変化が見られます。このセグメントは東邦ガスの事業の重要な部分です。
成果の傾向
FY3/25では、売上高は101,601百万円に達し、セグメント収益は2,591百万円でした。顧客数と販売数量は増加傾向にあり、セグメントのパフォーマンスを支えています。
これらのセグメントは、東邦ガス株式会社の事業運営において重要な役割を果たし、全体的な財務の安定性と成長に貢献しています。
東邦ガス株式会社の財務報告概要
財務概要
– 総資産は8,458億円減少し、448,394億円
– 総負債および純資産は24,241億円増加し、758,765億円
– 流動比率は194.1%に改善
– 自己資本比率は62.2%に増加
– ROEは6.4%
– ROAは3.8%
– ROSは5.3%
見通しと予測
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2025年3月期(連結)では、売上高が前年比 +3.6% 増と、ネット売上は伸長したものの、利益面では減少。純利益・経常利益・営業利益すべて前年を下回りました。
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主力のガス事業は売上高 429,299 百万円(+2.4%)と堅調に維持。販売数量はやや減少傾向にあるものの、価格改定が影響を押し上げ要因となりました。
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LPG/エネルギーその他事業は売上高 101,601 百万円と、ほぼ横ばい。収益性には大きな変化は見られていません。
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電力事業は売上高 96,018 百万円(+8.4%)と伸びを示し、黒字転換に成功。電力部門が利益拡大の起点となりました。
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その他事業(設備・賃貸・情報処理等)は、売上高 61,112 百万円(+12.4%)と高い成長を記録。利益への貢献も拡大しています。
財務面・経営指標
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総資産:前期比で増加。負債・純資産も拡大し、自己資本比率は62.2%。
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流動比率は 194.1% と改善。健全な流動性体制を維持。
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ROE:6.4%、ROA:3.8%、営業利益率(ROS):5.3% 程度。
2026年3月期の見通し
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売上高:610,000 百万円(前年比 −7.0%)と減収予想。
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営業利益:24,000 百万円(−22.3%)と大幅減益を見込む。
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経常利益:30,000 百万円(−7.4%)と、こちらも減益。
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見通しでは、燃料価格や電力販売量の変動、原材料コスト圧力が主な逆風要因と想定。温暖化や気象変動によるガス需要の揺らぎにも注意が必要としています。
戦略・テーマ/中期経営計画の方向性
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新しい中期経営計画(~2028年度)では、連結経常利益 30.0 億円を目標に設定。成長領域への再投資を進め、コア事業の収益性強化に取り組む方針。
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事業ポートフォリオ改革を進め、「ガス中心」から「多様なエネルギー・ソリューション事業」へとシフト。電力事業や周辺サービス(設備、情報、サービス事業等)強化が鍵とされています。
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再生可能エネルギー・脱炭素化を視野に、再エネ・水素関連などの投資機会を模索。技術開発および業務提携・協業を通じた技術基盤強化を打ち出しています。
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割高な原燃料コストを抑制するため、調達効率化や制度対応、長期契約の拡充などを進める計画。
株主還元・配当政策
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2025年3月期の年間配当金は年間 80 円(中間 40 円、期末 40 円)に設定。配当性向・株主還元を重視。
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株主還元方針として、自己株式取得(100%超の総還元率目標を含む)も継続的に実施。配当と自社株買いを併用した還元形態を重視。
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中期計画期間中は、利益成長との連動を念頭に、配当の段階的な引き上げを志向。株主との利益共有を重視する方針が明記されています。
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