ティムス株式会社(4891)は、難治性疾患に対する創薬研究を行うバイオベンチャーであり、脳梗塞や急性腎障害などを対象とした革新的な治療薬の開発を推進しています。
2025年2月期決算では、主力パイプライン「TMS-007」などのグローバル臨床試験が進展し、研究開発型企業として確かな成長基盤を築きつつあります。
FISCOの最新レポートでは、同社のパイプライン進捗、財務状況、今後の戦略について詳細に分析されています。
2025年04月22日に掲載されたティムス<4891>の企業分析
元レポートは下記の通りです。
ティムス<4891>レポートPDF
出典元:FISCO
ティムス株式会社(4891)|パイプライン進展とグローバル戦略の深化
■ 企業概要
ティムス株式会社は、脳梗塞や急性腎障害などの難治性疾患に対する治療薬開発を手掛ける創薬ベンチャー企業です。
「埋もれた有望な医薬品シーズを世界市場に届ける」をミッションに掲げ、ライセンス契約・共同研究・自社開発を組み合わせたハイブリッド型モデルで事業を展開しています。
主力パイプラインは以下の3件です。
-
TMS-007(JX10):脳梗塞を対象とした血栓溶解薬。
-
TMS-008:急性腎障害治療薬候補。
-
JX09:治療抵抗性・制御不能な高血圧治療薬。
同社はこれらの開発を国内外で同時並行的に進めており、グローバルな臨床体制を確立しつつあります。
■ 決算および事業進捗
2025年2月期決算説明会では、以下のトピックスが報告されました。
【1】主要プロジェクトの進展
-
TMS-007(JX10)
グローバル臨床試験が本格的に開始。脳梗塞治療薬として国際的な臨床データ蓄積を進行中。
また、バイオジェン社時代の試験データを引き継ぎながら、日米中での治験体制を再構築。 -
TMS-008
Phase1臨床試験を完了。急性腎障害を対象とする新規治療薬として、今後の臨床拡大を検討中。
グローバルでの開発・販売権は同社が保有しています。 -
JX09
オーストラリアにてPhase1試験を実施中。高血圧治療領域における差別化薬剤として期待が寄せられています。
【2】CORXEL社との連携・配当効果
連結子会社CORXEL社からの配当金受領により、前期比で純損失が縮小。キャッシュ・フロー改善にも寄与しました。
また、同社の研究開発費増加を吸収しつつ、次年度に向けた財務基盤を維持しています。
【3】研究開発・経営体制
エキスパート人材の採用や財務戦略の強化を継続。研究資金の効率的運用を図りながら、海外施設との協力体制を強化しています。
特に中国および米国での臨床試験登録が進行しており、多国籍治験体制の整備が進んでいます。
■ 財務・業績動向
-
2025年2月期の営業損益は赤字が続くものの、配当収入により損失幅は縮小。
-
研究開発費は拡大傾向にあり、複数パイプラインの治験フェーズ進行が主因。
-
現金残高は安定的に推移し、追加資金調達余力も確保。
CORXEL配当によるキャッシュ・フロー改善や資産増加が確認され、短期的な資金面でのリスクは限定的とみられます。
■ 今後の見通しと成長戦略
今後は、TMS-007のグローバルデータ蓄積が最重要フェーズに入る見通しです。
さらに、TMS-008およびJX09の臨床進捗により、収益化への布石が整いつつあります。
同社は「研究開発投資の加速」と「企業価値の再評価」を両立させる方針を明確にしており、パイプライン価値と株価の乖離是正を中期テーマに掲げています。
■ 株主還元と企業価値向上施策
現時点で配当は未定ながら、将来的な黒字転換を見据えた還元方針を検討。
また、IR活動強化を通じてパイプライン価値の適正評価を促進し、投資家理解の深化を図る方針を示しました。
■ 総括
ティムスは、脳梗塞・腎疾患・高血圧という3大疾患領域で差別化技術を持つ創薬ベンチャーとして確固たる地位を築きつつあります。
2025年以降は、TMS-007のグローバル治験データおよびCORXEL配当による財務改善が企業評価を押し上げる重要な要因となる見込みです。
中長期的には、パイプラインの進展とともに医薬品ライセンス契約の拡大が収益化を後押しするでしょう。
■ この企業を含む【5.医薬品セクター株まとめ】はこちら
5.医薬品セクター株最新動向
無料で株価チャートや決算データ、アナリストコメントなどを確認でき、企業分析の精度を高められます。
松井証券「マーケットラボ」徹底ガイド|無料機能・使い方・米国株版・他社比較まで解説
ここから確認
松井証券の「マーケットラボ」は、銘柄分析・チャート・四季報・スクリーニングまでを無料で使える高機能ツールです。 本記事では、松井証券マーケットラボの使い方、機能一覧、米国株版との違い、そして他社ツールとの比較までを徹底解説。 初[…]