ティムス<4891>脳梗塞薬「TMS-007」治験が進展|創薬ベンチャーが描く成長戦略

株式会社ティムス〈4891〉は、脳梗塞および急性腎障害といったアンメット・メディカル・ニーズ(未充足医療ニーズ)の高い疾患領域で革新的治療薬の開発を進める創薬ベンチャーです。
主力候補「TMS-007」と「TMS-008」はいずれも臨床試験が順調に進行中で、グローバル展開も視野に入れています。2025年12月期中間期の損益は前年並みながら、研究開発は計画通り進行。将来の大型パイプライン価値が市場で再評価されつつあります。

2025年10月27日に掲載されたティムス<4891>の企業分析

元レポートは下記の通りです。
ティムス<4891>レポートPDF
出典元:FISCO

ティムス〈4891〉企業分析― 急性期脳梗塞・腎障害領域で新薬開発を進める創薬ベンチャー ―

■ 企業概要とパイプライン

ティムスは、創薬ベンチャーとして「急性期疾患に対する新しい治療選択肢の提供」をミッションに掲げています。
現在、以下の3つの主要開発プログラムを中心に事業を展開しています。

開発品 対象疾患 開発段階 特徴
TMS-007 急性期脳梗塞 グローバルPh3試験中(ORION) 既存薬t-PAに代わる新機序の血栓溶解剤
TMS-008 急性腎障害 Ph1完了、Ph2準備中 承認薬が存在しない領域での新規候補
JX09 高アルドステロン症など Ph1(オーストラリア) 提携先CORXEL社が臨床実施中

これらのパイプラインに加え、探索段階の新規シーズ研究も複数進行しています。


■ 2025年12月期中間期業績

2025年12月期中間期における業績は、前年同期と同水準の当期純損失となりました。
研究開発費は減少した一方、販売管理費がやや増加。新株予約権による資金調達を実施し、現金残高は前年同期末とほぼ同水準を維持しています。

経営面では財務健全性を確保しつつ、主要パイプラインの臨床開発を計画通り推進しています。


■ 開発進捗の詳細

◎ TMS-007(急性期脳梗塞)

グローバル第Ⅲ相試験「ORION」が進行中。
試験は約20か国・150施設で実施予定、被験者数は740名を計画しています。
有効性・安全性の両面から検証が進められており、唯一の既存治療薬t-PA(アルテプラーゼ)との比較でも、作用機序の違いによる併用の可能性が示唆されています。

同薬の第Ⅰ相試験結果は英国の医学誌で「Top Viewed Article」に選出され、国内外で注目が高まっています。

◎ TMS-008(急性腎障害)

第Ⅰ相試験では安全性・忍容性ともに良好なデータを確認済み。
急性腎障害における承認薬が存在しないことから、希少な市場機会を有しています。現在は第Ⅱ相試験のデザイン確定とPOC(Proof of Concept)確認に向けた準備を進めています。

◎ JX09(アルドステロン合成酵素阻害剤)

提携先CORXEL社がオーストラリアで第Ⅰ相試験を実施中。
同作用機序を持つアストラゼネカ社「Baxdrostat」やMineralys社の開発薬の市場動向が注目されています。ティムスの開発品もグローバル競合環境の中で将来的な価値創出が期待されます。


■ 経営体制と研究開発強化

2025年5月には、開発担当取締役の交代が行われ、外資系製薬企業出身の横田氏が就任。
豊富な国際経験を活かし、グローバル治験体制と薬事戦略の強化を進めています。

また、新たに独立系調査会社「Pathology Associates」がティムスのカバレッジを開始し、アナリスト評価の拡大も進行中です。


■ 今後の展望と課題

ティムスは、今後もTMS-007およびTMS-008の臨床開発を最優先課題として取り組む方針です。
来期にかけては、TMS-008の第Ⅱ相試験開始およびJX09の第Ⅰ相試験完了が重要なマイルストーンとなります。

費用面では、TMS-007に関連する日本国内の試験費用はCORXEL社が負担するため、自社の支出負担増は限定的。
今期と同程度の費用水準で研究開発を継続する見通しです。


■ まとめ

ティムスは、世界的にも治療選択肢が限られる急性期脳梗塞・腎障害領域で新薬開発を進める数少ない企業です。
現在の時価総額(約67億円)は、パイプラインの潜在的価値と比較して依然として低水準との見方もあります。
今後の臨床試験進展が確認されれば、企業価値の見直しが進む可能性が高いでしょう。

筆者コメント

ティムスはまだ赤字フェーズの創薬ベンチャーですが、TMS-007の臨床試験が成功すれば、脳梗塞治療の世界的転換点になる可能性があります。
日本発の創薬企業として、短期的な業績ではなく「どれだけ臨床を積み上げ、データを示せるか」が最重要。
また、TMS-008の腎疾患領域もニーズが高く、仮に導出や提携が進めば資金面のリスクも軽減できます。
創薬ベンチャーは値動きが大きく、ボラティリティを恐れず開発マイルストーンの進捗を軸に見ていく視点が必要だと感じます。


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2025年04月22日に掲載されたティムス<4891>の企業分析

元レポートは下記の通りです。
ティムス<4891>レポートPDF
出典元:FISCO

ティムス株式会社(4891)|パイプライン進展とグローバル戦略の深化

■ 企業概要

ティムス株式会社は、脳梗塞や急性腎障害などの難治性疾患に対する治療薬開発を手掛ける創薬ベンチャー企業です。
「埋もれた有望な医薬品シーズを世界市場に届ける」をミッションに掲げ、ライセンス契約・共同研究・自社開発を組み合わせたハイブリッド型モデルで事業を展開しています。

主力パイプラインは以下の3件です。

  • TMS-007(JX10):脳梗塞を対象とした血栓溶解薬。

  • TMS-008:急性腎障害治療薬候補。

  • JX09:治療抵抗性・制御不能な高血圧治療薬。

同社はこれらの開発を国内外で同時並行的に進めており、グローバルな臨床体制を確立しつつあります。


■ 決算および事業進捗

2025年2月期決算説明会では、以下のトピックスが報告されました。

【1】主要プロジェクトの進展
  • TMS-007(JX10)
     グローバル臨床試験が本格的に開始。脳梗塞治療薬として国際的な臨床データ蓄積を進行中。
     また、バイオジェン社時代の試験データを引き継ぎながら、日米中での治験体制を再構築。

  • TMS-008
     Phase1臨床試験を完了。急性腎障害を対象とする新規治療薬として、今後の臨床拡大を検討中。
     グローバルでの開発・販売権は同社が保有しています。

  • JX09
     オーストラリアにてPhase1試験を実施中。高血圧治療領域における差別化薬剤として期待が寄せられています。

【2】CORXEL社との連携・配当効果

連結子会社CORXEL社からの配当金受領により、前期比で純損失が縮小。キャッシュ・フロー改善にも寄与しました。
また、同社の研究開発費増加を吸収しつつ、次年度に向けた財務基盤を維持しています。

【3】研究開発・経営体制

エキスパート人材の採用や財務戦略の強化を継続。研究資金の効率的運用を図りながら、海外施設との協力体制を強化しています。
特に中国および米国での臨床試験登録が進行しており、多国籍治験体制の整備が進んでいます。


■ 財務・業績動向

  • 2025年2月期の営業損益は赤字が続くものの、配当収入により損失幅は縮小。

  • 研究開発費は拡大傾向にあり、複数パイプラインの治験フェーズ進行が主因。

  • 現金残高は安定的に推移し、追加資金調達余力も確保。

CORXEL配当によるキャッシュ・フロー改善や資産増加が確認され、短期的な資金面でのリスクは限定的とみられます。


■ 今後の見通しと成長戦略

今後は、TMS-007のグローバルデータ蓄積が最重要フェーズに入る見通しです。
さらに、TMS-008およびJX09の臨床進捗により、収益化への布石が整いつつあります。
同社は「研究開発投資の加速」と「企業価値の再評価」を両立させる方針を明確にしており、パイプライン価値と株価の乖離是正を中期テーマに掲げています。


■ 株主還元と企業価値向上施策

現時点で配当は未定ながら、将来的な黒字転換を見据えた還元方針を検討。
また、IR活動強化を通じてパイプライン価値の適正評価を促進し、投資家理解の深化を図る方針を示しました。

■ 総括

ティムスは、脳梗塞・腎疾患・高血圧という3大疾患領域で差別化技術を持つ創薬ベンチャーとして確固たる地位を築きつつあります。
2025年以降は、TMS-007のグローバル治験データおよびCORXEL配当による財務改善が企業評価を押し上げる重要な要因となる見込みです。
中長期的には、パイプラインの進展とともに医薬品ライセンス契約の拡大が収益化を後押しするでしょう。


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