サスメド<4263>不眠症DTxが保険申請へ|ブロックチェーン医療の先導役

デジタル治療(DTx)を手がけるサスメド〈4263〉は、2025年9月に不眠症向けDTxアプリ「SUSMED DTx for insomnia Medcle」で製造販売承認を取得し、保険適用の申請を行いました。
これは日本のDTx市場において重要なマイルストーンであり、同社が長年取り組んできた「ICTによる持続可能な医療の実現」がいよいよ実用段階に入ったことを意味します。
ブロックチェーン技術を活用した臨床試験支援プラットフォーム「SUSMED SDS」も拡大を続けており、研究開発型ベンチャーから実装型企業への転換が鮮明です。
今後は保険収載と市場浸透が収益化の鍵を握る局面となります。

2025年11月06日に掲載されたサスメド<4263>の企業分析

元レポートは下記の通りです。
サスメド<4263>レポートPDF
出典元:FISCO

サスメド〈4263〉企業分析:デジタル治療の先駆けとして進展するDTxスタートアップ

企業概要

SUSMED株式会社(証券コード:4263)は、デジタル治療法(DTx: Digital Therapeutics)の研究開発に特化した医療テック企業です。
従来の薬物療法や医療機器に代わる新しい治療オプションを提供することを目的としており、ICTとブロックチェーン技術を活用した医療データ管理にも強みを持ちます。
2015年設立、2016年法人化、2021年に東証マザーズ(現グロース)市場に上場しました。

同社は、DTxアプリを開発・販売する「DTx製品セグメント」と、製薬企業などに臨床試験効率化ツールを提供する「DTxプラットフォームセグメント」の2軸で事業を展開しています。


1. パイプラインの進展とDTxプラットフォームの拡充

2025年9月、SUSMEDは不眠症治療用DTxアプリ「SUSMED DTx for insomnia Medcle」の製造販売承認を取得し、保険適用の申請を行いました。
これは、国内で数少ない保険収載を目指すDTxアプリとして注目されており、収益化への大きな一歩と位置づけられます。

一方、DTxプラットフォーム事業では、製薬・医療機器メーカーが臨床試験を効率的に実施できる支援ツール「SUSMED SDS」や、AI解析サービス「Awesome Intelligence」などを展開。
契約件数の増加により、事業基盤が着実に拡大しています。


2. FY6/25業績:収益増による損失縮小

2025年6月期(非連結)の営業収益は前年比35.1%増の4億6,200万円と大幅に増加しました。
営業損失は2億9,900万円と、前年の3億6,400万円から改善。
セグメント別では、

  • DTx製品セグメント:営業収益3億円(前年比50.0%増)

  • DTxプラットフォームセグメント:営業収益1億6,200万円(同14.3%増)

と、両部門で成長が見られました。研究開発費は2億7,300万円で、引き続きパイプライン拡大に投資しています。


3. FY6/26業績見通し:保険収載待ちで予想は未定

2026年6月期の業績予想は、保険収載の時期と価格決定が未確定のため開示未定となっています。
ただし、同社は承認済みの不眠症DTxアプリを皮切りに、他疾患向けアプリの開発を加速中。
今後、承認・収載が進めば、製品セグメントの収益構造が大きく変化する可能性があります。


4. 事業別動向

DTx製品セグメント

医師の処方に基づくDTxアプリを提供。
現在12の開発パイプラインを保有しており、不眠症をはじめ、生活習慣病、メンタルヘルス、神経疾患領域への応用が進んでいます。
アプリを通じて行動変容を促す治療を実現し、薬物療法に頼らない新たな医療ソリューションを目指しています。

DTxプラットフォームセグメント

臨床試験のデジタル化を支援する「SUSMED SDS」は、ブロックチェーン技術による改ざん防止機能を持ち、データ信頼性の高い試験環境を提供。
製薬企業からの採用が進み、2022年にはAculys Pharmaとの提携により、ナルコレプシー治療薬の試験を支援するなど実績を積み上げています。


5. 財務状況

2025年6月末の総資産は45億2000万円、純資産は43億7000万円
自己資本比率は約97%と極めて健全な水準です。
2021年12月の上場時に調達した資金により、当面の研究開発費は十分に確保されており、資金繰りのリスクは限定的とみられます。


総括

サスメドは、DTx分野の先駆者として国内外で存在感を高めており、2025年の不眠症アプリ承認取得は大きな転換点となりました。
現時点では赤字が続くものの、保険収載・普及フェーズに入れば、医療機関との連携拡大により収益化が現実的な段階へ移行すると見込まれます。
一方、事業進捗は薬機法上の承認や保険審査のタイミングに左右されるため、中長期的な視点での評価が必要です。


筆者コメント

サスメドは「医療×テクノロジー」の文脈で見たとき、研究開発型から社会実装フェーズへ移る初期段階にあります。
日本でDTxを制度化する流れが進む中、同社の不眠症アプリが収載されれば、他疾患領域(糖尿病・うつ病・依存症など)への波及も十分に期待できます。
短期的には赤字継続で株価変動リスクもありますが、長期では医療費削減に資する新産業モデルの中核企業となる可能性を秘めています。
臨床データとブロックチェーンを組み合わせた「信頼性ある医療DX」という点で、持続的な成長ストーリーが描ける企業です。


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2025年03月25日に掲載されたサスメド<4263>のレポート要約

元レポートは下記の通りです。
サスメド<4263>レポートPDF
出典元:FISCO

サスメド(4263 東証グロース市場)企業調査レポート

会社概要

サスメドは2015年に設立され、ICTの活用による持続可能な医療サービスを提供することをミッションに掲げています。
2018年には東証マザーズに上場し、2022年に東証グロース市場に移行しました。
サスメドはデジタル治療(DTx)の研究開発に注力し、不眠障害治療用アプリ「サスメド Med CBT-i®」の開発やDTxプラットフォーム事業を展開しています。

事業概要

サスメドはDTxプロダクト事業やDTxプラットフォーム事業を通じて、不眠障害治療用アプリや臨床試験システムを提供しています。
2025年6月期中間期の業績は損失が拡大しましたが、DTxプラットフォーム事業が順調に拡大しています。
将来の業績見通しも上方修正され、開発パイプラインの拡充や契約件数の拡大が進められています。

成長戦略

サスメドの成長戦略として、DTxプロダクト事業では開発パイプラインの拡充や臨床試験の進捗を重視し、DTxプラットフォーム事業では契約件数の拡大や新サービスの拡充を重要視しています。
研究開発段階のベンチャー企業であるため、研究開発費用が先行し損失が継続する見込みですが、中長期成長ポテンシャルが期待されています。

財務状況と業績動向

2025年6月期中間期の業績では、事業収益が減少し、営業利益が損失拡大しています。
しかし、DTxプロダクト事業の収益貢献が期待されており、将来の業績見通しも上方修正されています。
資産合計が減少し、負債合計が増加していますが、研究開発資金の確保に成功しています。

サステナビリティ経営

サスメドは環境への貢献や人材育成・社内環境整備、コーポレート・ガバナンスの強化を重要視しています。
治療用アプリの開発によって環境負荷を軽減し、医療費の適正化や抑制に貢献しています。
また、社員の価値観を基にした環境整備やコーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでいます。

サスメドはデジタル治療の分野で注目を集めるベンチャー企業であり、将来の成長が期待されています。
投資家や事業展開に興味のある方にとって、サスメドの事業展開や成長戦略、財務状況、サステナビリティ経営に関する情報は重要な参考になるでしょう。


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