ソフト99コーポレーション<4464>半導体需要が追い風|通期予想を上方修正

ソフト99コーポレーション(4464)は、「ガラコ」などで知られるカーケア用品のリーディングカンパニーであり、ポーラスマテリアル事業でも国内トップクラスのシェアを誇る企業です。

、2026年3月期中間期において売上・利益ともに期初計画を上回る堅調な決算を発表しました。
生成AI向け半導体の需要増加を背景に、ポーラスマテリアル事業が大きく伸長し、利益率も改善。
一方で、2025年に実施されたMBO(経営陣による買収)は不成立となり、対抗TOBを仕掛けたエフィッシモ・キャピタル・マネジメント(ECM)が筆頭株主に浮上しました。
本記事では、事業セグメントごとの評価と、今後の経営方針に影響を与えるTOBの行方まで、FISCOレポートを基に詳しく解説します。

2025年11月28日に掲載されたソフト99コーポレーション<4464>の企業分析

元レポートは下記の通りです。
ソフト99コーポレーション<4464>レポートPDF
出典元:FISCO

ソフト99コーポレーション〈4464〉の業績を徹底分析:半導体関連が牽引、MBO不成立でECMが筆頭株主に

1. 2026年3月期中間期の業績概要

ソフト99コーポレーション(4464)の2026年3月期中間期の連結業績は、期初計画を上回る結果となりました。
売上高は 前年同期比5.9%増の152億52百万円、営業利益は 同6.0%増の19億24百万円、経常利益は 同8.4%増の20億70百万円 を確保しました。

一方で、親会社株主に帰属する中間純利益は 同0.6%減の12億68百万円 と微減となりました。
これは MBO(経営陣による買収)関連費用の計上 によるもので、本業自体は堅調に推移しています。

成長を牽引したのは、生成AI向け半導体需要の急増 にともなう 半導体製造用洗浄材の販売拡大 です。


2. 特別損失の内容(MBO関連費用)

2025年8月に発表した MBO に伴い、公開買付に関する費用 21億5千万円 を特別損失として計上。

これが純利益の減少要因となりました。


3. 事業セグメント別の業績

① ファインケミカル事業
  • 売上高:69億62百万円(前年同期比 +4.7%)

  • 営業利益:7億20百万円(同 ▲17.9%)

メガネクリーナーやガラスケア製品が堅調に推移する一方で、
広告宣伝費・減価償却費の増加が利益を圧迫。
医療向け市場はコスト削減要請により引き続き厳しい状況です。


② ポーラスマテリアル事業
  • 売上高:48億25百万円(前年同期比 +12.1%)

  • 営業利益:9億円(同 +30.7%)

半導体製造ライン用ブラシローラーの需要が大きく増加。
先端半導体の生産量拡大が追い風となっています。


③ サービス事業
  • 売上高:28億14百万円(同▲0.1%)

  • 営業利益:1億42百万円(同 +35.9%)

生活用品は減収だったものの、自動車整備・鈑金、教習事業が好調 で利益が大幅増。

  • 鈑金事業:高単価修理車両の入庫増&プロテクションフィルム販売が好調

  • 教習事業:普通自動車免許取得者の増加が収益に寄与


④ 不動産関連事業
  • 売上高:6億48百万円(同 +3.0%)

  • 営業利益:1億56百万円(同 +12.8%)

温浴施設や介護予防支援事業が伸び、退去の影響を吸収して増収に。


4. 中間期の収益構造の特徴

  • 半導体向けが牽引 → 利益率は16.0% → 18.7%に改善

  • サービス事業は売上横ばいでも利益が大幅改善

  • コスト増があるファインケミカルは利益率が低下


5. 2026年3月期 通期業績予想(上方修正済)

ソフト99は期初予想を上方修正し、
以下の通りと見込んでいます。

  • 売上高:308億円(前期比 +3.6%)

  • 営業利益:41億円(同 +1.6%)

  • 経常利益:43億50百万円(同 +2.9%)

  • 当期純利益:28億円(同 ▲3.9%)

純利益は特別損失の影響で減少の見込みですが、
本業は全セグメントで堅調 と評価されています。


6. 各事業の今後の見通し

ポーラスマテリアル事業

先端半導体向け製品の高い競争力から、今後も中長期で需要拡大が続く見通し

ファインケミカル事業

医療向け市場の低調が続くため、製品ポートフォリオの見直しが課題

サービス事業・不動産事業

人流回復・車需要回復により堅調。


7. MBOとTOBの経緯と結果

ソフト99の非公開化を狙ったMBOを発表(2025年8月)
  • 主導:堯アセットマネジメント(現社長の田中秀明氏が率いる)

  • 買付価格:465円 → のちに 2,680円へ引き上げ

  • 買付下限:756万6400株(35.04%)

背景には、

  • カーケア市場の需要変化

  • 技術要求水準の高度化

  • 化学物質規制の強化

  • 原材料コスト上昇

などがあり、非公開化による機動的な経営を目指したもの。


エフィッシモ(ECM)が対抗TOBを発表(9月12日)
  • 価格:1株 4,100円

  • 下限:616万3300株

→ 11月13日に 6,767,917株の応募で成立
→ ECMが議決権 36.14% を取得し、筆頭株主に。

一方、田中氏のMBOは下限に届かず不成立となりました。

ECMは、
議決権3分の2に届かない場合、同価格での追加TOBを検討 としています。


8. まとめ

  • 半導体向けが絶好調で業績は上方修正

  • MBOは不成立 → ECMが筆頭株主に

  • 半導体事業の成長性は高く、主力セグメントは強い

  • 医療向け・生活用品は改善余地あり

  • 特別損失の影響で最終利益はやや弱いが、本業は堅調

同社の将来性を左右するのは 半導体向けポーラスマテリアル事業がどこまで伸びるか が鍵となります。

筆者コメント

ソフト99は、もはや「カーケア用品の会社」というより、半導体関連素材で稼ぐ企業に近づいています。
今回の業績でも明らかに牽引役はポーラスマテリアル事業で、半導体の構造的な需要増が同社に追い風となっています。

一方で、MBOが不成立に終わった点は印象的です。経営陣主導で非公開化を狙ったにもかかわらず、株主側はそれを受け入れませんでした。
代わりにECMが筆頭株主となり、今後のガバナンスは確実に変化します。経営陣はこれまで以上に説明責任が求められるでしょう。

半導体向けが強いのは確かですが、ファインケミカルのコスト増や医療向け市場の弱さなど、構造的な課題も見えています。
強いセグメントに依存しすぎると、需要変動の影響も大きくなるため、次の成長軸をどう育てるかが中期的なテーマになりそうです。

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2025年07月14日に掲載されたソフト99コーポレーション<4464>のレポート要約

元レポートは下記の通りです。
ソフト99コーポレーション<4464>レポートPDF
出典元:FISCO

ソフト99コーポレーション株式レポート

要約

ソフト99コーポレーションは、カーワックスや洗浄剤、補修材などのカー用品の大手で、ポーラスマテリアル事業で高シェアを持つ成長企業。
2025年3月期は営業利益で過去最高を更新し、2026年3月期は減益見込みも成長が期待される。

事業概要

ソフト99コーポレーションは、ファインケミカル事業とポーラスマテリアル事業を主力とし、海外事業やサービス事業も展開している。
ポーラスマテリアル事業は、子会社のアイオン(株)でPVA素材をベースとしたスポンジ製品を製造し、産業資材や生活資材向けに提供している。
サービス事業では自動車整備・鈑金事業、自動車教習事業、生活用品企画販売事業を展開しており、不動産関連事業も含まれている。

業績動向

2025年3月期はポーラスマテリアル事業が好調で、営業利益が過去最高を記録した。
ファインケミカル事業では一部減収もあったが、ポーラスマテリアル事業の大幅増収が業績をけん引した。
2026年3月期はファインケミカル事業において新基幹システム導入による減価償却費増加が影響し、営業利益が減益見込みとなっている。

今後の見通し

中期経営計画では売上高31,700百万円、営業利益3,780百万円を掲げているが、ファインケミカル事業の苦戦や広告宣伝費用の増加により目標を下方修正している。
しかし、ポーラスマテリアル事業やサービス事業などの堅調な売上推移が期待されており、企業の成長には期待が寄せられている。

株主還元策

ソフト99コーポレーションは増配を継続し、自己株式取得を通じて資本効率改善に取り組んでいる。
PBRが約0.6倍と純資産価値を割れているが、企業価値向上に注力しており、株主に対して安定的な配当を実施している。
2026年3月期では11期連続の増配を予定しており、株主還元策にも力を入れている。

以上がソフト99コーポレーション株式に関する総合レポートです。
企業の事業概要から業績動向、今後の見通し、そして株主還元策までを網羅し、投資を検討する際の参考にしていただければ幸いです。


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