12.運輸・物流セクターまとめ
運輸・物流セクターは、人・モノ・情報をつなぐ社会インフラ産業です。
トラック・鉄道・海運・航空・倉庫・宅配など、多岐にわたる業態で構成され、景気・為替・燃料価格・人手不足といったマクロ要因の影響を最も強く受けるセクターの一つです。
コロナ禍を経て、サプライチェーンの再構築とEC(電子商取引)の拡大が進み、物流の役割は裏方から成長ドライバーへと大きく変化しました。
一方で、トラックドライバー不足・2024年問題(残業規制)・燃料費上昇といった構造課題も顕在化しています。
現在は、自動化・省人化・共同輸送・モーダルシフトなど、「効率性」と「持続可能性」を両立する新時代の物流戦略が進行中。
投資家にとっては、燃料コスト・輸送効率・労働生産性・自動化投資が分析のカギとなります。
12. 運輸・物流セクター
最終更新:2025-10-24
いまの概況
2025年の運輸・物流セクターは、燃料価格の安定化と円安追い風で回復基調。
航空・海運ではインバウンドや観光需要の戻り、国際物流の正常化が進み、
一方で陸運(トラック)はドライバー不足によるコスト上昇が課題となっています。
EC需要の定着によって宅配・倉庫業は引き続き高稼働。
倉庫自動化やロボットピッキングなど、物流DX投資の本格化が進んでいます。
中長期では、再エネ輸送・水素燃料トラック・ドローン物流・自動航行船といった新技術も商用化段階に入り、
“脱炭素×効率化”をテーマに成長を続けるセクターとして再評価が進んでいます。
最新トピック
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海運市況はコンテナ船需給のひっ迫感が薄れ、運賃は高止まりから調整局面へ。
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陸運では人手不足対応で「2024年問題」後の運賃改定や効率化投資が進展。
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空運は訪日外国人需要や国際貨物回復が追い風。
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ESG圧力強まる中、EVトラック・環境対応船・SAF(持続可能航空燃料)の導入が進む。
注目テーマ
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人手不足対応:物流ドライバー不足をどう補うか(自動化・外注・賃上げ)。
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グリーン物流:脱炭素に向けた投資(EVトラック、省エネ船舶、SAF導入)。
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越境ECと医薬品物流:小口・温度管理需要の拡大。
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料金交渉力:人件費・燃料費の転嫁力が利益率を左右。
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新技術導入:自動運転、ドローン配送、AI配車システムの商用化。
KPI(重要指標)
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海運:コンテナ運賃指数(SCFI)、タンカー運賃(WS)。
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陸運:宅配便取扱個数、再配達率、1個あたり単価。
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空運:旅客数(特に訪日客)、国際貨物トンキロ、燃油サーチャージ率。
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共通:営業利益率、ROE、物流効率化によるコスト削減額。
個別レポート
- SBSホールディングス<2384>
└ 2025年は増収を維持しつつ、収益構造改革と拠点最適化を推進 - ハマキョウレックス<9037>
└ 独立系3PL大手。25/3期は過去最高、26/3期も増収増益見込み。中計で27/3期に収益目標を設定。 - ヒガシホールディングス<9029>
└ 物流計画力を武器に25/3期大幅増収益、26/3期も最高益更新見通し。28年プライム市場昇格を目指す。 - 飯野海運<9119>
└ 2025年3月期は売上高1,418億円・営業利益171億円と減益となったものの、財務基盤は堅調。 - AZ-COM丸和ホールディングス<9090>
└ 営業利益は一時的に減益となったものの、2026年3月期には増収増益を見込む。 - 澁澤倉庫<9304>
└ 2025年3月期には増収増益を達成。株主還元は2025年3月期には1株あたり140円、2026年3月期には180円の配当を予定 - 兵機海運<9362>
└ 海運・倉庫の両輪で堅実成長を続け、2026年3月期は増収増益を見込む。
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基礎知識(初心者向け)
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2024年問題とは?
トラックドライバーの時間外労働規制により、運送能力が減少する懸念。業界構造改革が進行中。 -
モーダルシフトとは?
トラック輸送を鉄道・船舶へ切り替えることで、CO₂削減と効率化を目指す取り組み。 -
倉庫業のビジネスモデル
荷主企業からの保管・入出庫・配送委託を受ける。自動倉庫化が収益向上のカギ。 -
陸運・海運・航空の違い
陸運=短距離・高頻度輸送、海運=長距離・大量輸送、航空=高付加価値・国際輸送。 -
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IoT・AI・ロボット・クラウドを活用して、輸送・在庫・人員を最適化する取り組み。
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