9.電機・精密セクター株まとめ

電気・精密セクターは、日本の輸出産業の中核を担うハイテク分野であり、電子部品・半導体製造装置・計測機器・医療機器などを幅広く含みます。
5G、EV(電気自動車)、生成AI、データセンターなど次世代産業の拡大を背景に、世界的な設備投資が続いており、中長期的な成長期待が高い一方で、景気循環や為替の影響を強く受けるのが特徴です。

とりわけ、半導体製造装置や精密機器はグローバルサプライチェーンの最上流に位置する産業であり、米中摩擦・地政学リスク・為替変動といったマクロ要因が業績を左右します。
投資家にとっては、技術革新の成長ポテンシャルと景気感応度の高さを併せ持つセクターとして、短期トレードから中長期のテーマ投資まで幅広く注目されています。

9. 電気・精密セクター ハブ

最終更新:2025-10-31

いまの概況

2025年秋の電気・精密セクターは、AI投資の追い風と在庫調整の狭間にあります。
生成AIやデータセンター向けの半導体需要が回復基調にある一方で、
一部の電子部品や製造装置では過剰在庫の解消が遅れ、出荷ペースに地域差が見られます。

円安基調が輸出採算を押し上げる一方、海外金利上昇によるIT投資抑制や中国景気減速が懸念材料。
精密機器や医療分野では、欧米市場の安定需要と国内の研究投資拡大が業績を下支えしています。

中期的には、AIサーバー、EV向けパワー半導体、次世代医療機器など構造的な成長テーマは堅調で、
技術革新と為替動向が企業収益を左右する局面が続いています。

注目テーマ

  • 半導体需要:AI・自動運転・データセンター向け投資が拡大。

  • EV・電動化:バッテリー・モーター・パワー半導体関連の需要増。

  • ヘルスケア機器:高齢化社会で医療機器・計測機器の安定需要。

  • 環境規制・脱炭素:省エネ部品や再エネ機器の普及で成長機会。


KPI(重要指標)

  • 受注残高/受注率

  • 営業利益率・ROE

  • 為替(特にドル円・ユーロ円)影響度

  • 半導体投資サイクル(設備投資動向)

  • 医療機器・計測機器の世界シェア


リスク要因

  • 半導体市況の変動(需給の波が大きい)

  • 為替変動(円高は輸出採算の重荷)

  • サプライチェーン寸断(地政学リスク)

  • 研究開発費の増加(競争激化に伴う負担)


株主還元・投資視点

  • 自社株買いや増配を通じた還元姿勢が目立つ。

  • 技術革新による成長余地は大きいが、市況変動の影響も強く中期投資向き。

  • 世界シェアや特許数、研究開発投資効率が評価ポイント。

最新トピック

  • 半導体関連株:生成AI需要で中長期は堅調、短期は在庫調整リスク

  • 精密機器:円安メリットを享受、欧米需要は一服感

個別レポート

  • 平山ホールディングス<7781>NEW
    └ 2025年6月期は売上高362億円・営業利益12.7億円で過去最高を更新。中期計画でさらなる成長を目指す
  • タムロン<7740>
    └ カメラ用交換レンズ大手。25/12期は5期連続増収増益を計画
  • CGSホールディングス<6633>
    └ 金型用CAD/CAMで国内トップシェア。製造業DXインテグレーター化を掲げ、30/12期売上100億円を目標
  • ネクスグループ<6634>
    └ 25/11中間で大幅増収。IoTからWeb3・メタバース事業へシフト。M&Aによる収益拡大が進展
  • マクセル<6810>
    └ アナログコア技術+成長分野+還元強化。26/3期も増収増益を見込み、中期計画で売上1.5兆円・営業益120億円を目指す
  • ワコム<6727>
    └ デジタルペン技術を軸に増収増益を維持し、次期経営計画「Chapter 4」でDX市場への展開を強化する
  • アクセル<6730>
    └ 2025年3月期は減収減益となったものの、G-LSI分野のシェア拡大と生産効率の改善により業績は底堅く推移
  • SMK<6798>
    └ 2026年3月期に向けては、構造改革プログラムの加速と収益性の改善を進め、グローバル競争下での持続的な企業価値向上を目指す
  • 精工技研<6834>
    └ 2025年3月期は光製品事業の拡大が寄与し、営業利益が前年比約2.7倍と急増
  • 筑波精工<6596>
    └ 2025年3月期は半導体市況の調整影響で減収・営業赤字。2026年3月期には増収・黒字化を見込む
  • シンシア<7782>
    └ 2025年は売上高6,652百万円(前期比+1.7%)、営業利益268百万円(同-44.6%)を見込み、増収・減益の計画
  • テックポイント・インク<6697>上場廃止
    └ 2024年に売上高7,061万米ドル・営業利益1,907万米ドルと増収増益を達成
  • エブレン<6599>
    └ 2025年3月期は一部事業で減速。計測・制御分野の拡大と中期的な収益構造の強化により増収増益を見込む
  • オーバル<7727>
    └ 2032年に売上高200億円を目指す「Imagination 2025」計画を推進中
  • シード<7743>
    └ 2025年3月期上期(第2四半期)は、増収減益。中長期的に安定的な配当の実施を継続する方針
  • ミマキエンジニアリング<6638>
    └ 産業用インクジェットプリンタで好調な業績を維持し、「Mimaki V10」目標を前倒し達成
企業情報をより深く分析したい方は、松井証券が提供するツールがおすすめ。
無料で株価チャートや決算データ、アナリストコメントなどを確認でき、企業分析の精度を高められます。
松井証券「マーケットラボ」徹底ガイド|無料機能・使い方・米国株版・他社比較まで解説
ここから確認
関連記事

松井証券の「マーケットラボ」は、銘柄分析・チャート・四季報・スクリーニングまでを無料で使える高機能ツールです。 本記事では、松井証券マーケットラボの使い方、機能一覧、米国株版との違い、そして他社ツールとの比較までを徹底解説。 初[…]

松井証券「マーケットラボ」徹底ガイド|無料機能・使い方・米国株版・他社比較まで解説

 

基礎知識(初心者向け)

  • 半導体投資サイクル:好況期→設備投資増→供給過剰→調整→再び拡大、を繰り返す。
  • 為替の影響:1円の円高で営業利益が数十億円減少する企業もある。
  • ROEと研究開発投資:電気・精密セクターでは、成長のための研究開発費がROEを圧迫することも多い。