2024年11月1日に一般社団法人証券リサーチセンターが発行したレポートでは、東証グロース市場に新規上場したSapeet株式会社(以下、Sapeet)について紹介されています。SapeetはAI技術を駆使して専門家の知識やノウハウを可視化し、それをもとに業績の拡大を支援する企業です。この記事では、同社の事業概要や成長戦略、さらには注目される売上構成や主要顧客について詳しく解説します。
Sapeetの事業概要
AI技術で専門家のノウハウを再現する「Expert AI事業」
Sapeetは、AI技術を活用した「Expert AI事業」を展開しており、画像認識や自然言語処理、機械学習/深層学習、さらには最新の生成AI技術も取り入れています。この事業を通して、Sapeetは各業界の専門家が蓄積した技術や知識を可視化し、他の人が同様の業務を再現できるようにすることで、顧客の業績向上をサポートします。
主力サービス
Sapeetが提供する主力サービスは以下の2つです:
- AI身体分析アルゴリズム:身体画像から体のゆがみを推定し、接骨院や整体師、フィットネスジムなどのウェルネス業界で活用されています。
- コミュニケーションアルゴリズム:LLM(大規模言語モデル)と生成AIを活用し、優秀な営業担当者のノウハウを再現して、コミュニケーション業務を支援します。
このように、AIを使って業務効率を向上させるSapeetのサービスは、健康産業とビジネスの両面で価値を提供していることが特徴です。
事業の収益構造
売上高の内訳
Sapeetの売上高は「AIソリューション」と「AIプロダクト」の2つのカテゴリーに分かれています。2023年度の売上構成比では、AIソリューションが34.0%、AIプロダクトが65.8%を占めています。
- AIソリューション:コンサルティングやシステム開発を通じたプロジェクト型のフロー収入が主流です。例として、デイトナ・インターナショナルやネムールなどの企業向けにカスタマイズされたシステム開発を行い、利用者の体型に応じた商品提案システムを提供しています。
- AIプロダクト:主にSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態で提供され、継続的な収益を生むストック型収入です。
このように、Sapeetのビジネスモデルは、顧客に長期的な価値を提供するためのコンサルティングと、収益の安定性を確保するSaaS型プロダクトの両方で構成されており、収益基盤の多様化を図っています。
Sapeetの主要顧客と成功事例
Sapeetは、デイトナ・インターナショナルやネムールなどの主要企業と取引を行っており、顧客ニーズに応じたAIソリューションを提供しています。
デイトナ・インターナショナル向けソリューション
デイトナ・インターナショナルには、店舗内のインタラクティブミラーに搭載されたカメラを用いて、来店者の顔立ちやパーソナルカラーに基づく商品提案システムを提供しています。このシステムはOMO(Online Merges with Offline)の店舗戦略に合わせて導入され、デイトナの顧客体験を高める役割を果たしています。
ネムール向け睡眠支援システム
山形県に拠点を持つネムールには、顧客の性別、身長、体重、寝姿勢に応じた分析を行い、最適な枕やマットレスを提案するシステムを開発しました。これにより、ネムールは顧客によりパーソナライズされた睡眠環境の提供を可能にしています。
成長戦略と今後の展望
Sapeetは今後、以下の2つの戦略を軸に事業拡大を目指しています。
- AIソリューションの適用領域拡大
接骨院やフィットネスジム以外にも、他の健康産業やビジネス分野への進出を模索し、多様な業界に対する支援を強化しています。 - AIプロダクトの開発強化
AIプロダクトの機能改善や新たなSaaSプロダクトの開発により、持続的な収益基盤の強化を図ります。既存顧客に対する新サービスの提供も視野に入れており、顧客満足度の向上も期待されています。
Sapeetの成長可能性と投資の注目ポイント
SapeetはAI技術を駆使して専門家のノウハウを再現する先進的な企業として注目されています。同社の収益構造は安定的なストック収益とフロー収益のバランスが取れており、顧客のニーズに応じたソリューションの提供により、高い顧客満足度とリピート率が期待されます。また、急成長を遂げるAI市場でのポジションを強固にすることで、中長期的な成長が期待されています。
Sapeetは、AIを活用した専門的なノウハウの可視化と再現で、ビジネスと健康産業に革新をもたらすリーダー企業です。今後も注目すべき存在として、多くの投資家や業界関係者に影響を与えていくでしょう。