ノムラシステムコーポレーション〈3940〉は、ERP導入コンサルティングを中核に、クラウド・ビッグデータ分野へ事業領域を拡大する独立系ITソリューション企業である。
2025年12月期はDX分野への先行投資により一時的な減益を見込むが、SAP S/4HANA移行需要の取り込みとプライム案件比率の上昇を背景に、中長期的な成長ステージへの転換を図っている。
2025年12月11日に掲載されたノムラシステムコーポレーション<3940>の企業分析
元レポートは下記の通りです。
ノムラシステムコーポレーション<3940>レポートPDF
出典元:FISCO
ノムラシステムコーポレーション<3940>の事業構造と成長戦略
ノムラシステムコーポレーションは、企業向けITコンサルティングを主力とする独立系SI企業です。
1986年の設立当初はソフトウェア設計請負を中心に事業を展開していましたが、IT環境の高度化に伴い、現在ではERP(基幹系統合システム)導入コンサルティングへと事業の軸足を移しています。
特にSAP関連領域に強みを持ち、SAP S/4HANAを中心とした基幹システム刷新需要を取り込みながら、高付加価値なプライム案件へのシフトと、ライセンス販売を含むストックビジネス化を進めている点が特徴です。
2025年12月期 第3四半期までの業績動向
2025年12月期第3四半期累計の連結業績は、増収増益となりました。
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売上高:2,487百万円(前年同期比2.2%増)
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営業利益:432百万円(同8.6%増)
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経常利益:439百万円(同10.2%増)
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四半期純利益:299百万円(同9.6%増)
売上高の通期計画に対する進捗率は71.6%にとどまっているものの、利益面ではすべての指標で通期計画をすでに上回る水準に達しています。
この要因としては、既存顧客からの追加受注に加え、利益率の高いプライム案件の比率が上昇したことが挙げられます。
プライム案件拡大による収益構造の変化
同社の業績を押し上げている主因は、プライム案件の増加です。
SAP導入プロジェクトにおいて元請として案件を受注することで、収益性の高いビジネスモデルへの転換が進んでいます。
なかでも、NHKエンタープライズ向けのSAP S/4HANA導入プロジェクトでは、納期通りの完遂を実現し、プロジェクト成功率100%を達成しました。
この実績が高く評価され、追加案件の受注にもつながっています。
加えて、大手自動車部品メーカー、公立大学、大手製薬会社などからの受注も堅調で、PMO(プロジェクト管理支援)サービスが業績を下支えしています。
現在、プライム案件の売上構成比は約6割まで上昇しており、従来型のFIS(Function Implement Service)案件と比較して、利益率には約10ポイントの差があるとされています。
課題とコスト面での留意点
一方で、プライム案件へのシフトが進むなか、FIS案件は減少傾向にあります。
今後も安定的に成長していくためには、プライム案件を継続的に獲得できる体制を維持できるかが重要な課題となります。
また、次世代戦略事業部を中心にDX関連投資を積極的に進めており、人件費や開発コストの増加が見込まれています。
ただし、これらは将来の成長を見据えた先行投資であり、短期的な利益変動については一定程度織り込まれていると考えられます。
2025年12月期の通期見通し
会社側が公表している2025年12月期の通期業績予想は以下の通りです。
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売上高:3,472百万円(前期比6.0%増)
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営業利益:減益予想
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経常利益:減益予想
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当期純利益:減益予想
もっとも、第3四半期時点での利益進捗を踏まえると、利益面については上振れ余地があると見られます。今後の受注状況や案件進捗次第では、業績予想が見直される可能性も考えられます。
SAP S/4HANA移行需要と中期成長の方向性
同社は2027年頃までを「成長の加速期間」と位置付けています。
これは、SAP ERP 6.0の保守終了に伴い、SAP S/4HANAへの移行需要が本格化する時期と重なるためです。
この移行により、クラウド、AI、IoT、ビッグデータ分析などの先進技術を組み込んだ提案が可能となり、コンサルティングの付加価値向上が期待されています。
同時に、SAP認定コンサルタントの育成や資格取得を推進し、人的基盤の強化にも取り組んでいます。
次世代戦略事業部とストック型収益の拡大
次世代戦略事業部では、DX領域を中心とした新規事業の開発を進めています。
ライセンス販売や自社ソリューションを軸としたストック型収益の拡大を目指しており、中長期的には収益の安定化に寄与する見通しです。
また、人材面では離職率の抑制や働きやすい環境づくりにも注力しており、コンサルタントの定着と育成を重視する姿勢がうかがえます。
財務体質と株主還元
同社は無借金経営を継続しており、2024年12月期末時点の自己資本比率は87.8%と非常に高い水準にあります。
キャッシュポジションも潤沢で、財務面の安定性は高いといえます。
株主還元については安定配当を基本方針としており、2025年12月期は1株当たり4.00円(配当性向40%)を予定しています。
加えて、自社株買いも3期連続で実施しており、株主還元姿勢は一貫しています。
まとめ
ノムラシステムコーポレーションは、
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プライム案件への構造転換
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SAP S/4HANA移行需要の本格化
という2つの追い風を受けながら、着実に収益力を高めています。
短期的には先行投資によるコスト増が意識される場面もありますが、安定した財務基盤と高付加価値コンサルティングを背景に、中期的な成長余地は大きいと考えられます。
筆者コメント
ノムラシステムコーポレーションは、単なる「SAP人月ビジネス」から一段階進み、元請・PMO・テンプレート活用による高付加価値モデルへ移行している点が評価できます。
売上成長は緩やかでも、利益進捗が先行している構図は、受注内容の質が変わってきた証左といえるでしょう。
SAP S/4HANA移行という明確な需要期限が見えるなか、無借金かつキャッシュリッチな財務体質を背景に、中期での安定成長シナリオは描きやすい企業だと感じます。
派手さはありませんが、「業績の読みやすさ」を重視する投資家にとっては、継続的にウォッチしたい銘柄の一つです。
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2025年03月18日に掲載されたノムラシステムコーポレーション<3940>のレポート要約
元レポートは下記の通りです。
ノムラシステムコーポレーション<3940>レポートPDF
出典元:FISCO
ノムラシステムコーポレーションの株式と業績に迫る
企業調査レポートの概要
1986年に設立されたノムラシステムコーポレーションは、オープン化コンサルティング業務やソリューション提供業務を主力とし、ITの急速な進化に乗って事業構造を変え、ERPパッケージ導入におけるコンサルティング業務に注力しています。
2025年12月期は中長期成長に備えるための踊り場に位置し、業績向上を目指しています。
同社は次世代戦略事業部を強化し、国内ERP市場やクラウド市場、ビッグデータ市場の拡大を見込んでいます。
業績予想と成長戦略
2025年12月期の業績予想では、売上高が前期比6.0%増の3,472百万円となっておりますが、営業利益、経常利益、当期純利益は2ケタの減益が予想されています。
同社はプライム案件・準プライム案件の比重を高め、利益率向上を図る方針であり、将来的な成長に期待が寄せられています。
事業展開と将来展望
ノムラシステムコーポレーションはDX事業への先行投資に注力し、2027年問題に備えて「SAP S/4HANA」への切り替えを進めています。
また、PMOサービスにも注力し、大企業からの受注拡大を目指しています。
将来展望では、自社ソリューションの開発や人材育成に投資し、プライム案件の受注増を目指しています。
先行投資が収益向上に繋がることが期待され、中長期的な展望は明るいと見込まれています。
株主還元と経営安定性
ノムラシステムコーポレーションは無借金経営であり、高い自己資本比率を維持しています。
安定的な配当金の実施や自社株買いを行い、株主還元に積極的に取り組んでいます。2025年12月期も1株当たり3.25円の配当を継続し、配当性向40%以上の安定配当を続ける方針であります。
株主還元に関する前向きな取り組みが評価され、経営の安定性と将来の成長に期待が寄せられています。
ノムラシステムコーポレーションは、業績向上や成長戦略の推進を通じて、安定的な株主還元と将来展望への期待が高まっています。
株式投資家にとって注目すべき企業であり、今後の動向に注目が集まるでしょう。
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