2025年8月の東京株式市場は、米国の利下げ観測と好決算銘柄への買いを背景に、月を通して上昇基調を維持しました。
中旬には日経平均が史上最高値を連日更新する場面もあり、個人投資家を中心に強気ムードが広がりました。
一方で、月末には利益確定売りやリバランス要因が重なり、上値の重さを感じる局面も見られました。
本記事では、8月の相場全体を「第1~第4週」に分け、流れと主要トピックを初心者にもわかりやすく振り返ります。
8月のハイライト
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米利下げ観測と円安進行が追い風となり、日経平均は4万2,000円台を維持。
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中旬には史上最高値を連日更新、AI半導体や商社株がけん引。
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下旬はパウエル議長の講演やジャクソンホール会議を控え、様子見ムード。
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月末は利益確定やリバランス売りで一服も、強気基調は継続。
週別サマリー
第1週(8月4日〜6日)|米雇用統計と利下げ観測、押し目買いが支えに
8月初週の東京市場は、米景気懸念と雇用統計を受けた利下げ観測が交錯し、値動きの荒い展開となりました。
週初は米景気悪化懸念で大幅安スタートとなったものの、米利下げ期待と好決算銘柄への物色が下支え。日経平均は2日連続で反発しました。
為替も円安方向に振れ、輸出株や主力株の一角が相場を支えました。
初心者向けワンポイント
米国の雇用統計はFRBの金利政策を左右する重要指標です。
労働市場の弱さが見えると「利下げ観測」が高まり、株式市場にはプラスに作用する傾向があります。
今回も「米景気懸念 → 利下げ期待 → 押し目買い」という流れが明確に表れました。
関連記事:2025年8月1週市況まとめ|雇用統計と利下げ観測、好決算銘柄に資金流入
第2週(8月12日〜14日)|日経平均が最高値更新、利益確定で一服
米中関係の緊張緩和やFRB利下げ期待を背景に、日経平均は12日・13日に連日で最高値を更新しました。
しかし短期的な過熱感が意識され、14日は7営業日ぶりに反落。
テクニカル指標も高水準に達しており、利益確定の売りが優勢となりました。
初心者向けワンポイント
「最高値更新」は強気心理と警戒感が同時に働く局面です。
急上昇のあとは「利益確定売り」が出やすく、一時的な下落は自然な調整と考えましょう。
また円高が進行すると、トヨタやソニーなど輸出企業の株価が下がりやすくなる点も要注意です。
関連記事:2025年8月1週市況まとめ|雇用統計と利下げ観測、好決算銘柄に資金流入
第3週(8月19日〜22日)|短期調整と円安反発、パウエル議長発言に注目
最高値更新後の反動で、8月第3週は利益確定売りが優勢。
ソフトバンクグループや任天堂など主力株が軟調でしたが、円安進行と押し目買いにより下値は限定的でした。
週末に控えるジャクソンホール会議を前に、市場全体は様子見姿勢を強めました。
初心者向けワンポイント
毎年8月のジャクソンホール会議では、FRB議長の発言が世界の金利動向を左右します。
「利下げ検討」が示唆されれば株価は上昇、「利上げ継続」が強調されれば株価は下落しやすい。
為替や株式市場はこの一言で急変することもあります。
関連記事:2025年8月第3週市況まとめ|FRB(連邦準備制度理事会)って何?
第4週(8月25日〜29日)|商社株とAI関連が主役、月末は利益確定売り
8月最終週の東京市場は、バークシャー・ハザウェイによる三菱商事の買い増し報道が話題となり、商社株が一斉に上昇。
一方で、月末要因によるリバランス売りや利益確定売りも出て、相場は高値圏でもみ合いました。
AIや半導体関連への物色が引き続き活発で、日経平均は4万2000円台後半を維持しました。
初心者向けワンポイント
月末や四半期末には「リバランス(資産調整)」目的の売買が増えます。
また海外投資家の動向や為替変動も株価に直結するため、ニュースを「金利・為替・需給」の観点から整理する習慣をつけましょう。
関連記事:2025年8月第4週の株式相場まとめ|利下げ期待と調整売りが交錯、AI関連に資金流入
初心者向け:今月よく出たキーワード
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米雇用統計:FRBの金利政策に直結。弱い数字=利下げ期待で株高要因。
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利下げ観測:金利が下がると企業の資金調達コストが減り、株にプラス。
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押し目買い:一時的な下落をチャンスと見て買い増す手法。
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最高値更新:強気心理と同時に利益確定売りも呼び込む。
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円高・円安:円安は輸出企業に追い風、円高は輸入企業にプラス。
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パウエル議長講演:世界の金融政策を左右する発言として注目。
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ジャクソンホール会議:8月恒例、FRBの方針を占う国際経済会議。
セクター&主力銘柄の動き
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半導体:エヌビディア報道などで振れながらも堅調。東エレク・アドテストが注目。
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商社:バークシャー・ハサウェイの買い増し報道で急騰、三菱商事・伊藤忠が主役。
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主力株:ソフトバンクGが上昇トレンドを維持。
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自動車:円高で一服も、通期では安定推移。
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医薬品:ディフェンシブ需要で底堅く、中外薬・第一三共が堅調。
8月の全体総括
8月相場は月間で約4.0%高と5カ月連続上昇。
米利下げ観測と円安基調が強気相場を後押しし、最高値更新を演出しました。
一方で、過熱感や利益確定売り、為替変動など短期的なブレも目立ちました。
今後の注目ポイントは、
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FRBによる利下げ時期の見通し
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国内政治動向(総裁選)
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半導体・AIセクターの需給
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為替の方向性
引き続き「政策金利・為替・需給バランス」を軸に、市場を冷静に見極める姿勢が求められます。
投資初心者へのまとめアドバイス
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雇用統計=金利シナリオの変化点
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最高値更新はチャンスでもあり注意信号でもある
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円高・円安で業種ごとの影響が変わる
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イベント(ジャクソンホール、FRB発言)は相場の“合図”
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利益確定売り=一時的な調整である可能性が高い
これらを意識することで、「ニュースを聞くだけの投資」から「背景を読む投資」へ一歩進むことができます。