2025年7月の東京株式市場は、関税・金利・政治イベントが交錯した波乱の月となりました。
トランプ米大統領による関税強化発言や日米交渉の進展、さらに参院選・FOMC・日銀会合と、国内外の材料が集中。
日経平均は節目の「4万円」を前に上値を試す展開が続きました。
序盤は米国の関税政策への警戒で軟調スタート。
中盤は半導体決算の好調や日米関税合意が買い材料となり、海外勢の資金流入で一時は史上最高値を更新。
終盤にはイベント通過による安心感が広がる一方で、高値警戒感からの利益確定売りも目立ちました。
「政治・政策・心理」が複雑に絡み合う中、
半導体・自動車・電線株といったテーマ株が相場を牽引し、
投資家にとって“イベントをどう乗り越えるか”が問われた1ヶ月でした
月間ハイライト
7月の東京市場は、「4万円の壁×関税×金利イベント」という3要因が交錯した波乱の月でした。
序盤はトランプ米大統領の関税強化報道で輸出株が売られるも、
中盤以降は日米関税合意・半導体決算好調が支えとなり、
終盤にはFOMC・日銀会合の通過で再び安心感が広がりました。
ただし、高値圏での利益確定売りも目立ち、
「買い材料と警戒材料が同時進行する」典型的なイベント相場となりました。
週別サマリー
第1週
テーマ:米関税警戒 × 4万円の壁 × ETF需給要因
トランプ米大統領による追加関税発言をきっかけに、輸出関連株(自動車・鉄鋼など)中心に売りが広がりました。
同時に、7月相場入りで4万円の節目が意識され、短期的な過熱感から利益確定売りが増加。
さらに、ETF分配金支払いに伴う売り需給も重なり、相場の重しとなりました。
一方で、半導体株は底堅く、アドテスト・ディスコが上昇。米エヌビディアの好調さや国内設備投資期待が支えとなりました。
また、イオンや三越伊勢丹などの内需・消費関連株も堅調で、セクターによって明暗が分かれた週でした。
投資家の関心は「海外リスクには敏感でも、成長テーマ株には資金が流れる」という典型的な構図を再確認する展開。
ニュースや政策発言が即座に市場を動かすことを、改めて印象づける週でした。
➡ 詳細: 2025年7月第1週市況まとめ|関税警戒と節目4万円の壁【初心者解説付き】
第2週
テーマ:参院選前の不透明感 × 半導体主導の反発 × 政治イベント警戒
この週の東京株式市場は、参院選を控えた政治的不透明感と米国の関税政策への警戒感が重なり、全体として方向感に欠ける展開となりました。
週前半は関税懸念で下落スタートしましたが、エヌビディアの中国向けAI半導体輸出再開やTSMCの好決算が支援材料となり、日経平均は一時4万円台を回復。
しかし週末にかけては参院選や3連休前の持ち高整理(ポジション調整)で再び軟調に。
「上値を追いたいが、イベント前は慎重」という投資家心理が色濃く出た1週間でした。
半導体関連株(東エレク、アドテスト、ディスコなど)は市場を支えた一方、防衛・金融・不動産株は米金利上昇を受けて軟調。
相場全体としては「半導体の好材料があっても、政治イベント前にはリスクを取りづらい」という投資家行動が際立ちました。
➡ 詳細: 2025年7月第2週の株式相場まとめ|参院選前の不透明感と半導体株の明暗【初心者解説付き】
第3週
テーマ:日米関税合意 × 海外マネー流入 × 高値更新と過熱感
この週の東京株式市場は、日米関税交渉の合意を受けて大幅上昇しました。自動車関税の引き下げが発表され、国内製造業に追い風となったことで、日経平均は約1年ぶりの高値を更新。市場には一気に強気ムードが広がりました。
ただし、急速な上昇により短期的な過熱感も意識され、「買いたいが高値が怖い」という投資家心理が交錯。円高や金利上昇への警戒感も残り、強気と慎重が入り混じる週となりました。
主な要因と動き
-
日米関税合意:自動車関税引き下げが好感され、トヨタ・マツダ・SUBARUなど輸出株中心に上昇
-
海外マネー流入:海外投資家の買い越しが鮮明に。TOPIXコア30銘柄に集中買い
-
セクター動向:銀行株・製造業・主力株が上昇。半導体関連には一部調整も
-
警戒材料:短期筋による利益確定売り、円高進行、金利上昇リスク
➡ 詳細: 2025年7月第3週市況まとめ|日米関税合意と最高値更新に沸く市場
第4週
テーマ:FOMC・日銀会合・雇用統計前の調整相場 × 材料株物色
この週の東京株式市場は、米FOMC・日銀会合・米雇用統計という3つの大型イベントを控え、投資家の警戒感が強まる展開となりました。
日経平均は週前半にかけて4営業日続落し、一時は4万1000円を割り込む局面もありましたが、イベント通過後の安心感から週末に反発。
半導体株や電線株といった個別材料株には資金が向かうなど、全体は調整ムードの中にも選別買いが見られた一週間でした。
➡ 詳細記事:2025年7月第4週の株式相場まとめ|重要イベント前の調整局面、半導体に投資家の視線
セクター&テーマ総括
テーマ | 主な動き |
---|---|
半導体 | エヌビディア・TSMC決算が支え。東エレク・アドテスト・ディスコなど主力銘柄が活躍。 |
自動車 | 関税合意を受けマツダ・SUBARU・トヨタが買われる。為替の円安傾向も追い風。 |
電線株 | フジクラ・住友電工・古河電が大幅高。電力インフラ関連として注目を集める。 |
銀行・保険 | 金利上昇観測が一服し、利益確定売りが出やすい展開。 |
内需・小売 | 消費株・百貨店株は堅調。インバウンド関連にも資金流入。 |
初心者解説 7月によく出たキーワード
キーワード | 意味・ポイント |
---|---|
関税政策 | 米国の貿易政策は日本の輸出企業(特に自動車・鉄鋼)に直結。発言一つで相場が動くことも。 |
ETF分配金要因 | ETFが分配金を出す際に株を売るため、一時的に売り圧力がかかる。季節要因の一種。 |
節目4万円 | 投資家心理を左右するライン。上値抵抗として意識されやすい。 |
参院選 | 政治イベントは政策の方向性を占う材料。結果が株価に反映されることも多い。 |
半導体株 | 市場をけん引する“成長の柱”。海外決算(TSMC・NVIDIA)で日本市場も動く。 |
FOMC・日銀会合 | 金利政策イベント。株価は金利動向に強く反応。 |
7月総括と8月への展望
7月相場は「政治・政策・金利イベントが同時進行」という珍しい構図でした。
前半は関税懸念で調整、後半は日米合意と金融政策イベント通過で安心感。
結果的にイベントごとに押し目買いが入る強い地合いを確認しました。
8月は米雇用統計と決算発表ラッシュが焦点。
円安基調と米国金利の方向性が、日本株の強弱を左右する局面になりそうです。
投資初心者へのまとめ
7月は「政治×政策×心理」で相場が動いた月でした。
ニュースと株価の反応を追うだけでも、
「どのテーマが市場を支配しているか」がつかめるようになります。
焦らず、イベント前後の反応を観察しながら市場の癖を読む練習をしてみましょう。