2025年6月の東京株式市場は、「米中摩擦」「円高進行」「中東リスク」という三重の揺らぎに直面しました。
一時は日経平均が600円超下落する場面もありましたが、半導体株やディフェンシブ銘柄が下支えし、最終的には下値を固める展開に。
米雇用統計や日銀の金融政策など、海外要因に振らされる展開が続く中でも、個別物色や押し目買いが随所に見られ、「強弱入り混じる相場」を象徴する月となりました。
初心者にとっては、「為替」「地政学リスク」「心理的節目」など、市場の基本動作を実地で学べる重要な局面だったといえます。
2025年6月のハイライト
2025年6月の東京株式市場は、米中摩擦・円高・中東リスクといった外部要因に振られながらも、半導体と円安トレンドが下支えした月でした。
序盤は米中貿易摩擦の激化で日経平均が急落したものの、米中協議の継続報道で持ち直し。中盤には米雇用統計の好結果と円安進行で3万8000円台を回復し、半導体や自動車株が主導しました。
後半は中東情勢の緊迫化や米関税政策への警戒で反落する場面もありましたが、最終週には心理的節目4万円を意識しつつ底堅く推移。
政策・為替・地政学リスクが交錯する中でも、押し目買いが機能する強い地合いが確認された1ヶ月でした。
週別サマリー
第1週|米中摩擦と円高進行で乱高下
米中関係の悪化と円高進行が重なり、相場は方向感を欠きました。
トランプ大統領の追加関税発言により、半導体・鉄鋼株を中心に売りが広がるも、週後半には「米中対話継続」への安心感で反発。
為替は一時142円台まで円高が進み、輸出株に逆風。一方で薬品・小売といったディフェンシブ株に資金が流入しました。
ポイント
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米中摩擦:企業収益悪化懸念で世界株に波及
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円高:輸出企業の業績にマイナス
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雇用統計前の様子見:売買が細る典型パターン
➡ 詳細:2025年6月第1週の株式相場まとめ|米中摩擦と関税懸念で乱高下する相場
第2週|雇用統計の好結果で買い先行、関税懸念で反落
米雇用統計の好調な結果が安心感を生み、日経平均は3万8000円台を回復。
前半は半導体やハイテク株が主導して続伸したものの、節目の3万8500円付近で利益確定売りが増加。
週後半には、米関税政策の不透明感や中国のレアアース規制懸念が重しとなり反落しました。
ポイント
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「3万8000円・3万8500円」=心理的節目で売買が集中
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政策リスク(関税・レアアース)への市場感度が高まる
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景気安心感 vs 政策不安が拮抗
➡ 詳細:2025年6月第2週市況まとめ|雇用統計で上昇も関税懸念で反落
第3週|円安基調と中東リスクの綱引き
円安と日銀の緩和姿勢が相場を支えた一方、中東情勢の緊迫化が投資家心理を冷やしました。
イスラエル・イランの衝突報道でリスク回避ムードが強まり、半導体株を中心に反落。
それでも押し目買いが入り、下値は限定的。円安による輸出株の支えが市場の底堅さを保ちました。
ポイント
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円安=輸出企業の業績押し上げ要因
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中東リスク=地政学的要因でボラティリティ上昇
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押し目買いが有効に機能した週
➡ 詳細:2025年6月第3週の株式相場まとめ|中東情勢リスクと円安・日銀スタンスの影響
第4週|「4万円の壁」と需給調整で高値警戒
心理的節目の4万円を前に利益確定売りが優勢に。
機関投資家のリバランスや短期筋の売りが需給悪化を招き、日経平均は一時4万円を割り込みました。
ただし米ハイテク株高や円安が下支えとなり、週後半には持ち直し。相場全体は「調整一服」といえる展開に。
ポイント
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需給要因(利益確定・リバランス)の典型局面
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雇用統計前は売買が細る傾向
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「4万円の壁」が投資家心理に強く作用
➡ 詳細:2025年6月第4週市況まとめ|4万円割れからの持ち直し、米関税問題と雇用統計
初心者向け:今月よく出たキーワード
キーワード | 意味・ポイント |
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米中摩擦 | 米国と中国が互いに関税をかけ合うことで、世界の貿易が停滞。特に日本の輸出企業に影響が及び、株価が下がりやすくなります。 |
円高・円安 | 円高になると輸出企業(トヨタなど)の利益が減り株価にマイナス、円安は逆に追い風。為替レートは株価に直結します。 |
雇用統計 | 毎月第一金曜に発表される米国の労働指標。景気の強さ=金利上昇懸念=株価下落、弱さ=利下げ期待=株価上昇につながることが多いです。 |
心理的節目(4万円の壁) | 「キリの良い数字」で投資家が意識するライン。到達すると利益確定売りが出やすく、割り込むと押し目買いが入りやすくなります。 |
需給要因 | 買いたい人と売りたい人のバランス。機関投資家のリバランスや利益確定で一時的に株価が上下します。 |
地政学リスク | 中東などでの衝突や制裁によるリスク。原油価格や為替を通じて企業コストや株価に影響します。 |
押し目買い | 相場の上昇途中に一時的な下落が起きたとき、「安くなった今がチャンス」と買う投資行動。強気相場では有効。 |
ディフェンシブ株 | 景気に左右されにくい医薬品・食品・通信などの業種。相場が不安定なときに資金が集まりやすい。 |
総括:為替・政策・心理が交錯した6月相場
6月の東京市場は、外部要因と投資家心理のせめぎ合いが続いた月でした。
米中摩擦の再燃や中東リスク、円高進行などマイナス要因が多い中でも、円安や半導体関連株の底堅さが市場を支えました。
特に注目すべきは、「円高=株安」「地政学リスク=ディフェンシブ株上昇」という基本構図が繰り返し確認された点です。
今後の注目点
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米雇用統計・FOMCの方向性
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為替水準(145円台を維持できるか)
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半導体セクターの需給動向
初心者投資家は、「材料ごとの株価の動き方」を実例で学べる良い教材の月となりました。