2025年5月の東京株式市場は、為替(円高⇔円安)と関税関連のヘッドラインが一ヶ月を通して相場の方向感を左右。
月前半は米株安・円高・関税警戒で反落する場面があった一方、関税懸念の後退や円安進行で急反発する日も目立ちました。
中盤は期待先行の上げから節目水準での利確・戻り売りが増え、後半はMSCI定期見直しなどの需給イベントが値動きを増幅。
「ニュース一つで地合いが変わる」典型的なイベント相場で、半導体・機械など景気敏感株と医薬品などディフェンシブの資金の行き来(ローテーション)がはっきりした月でした。
5月のハイライト
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為替の振れ(146円台の円安~円高戻し)で、輸出株・主力株の強弱が日替わり。
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関税ニュース(警戒→後退)で、自動車・景気敏感株に買い戻しの波。
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節目水準(3万8千円台)到達後は利益確定・戻り待ち売りで上値が重く。
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MSCIリバランスなど需給イベントで終盤の値動きが拡大。
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テーマは半導体・機械、守りは医薬品・小売。場面に応じたローテーションが鮮明。
週別サマリー
第1週
米株安・円高で反落 → 関税懸念後退と円安で大幅続伸。
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5/7は医薬品関税示唆で医薬品が大幅安、輸出株も軟調。
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5/9は米英貿易合意・関税引き下げ観測で自動車・景気敏感に幅広く買い、TOPIXは11連騰(売買代金5.7兆円)。
➡ 詳細:2025年5月第1週市況まとめ|米中協議期待と円相場の変動で乱高下
第2週
期待先行の続伸 → 円高・過熱感で反落。
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前半は米中関税協議の前進期待で半導体・機械が牽引。
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3万8千円台で心理的節目を意識、利確・戻り売りと円高進行で上げ一服。
➡ 詳細:2025年5月第2週の株式相場まとめ|米中関税協議の期待と円高警戒で「上げ一服」
第3週
外部ショックで4日続落、守りに回る相場。
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米国債格下げ・米金利上昇・円高が重荷、半導体・輸出が売られ医薬品などディフェンシブに資金逃避。
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G7・日米財務相会談前で持ち高整理も。
➡ 詳細:2025年5月第3週市況まとめ|米国債格下げと為替変動で揺れる展開
第4週
関税延期で急伸 → 円高・MSCIで急反落。
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26日・28日はEU追加関税延期+円安で続伸。
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30日は関税不透明感再燃+MSCI入替で需給悪化、半導体軟調・一部内需に逃避。
➡ 詳細:2025年5月第4週の株式相場まとめ|関税延期で上昇も再び不透明感が強まる1週間
初心者向け:今月よく出たキーワード
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関税政策:引き上げは輸出採算の悪化要因、延期・緩和は安心感で株高要因。
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円高・円安:円安=輸出追い風/円高=逆風。指数全体の方向にも影響大。
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心理的節目:3万8千円・4万円など“キリ値”は利確や戻り売りが出やすい。
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連騰:強さのサインだが過熱感→一時調整もセットで意識。
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MSCIリバランス:指数入替に伴う機械的売買で終盤の値動きが荒くなる。
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ディフェンシブ株:医薬品・食品・通信など、相場不安時の資金退避先。
セクター&主力の動き
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半導体・機械:為替・米金利・外部ショックの影響を最も受けやすいが、上昇局面では主役。
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自動車:関税ヘッドライン+円安で上昇、円高や不透明感で一服。
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医薬品/内需:不安時の受け皿。政策思惑で強弱。
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主力:SBG・東エレク・アドテストなどで指数インパクト大。イベント前後は先物主導で振れやすい。
5月の総括と6月の注目点
総括
為替と関税ニュース、そしてMSCIリバランスまでイベントが相場の主導権を握った一ヶ月。
「期待で上げ、節目で利確、イベントで増幅」という教科書的な流れを辿り、押し目は入るものの上値は重くなりやすい地合いでした。
6月注目
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米雇用統計/CPIとFRBの金利見通し(金利・為替の波及)
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米中摩擦の見出し(半導体・輸出に直結)
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心理的節目(4万円)の取り扱いと需給イベント
戦略面では、イベント前のポジション軽め、押し目は業績裏付けのある主力・テーマに絞るのが無難。