2025年2月の東京株式市場は、米関税政策や為替変動、半導体株の調整が同時に重なり、波乱含みの展開となりました。
月前半は堅調な地合いを維持したものの、後半にかけてトランプ政権の関税強化報道や米ハイテク株安を受け、投資家心理が一気に冷え込みました。
特に2月28日には日経平均が約1,100円安と急落し、節目の3万8,000円を割り込むなど混乱が広がりました。
一方で、バフェット氏による商社株の買い増し報道が市場の支えとなり、伊藤忠商事や丸紅など一部銘柄には買いが集まりました。
全体としては「外部要因による急落」と「内需株の底堅さ」が同居する展開で、指数入れ替え(MSCIリバランス)などの需給イベントが相場のボラティリティを高めた月でした。
全体動向
2025年2月の東京株式市場は、米関税強化観測・円高進行・半導体株の調整という三重の逆風に直面し、下旬にかけて下落基調が強まりました。
米国株の急落やトランプ政権の関税強化報道をきっかけに、世界的なリスクオフムードが広がり、特に2月28日には日経平均株価が約5カ月ぶりに3万7200円台へ急落。1,000円を超える下げ幅となり、市場に動揺が走りました。
前半は円安と企業決算の堅調さを背景に底堅く推移したものの、後半は「米ハイテク株安×為替の円高×関税リスク」という悪材料が重なり、海外投資家の売りが優勢に。
一方で、バフェット氏による商社株買い増し報道が市場心理を部分的に支え、伊藤忠商事・丸紅などの商社株が相場全体の下支えとなりました。
また、MSCI指数の入れ替え(リバランス)に伴う売買増加も値動きを拡大させ、2月後半は「需給イベントと外部要因が重なった調整相場」となりました。
総じて、リスク要因が顕在化したタイミングで投資家の慎重姿勢が強まりやすいことを象徴する月であり、短期的なニュースや指数の変化が相場を大きく動かす構造が改めて浮き彫りになりました。
月間ハイライト
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米関税強化観測が主因:トランプ政権がカナダ・メキシコ・中国への追加関税を発表し、輸出株に打撃。
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半導体関連株の調整:米中半導体摩擦が再燃、エヌビディア決算後も反応はまちまち。
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円高進行:為替が一時146円台→144円台へ、輸出採算悪化懸念が広がる。
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指数入れ替えが追い打ち:MSCI定期見直しに伴う機械的な売りで需給が悪化。
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一方で商社株に買い:バフェット氏の投資拡大発言を受け、伊藤忠・丸紅などが堅調推移。
週別サマリー
第3週
米株安と円高が重荷となる中、日銀・植田総裁の「金利上昇に対応」発言を受けて円安が進行し、21日には日経平均が小反発(+98円)。
日産自動車はテスラ出資報道で急伸するなど、個別材料株が相場をけん引。
一方で、関税警戒や連休前の手控えで上値は限定的。
第4週
25日は539円安と大幅続落。米ハイテク株の急落と半導体規制観測が嫌気され、東京市場でも売りが波及。
26日も円高進行と米景気減速懸念で続落。
27日はエヌビディア決算を受けた先物買い戻しで一時上昇するも、28日は▲1,100円を超える急落。
トランプ政権の関税強化発表とMSCI入れ替えによる売りが重なり、相場の混乱が広がった。
➡ 詳細:2025年2月後半市況まとめ|日経平均、関税リスクと半導体安で乱高下
初心者向け:今月よく出たキーワード
キーワード | 意味・ポイント |
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関税リスク | 政策発言一つで輸出株の収益見通しが変動。引き上げは株安要因、延期・緩和は株高要因。 |
指数入れ替え(MSCIなど) | ETFや投信が構成比を調整するため「機械的な売買」が発生。採用銘柄は上昇、除外銘柄は売られやすい。 |
円高進行 | 為替が円高に振れると、輸出企業の円換算利益が減少し株価にマイナス。 |
半導体株調整 | 世界的な半導体規制や景気減速観測がセクター全体の圧力に。 |
商社株堅調 | 内需・資源関連の安定収益を背景に、海外投資家からの買いが集中。 |
総括と今後の注目点
2月の東京市場は「外部要因に翻弄された一ヶ月」でした。
米国発の関税強化やハイテク株安、為替の円高転換がトリガーとなり、日経平均は節目の3万8,000円を割り込みました。
ただし、商社株や内需系の一部には資金流入が続き、全面的な崩壊には至らず。
3月以降は、
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米金利と為替の安定化
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半導体関連の需給改善
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日本企業の配当・自社株買いシーズン入り
が相場の支えとなる可能性があります。
中長期的には、AI・再エネ・商社・金融など、外需と内需の両軸を意識した分散戦略が有効な局面といえます。