恵和〈4251〉は、液晶ディスプレイ用光学シートのリーディングカンパニーとして、高付加価値領域での成長を続けている。
2025年12月期中間期は「オパルス」など光学製品が業績を支え、営業利益は前年同期比8.9%増と堅調。
一方で、撤退を決めた「地球の絆創膏」事業に伴う特別損失が純利益を圧迫した。
新たに策定した中期経営計画では、光学製品の高機能化と車載向け拡大を軸に、2028年に売上高270億円・営業利益59億円を目指す。
2025年10月28日に掲載された恵和<4251>の企業分析
元レポートは下記の通りです。
恵和<4251>レポートPDF
出典元:FISCO
恵和〈4251〉|光学製品が業績を牽引 地球の絆創膏撤退で構造改革を加速
1. 企業概要
恵和株式会社は、液晶ディスプレイ用光学シートを主力とする高機能素材メーカー。
1948年創業以来、独自の光拡散技術を基盤に、ディスプレイ分野や産業資材分野で高いシェアを確立している。
主力製品「オパルス」は、液晶の光を均一に拡散することで省エネ化と画質向上を両立し、ノートPC・スマートフォンなど幅広い用途で採用されている。
2. 事業構成と特徴
光学製品事業
光学製品事業は売上・利益の中核を担う。2025年12月期中間期の売上は9,913百万円と堅調で、ノートPC市場の回復が寄与。
車載ディスプレイやHUD(ヘッドアップディスプレイ)向け用途への展開も進む。
主力製品「オパルス」は市場シェア50%超を維持しており、省電力ニーズの高まりを追い風に事業成長が期待される。
機能製品事業
コーティング・ラミネート技術を活かした防湿・耐熱フィルムなどを展開。
医療用フィルム「メディテクト」やEV電池向け「ACE」など、環境・医療分野での応用が進む。
2025年中間期は1,839百万円と前年並みの水準で推移したが、クリーンエネルギー関連の一時的な受注減が響いた。
3. 事業ポートフォリオの再構築
2025年8月、同社は「地球の絆創膏」事業からの撤退を決定。
耐用年数の保証が難しいと判断したためであり、この決断により特別損失を計上した。
一方で、不採算領域を整理したことで経営資源を主力事業に集中できる体制が整い、今後の利益体質強化が期待される。
4. 業績動向(2025年12月期中間期)
-
売上高:9,913百万円(前年同期比+2.8%)
-
営業利益:2,247百万円(+8.9%)
-
経常利益:1,960百万円(−23.6%)
-
純利益:693百万円(−56.0%)
光学製品が増収をけん引し、営業利益率は改善。一方で、特別損失が純利益を圧迫した。
営業活動の効率化と高付加価値製品比率の上昇により、収益基盤の質的向上が進んでいる。
5. 今後の見通し(2025年通期)
2025年12月期通期は、売上高20,967百万円(前期比0.8%減)、営業利益3,508百万円(同26.0%減)を見込む。
光学製品では車載向け「オパスキ」の需要拡大が注目され、次世代ディスプレイ向け技術の実用化も進む見通し。
機能製品はEV・医療向けフィルムを軸に堅調推移が予想される。
6. 中期経営計画(FY2025–FY2028)
新たな中計では、2030年に向け「自然と産業の調和」を掲げ、光学・機能両事業の成長を両輪とした持続的成長モデルを描く。
-
2028年目標:売上高270億円・営業利益59億円
-
成長率目標:光学製品+9.4%、機能製品+6.9%
-
投資計画:2026〜2028年に総額140億円を投じ、生産設備と開発力を強化
キャッシュアロケーションの基本方針は「成長投資最優先」。安定配当を維持しつつ、特別配当も検討対象としている。
7. 市場環境と注目テーマ
ディスプレイ市場ではノートPCや車載モニターの大型化が進行。
同社は高透過率・高拡散性のフィルム開発で技術優位を確保している。
また、EV化や医療分野の拡大が進む中、同社の素材技術は今後の市場変化に柔軟に対応できるポテンシャルを持つ。
筆者コメント
恵和の特徴は、規模ではなく技術の深さと市場選定の精度にある。
「地球の絆創膏」撤退は一見マイナスに映るが、リソース集中の観点では戦略的判断といえる。
液晶・車載・EVといった変化の激しい分野で、製品寿命より技術寿命が短くなる時代、
恵和の強みである光制御技術と素材設計力が、次の収益ドライバーとなる可能性は高い。
中計目標の実現には、海外展開と製品群の多層化が鍵となるだろう。
■ この企業を含む【素材・化学セクターまとめ】はこちら
素材・化学セクター最新動向
無料で株価チャートや決算データ、アナリストコメントなどを確認でき、企業分析の精度を高められます。
松井証券「マーケットラボ」徹底ガイド|無料機能・使い方・米国株版・他社比較まで解説
ここから確認
松井証券の「マーケットラボ」は、銘柄分析・チャート・四季報・スクリーニングまでを無料で使える高機能ツールです。 本記事では、松井証券マーケットラボの使い方、機能一覧、米国株版との違い、そして他社ツールとの比較までを徹底解説。 初[…]
