日本国土開発は、かつて不採算案件により業績が大きく揺らいだ中堅ゼネコンです。
しかし現在は、受注審査の厳格化や管理体制の再構築を経て、回復局面へと明確に舵を切った段階にあります。
2025年に策定された「中期経営計画2027」では、2028年5月期に営業利益90億円という明確な数値目標を掲げ、土木事業の再生を軸に、建築事業・再生可能エネルギー事業を組み合わせた成長戦略を描いています。
短期的な業績変動よりも重要なのは、
「不採算の再発を防げる体制が整ったか」
「土木事業を安定的に黒字化できるか」
という点です。
本記事では、日本国土開発の事業構造、中期経営計画の要点、そして業績回復の実現性について、投資家視点で整理していきます。
2025年12月11日に掲載された日本国土開発<1887>の企業分析
元レポートは下記の通りです。
日本国土開発<1887>レポートPDF
出典元:FISCO
日本国土開発〈1887〉経営再構築フェーズを越え、利益回復と成長戦略が動き出す中堅ゼネコン
日本国土開発は、土木工事を主力とする中堅ゼネコンとして、社会インフラ整備や災害復旧・防災分野で長年の実績を有してきました。
近年は業績の変動を経験しましたが、現在は経営基盤の再構築を終え、回復局面に入った企業と位置づけられます。
2025年に策定した新たな中期経営計画「中期経営計画2027」では、2028年5月期に営業利益90億円の達成を明確な目標として掲げています。
中堅ゼネコンとしての立ち位置と強み
同社の最大の特徴は、重機を活用した大規模造成工事に強みを持つ点です。
河川、道路、上下水道、ダム、トンネルといった土木分野を主軸に、全国規模で施工実績を積み上げてきました。
建築事業では、オフィスビルやマンション、物流施設などを手掛けており、近年はZEB・ZEHといった環境配慮型建築の施工実績も増えています。
さらに、不動産開発・賃貸、再生可能エネルギーといった関連事業も展開し、単なる請負にとどまらない事業構造を形成しています。
競争優位性の源泉は「機械力」と「災害対応力」
日本国土開発の競争力は、以下の要素に集約されます。
まず挙げられるのが機械力です。
建設重機を活用した高効率施工を強みとし、国土交通省が推進する「i-Construction」にも積極的に対応しています。ICTを取り入れた施工技術は、今後の人手不足時代においても競争力を支える要素です。
次に、災害復旧・防災減災分野での実績です。
過去の大規模災害対応で培ったノウハウを背景に、復旧工事だけでなく、防災・減災を前提としたインフラ整備にも関与しています。
さらに、開発から施工、運営管理までを一貫して手掛けるバリューチェーン型の事業モデルも特徴です。
これにより、地域課題の解決を含めた総合提案が可能となっています。
中期経営計画2024の反省と立て直し
同社は2022年に策定した中期経営計画において、初年度に大幅な損失を計上しました。
この反省を踏まえ、受注審査の厳格化、業績管理体制の強化を実施しています。
最終年度には建築事業が回復し黒字化を達成しましたが、土木事業は依然として課題を残しました。
この結果を受け、計数目標の見直しとともに、経営管理の在り方を根本から見直すこととなりました。
新中期経営計画2027の骨子
2025年7月に策定された「中期経営計画2027」では、持続的に利益を生み出す経営基盤の再構築を最優先テーマとしています。
主な数値目標は以下の通りです。
-
2028年5月期 営業利益:90億円
-
ROE:8%
-
DOE:2.5〜3.5%
これを実現するため、業績管理対策本部を設置し、不採算案件の再発防止に注力しています。
セグメント別の基本方針
土木事業
土木事業では、適正利益を確保しつつ、インフラリニューアルや防災・減災案件への対応を強化します。
2028年には売上高500億円規模を目指しており、黒字定着が最重要テーマです。
建築事業
建築事業は、地域別に注力マーケットを明確化し、安定案件から成長案件へとポートフォリオを転換します。
2028年の売上高目標は870億円とされており、利益の安定確保が期待されます。
エネルギー事業と新規事業の展開
再生可能エネルギー事業では、太陽光発電所の開発・取得を進めており、
2030年に発電容量200MWを目標としています。
また、蓄電池事業への参入や既存発電所のバリューアップも計画されています。
新規事業では、地域課題解決パートナーとしての役割を重視し、
福島県南相馬市での機能性吸着材製造工場、宮城県松島町でのマイクログリッド事業などが進められています。
業績動向と今後の見通し
2026年5月期の業績予想は、売上高1,310億円、営業利益35億円と大幅な改善が見込まれています。
特に、土木事業の回復が全体業績を左右する重要なポイントです。
経営再構築フェーズを終え、「正常な利益水準に戻る初年度」と位置づけられる期といえます。
株主還元と財務方針
株主還元については、安定配当を重視する方針を維持しています。
2026年5月期の1株当たり配当金は22.0円を予定し、中間・期末の年2回配当を行います。
また、740億円規模の投資計画を掲げつつ、資本効率を意識した経営を進める姿勢が明確です。
まとめ
日本国土開発は、過去の反省を踏まえた経営改革を経て、回復から成長への入口に立った中堅ゼネコンです。
土木・建築を軸に、再生可能エネルギーや地域課題解決型事業を組み合わせた戦略は、中長期での企業価値向上につながる可能性があります。
短期的な業績変動よりも、中期計画の進捗と土木事業の黒字定着が、今後の評価軸となるでしょう。
筆者コメント
日本国土開発は、派手さはないものの「一度崩れた後の立て直し」を着実に進めてきた企業です。
中期経営計画2027は数値目標が明確で、特に土木事業の黒字定着が最大の評価ポイントになります。
短期的な業績ブレよりも、
・不採算案件の再発防止
・土木×防災×再エネの組み合わせ
・安定配当を維持する資本政策
この3点が計画通り進むかを、中期目線で確認したい銘柄だと感じています。
■ この企業を含む【3. 建設・資材セクターまとめ】はこちら
3. 建設・資材セクター最新動向
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