Chordia Therapeutics(190A)は、武田薬品工業からスピンアウトした創薬ベンチャーで、低分子抗がん薬の研究開発を中心とした事業を展開しています。
主力パイプラインであるCLK阻害薬「rogocekib」は第1/2相臨床試験が順調に進んでおり、2028年後半の承認申請を視野に入れています。
本記事では、最新決算の内容、開発パイプラインの状況、海外戦略、財務面のポイントなど、投資判断に必要な情報をわかりやすく整理して解説します。
2025年11月20日に掲載されたChordia Therapeutics<190A>の企業分析
元レポートは下記の通りです。
Chordia Therapeutics<190A>レポートPDF
出典元:FISCO
Chordia Therapeutics(190A)成長戦略|AML向け新薬開発が加速、2030年に向けた展望とは
Chordia Therapeutics(コード:190A)は、武田薬品工業からスピンアウトして誕生した創薬ベンチャーであり、低分子化合物を用いた抗がん薬の開発に特化しています。
主力開発品であるCLK阻害薬「rogocekib」は、第1/2相臨床試験が順調に進んでおり、2028年後半の承認申請(血液がん領域)を目標としています。
特に、急性骨髄性白血病(AML)を対象とした治療薬として期待されており、市場規模の大きさと医療ニーズの高さから、今後の進捗に注目が集まっています。
1. rogocekibの開発状況と将来展望
Chordiaの最重要パイプラインであるrogocekibは、第1/2相臨床試験で良好なデータが得られており、2024年には米国での臨床試験開始が予定されています。
-
開発ターゲット:再発・難治性AMLなどの血液がんが中心
-
潜在患者数:国内外あわせて約1.8万人規模
-
作用機序:RNA生成ストレスの誘発によるがん細胞死
抗がん薬市場の中でも、AMLは有効な治療選択肢が限られる領域であり、rogocekibは新しい治療オプションとして期待されています。
2. 業績動向
2025年8月期は、rogocekibの臨床試験費用が増加したことにより、
となりました。
2026年8月期も研究開発投資が続くため、損失の拡大が見込まれています。
創薬ベンチャーらしく、同社の財務構造は開発投資が中心で、黒字化は新薬上市後となる見通しです。
3. 中長期の事業方針
Chordiaは2030年に向け、
「日本発の研究開発型の製薬会社になる」
というビジョンを掲げています。
その中でも最優先事項は、
-
rogocekibの開発・承認・上市
-
国内外の提携強化
-
眼科疾患を含む共同研究の推進
とされています。
4. 研究開発体制(AMED助成金・AI活用)
国の研究機関(AMED)からの助成金を活用し、効率的な創薬を進めています。
-
AIによるバイオマーカー探索
-
前臨床から第2相までをコア領域として開発を推進
基礎研究から臨床までのスピードアップが期待されます。
5. rogocekib以外のパイプライン
Chordiaは複数の創薬テーマを並行して進めています。
● MALT1阻害薬
-
リンパ腫向け
-
最大496億円の契約実績
-
新規導出活動も進行中
● CTX-439(CDK12阻害薬)
-
固形がん領域
-
前臨床データの取得を進めている
● CRD-099(GCN2阻害薬)
-
細胞ストレス応答を標的
-
パートナー企業を探索中
いずれもオンコロジー領域で医療ニーズの高い分野です。
6. 海外展開とビジネスモデル
-
日本:自社製造販売(製造はシオノギファーマに委託予定)
-
海外:大手製薬企業へのライセンスアウトを前提
国内外で開発コストと販売網を最適化するモデルを採用しています。
7. 競合状況と今後の展望
CLK阻害薬の競合は存在しますが、同社の臨床データが優位であれば大きな市場シェア獲得が可能です。
-
2030年に向け、営業利益・企業価値ともに成長見込み
-
成功すればPERは30~60倍の評価も可能とされる
市場の期待値は高い状態です。
8. 財務状況と資金調達
2025年8月期末の財務状況
-
資産合計:2,681百万円
-
純資産:2,437百万円
-
負債:244百万円
研究開発費に充当するための新株予約権の発行も実施しており、資金調達を継続しながら開発を推進しています。
筆者コメント
Chordia Therapeuticsは、「日本発の創薬ベンチャーが世界で勝負する」という明確な方向性を持つ、国内でも数少ない本格R&D型企業です。
特にAML治療薬は市場のニーズが大きく、rogocekibが計画通り進めば、企業価値が大きく変わるインパクトがあります。
一方で、創薬バイオベンチャーは一般的に赤字が続き、資金調達が不可欠です。
その意味で、Chordiaは「リスクは高いが成功時のリターンも大きい典型的なバイオ株」といえます。
今後は、
-
臨床試験データの質
-
海外のパートナー契約
-
2028年の承認申請が実現するか
この3点が中長期の評価を大きく左右するでしょう。
■ この企業を含む【5.医薬品セクター株まとめ】はこちら
5.医薬品セクター株最新動向
無料で株価チャートや決算データ、アナリストコメントなどを確認でき、企業分析の精度を高められます。
松井証券「マーケットラボ」徹底ガイド|無料機能・使い方・米国株版・他社比較まで解説
ここから確認
2024年12月12日に掲載されたChordia Therapeutics<190A>の企業分析
元レポートは下記の通りです。
Chordia Therapeutics<190A>レポートPDF
出典元:FISCO
Chordia Therapeutics〈190A〉、抗がん剤開発で存在感を強化 ― 主力候補「CTX-712」が次段階へ
hordia Therapeutics株式会社(190A)は、小分子抗がん剤の研究開発を行うバイオベンチャーです。
武田薬品工業のスピンアウトとして2017年に設立され、独自の創薬技術を基盤に「研究開発型製薬企業(R&D-oriented pharma)」を目指しています。
主力開発品「CTX-712」を軸に、血液がんおよび固形がん領域で臨床開発を進めています。
企業概要と開発パイプライン
Chordia Therapeuticsは、小分子創薬によるがん治療薬の開発を専門としています。
主力パイプライン「CTX-712」はRNA制御異常に起因する腫瘍増殖を標的とするCLK阻害剤であり、米国において急性骨髄性白血病(AML)などを対象にフェーズ1/2臨床試験を実施中です。
また、免疫関連経路を標的とするMALT1阻害剤など複数のパイプラインを有し、血液がんから固形がんまで幅広い領域への展開を目指しています。
臨床進展と市場ポテンシャル
CTX-712は、初期臨床試験において安全性および有効性の両面で有望な結果を示しています。
RNAスプライシングの異常を抑制するという独自の作用機序から、既存薬では対応が難しい患者層への治療可能性が期待されています。
ChordiaはまずAML市場を主要ターゲットとし、その後、他のがん種への適応拡大を図る計画です。AML市場は世界的に需要が高く、同剤が成功すればブロックバスター候補としての成長余地があります。
戦略的提携とライセンス展開
同社は、研究・製造・流通の各段階で複数の戦略的パートナーシップを構築しています。
特にMALT1阻害剤に関しては小野薬品工業との共同開発契約を締結しており、免疫チェックポイント阻害薬との併用を視野に入れた共同研究が進行中です。
契約には一時金・マイルストーン収入・ロイヤリティなどが含まれており、これらの提携は同社の早期収益化と事業基盤の強化に寄与しています。
財務状況と経営方針
近年は研究開発への積極投資により営業損失が続いていますが、手元資金は約2年分の事業運営に必要な水準を確保しています。
必要に応じて株式発行などのエクイティ・ファイナンスにより追加資金を調達する方針です。
経営陣は、主力候補CTX-712の価値最大化とパイプラインの多角化を軸に、2030年までに黒字化と研究開発型製薬企業としての確立を目標に掲げています。
まとめ
Chordia Therapeutics〈190A〉は、RNA制御異常を標的とする革新的抗がん剤開発で注目を集めています。
フェーズ1/2試験の進展、MALT1阻害剤をはじめとする戦略的提携、そして堅実な資金運営により、今後の成長が期待されます。
研究開発型製薬企業としての確立に向け、同社の動向は今後も注目すべき局面にあります。
■ この企業を含む【5.医薬品セクター株まとめ】はこちら
5.医薬品セクター株最新動向
松井証券の「マーケットラボ」は、銘柄分析・チャート・四季報・スクリーニングまでを無料で使える高機能ツールです。 本記事では、松井証券マーケットラボの使い方、機能一覧、米国株版との違い、そして他社ツールとの比較までを徹底解説。 初[…]
