Chordia Therapeutics(190A)は、武田薬品工業からスピンアウトした創薬ベンチャーで、低分子抗がん薬の研究開発を中心とした事業を展開しています。
主力パイプラインであるCLK阻害薬「rogocekib」は第1/2相臨床試験が順調に進んでおり、2028年後半の承認申請を視野に入れています。
本記事では、最新決算の内容、開発パイプラインの状況、海外戦略、財務面のポイントなど、投資判断に必要な情報をわかりやすく整理して解説します。
2025年12月12日に掲載されたChordia Therapeutics<190A>の企業分析
元レポートは下記の通りです。
Chordia Therapeutics<190A>レポートPDF
出典元:FISCO
Chordia Therapeutics(190A)ロゴセキビを軸に商業化を目指すがん創薬バイオベンチャー
1. 企業概要と位置づけ
Chordia Therapeutics(以下、同社)は、がん治療薬の創製に特化した創薬バイオベンチャーです。
2017年に武田薬品工業からスピンアウトして設立され、2024年6月に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。
同社は低分子化合物による新規作用機序の抗がん剤開発を強みとし、研究開発に特化した事業モデルを採用しています。
自社で大規模な製造・販売体制を構築するのではなく、臨床第2相前後でのアウトライセンスを基本戦略としている点が特徴です。
2. 主力開発品「ロゴセキビ(CTX-712)」の開発状況
同社の中核パイプラインは、血液悪性腫瘍を対象としたロゴセキビ(CTX-712)です。
ロゴセキビは、mRNA生成過程に関与するCLKキナーゼの活性を阻害することで、がん細胞に特有のRNA調節異常ストレスをさらに増幅させ、がん細胞死を誘導する新規メカニズムの小分子抗がん剤です。
日本では第1相臨床試験を完了しており、急性骨髄性白血病(AML)および骨髄異形成症候群(MDS)患者を対象に、有望な有効性シグナルが確認されています。
特にスプライシング因子異常を有する患者群で明確な治療効果が観察され、効果の持続性も示されました。
現在、米国ではAMLの二次治療を対象に第1/2相臨床試験が進行中であり、今後の進捗が最大の注目点となっています。
3. 想定市場規模と事業価値
ロゴセキビが承認に至った場合、日本・米国・欧州を合わせて最大約18,000人の患者数が想定されています。
市場規模は年間200億円〜400億円程度と見積もられており、バイオベンチャーとしては十分に大きな商業的ポテンシャルを有します。
同社はすでにライセンス契約を通じて、前払金約8億円、フェーズ1開始時に約25億円のマイルストーン収入を獲得しています。
今後、開発および商業化の進捗に応じて、最大496億円規模のマイルストーン収入と、売上高に連動したロイヤルティ収入を受け取る契約内容となっています。
4. 業績動向と研究開発費の状況
FY8/25(2025年8月期)実績
-
事業収益:なし
-
営業損失:1,789百万円
-
普通損失:約17.7億円
収益未計上が続く一方、研究開発費は前年から減少しており、開発リソースの集中と費用コントロールが進められています。
FY8/26(2026年8月期)予想
-
事業収益:なし
-
営業損失:2,008百万円
-
研究開発費:1,590百万円
ロゴセキビの臨床試験対象拡大に伴い、研究開発費は再び増加する見込みです。
ただし、これは事業価値創出に向けた計画的な投資と位置づけられています。
5. 財務状況
FY8/25期末時点での総資産は2,681百万円と前期比で減少しました。
現金および預金は1,780百万円減少し、純資産は2,437百万円となっています。
バイオベンチャーとしては標準的な財務構造であり、今後の資金調達やライセンス契約の進展が重要な経営テーマとなります。
6. 中長期ビジョンと経営方針
同社は2030年ビジョンとして、
「日本を拠点とするR&D志向の製薬企業」を掲げています。
製造面では塩野義製薬と基本合意を結び、流通・販売面ではMEDIPALホールディングスと連携することで、将来の商業化を見据えた体制構築を進めています。
また、がん領域に加え、眼科疾患向け治療薬の共同研究も開始しており、パイプラインの多角化にも取り組んでいます。
7. 総合評価
Chordia Therapeuticsは、明確な主力パイプラインと新規作用機序を有する創薬バイオベンチャーです。
現時点では収益化前段階にあり、業績は研究開発費先行型ですが、ロゴセキビの臨床進捗次第では、企業価値が大きく変動する可能性を秘めています。
投資判断においては、
-
米国での第1/2相試験の結果
-
アウトライセンス交渉の進展
-
資金調達動向
といったイベントリスクと成長オプションの両面を慎重に見極める必要がある企業といえるでしょう。
筆者コメント
Chordia Therapeuticsは、典型的な「イベントドリブン型」のバイオ銘柄です。
現時点での業績や財務だけを見れば評価は難しいものの、ロゴセキビの臨床データ次第で事業価値が大きく跳ねる構造を持っています。
重要なのは、「今儲かっているか」ではなく、
①臨床の進捗段階
②作用機序の独自性
③アウトライセンスの現実性
を冷静に分解して見ることです。
短期の値動きではなく、臨床イベントと資金調達リスクを理解した上で向き合う銘柄だと考えています。
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2025年11月20日に掲載されたChordia Therapeutics<190A>の企業分析
元レポートは下記の通りです。
Chordia Therapeutics<190A>レポートPDF
出典元:FISCO
Chordia Therapeutics(190A)成長戦略|AML向け新薬開発が加速、2030年に向けた展望とは
Chordia Therapeutics(コード:190A)は、武田薬品工業からスピンアウトして誕生した創薬ベンチャーであり、低分子化合物を用いた抗がん薬の開発に特化しています。
主力開発品であるCLK阻害薬「rogocekib」は、第1/2相臨床試験が順調に進んでおり、2028年後半の承認申請(血液がん領域)を目標としています。
特に、急性骨髄性白血病(AML)を対象とした治療薬として期待されており、市場規模の大きさと医療ニーズの高さから、今後の進捗に注目が集まっています。
1. rogocekibの開発状況と将来展望
Chordiaの最重要パイプラインであるrogocekibは、第1/2相臨床試験で良好なデータが得られており、2024年には米国での臨床試験開始が予定されています。
-
開発ターゲット:再発・難治性AMLなどの血液がんが中心
-
潜在患者数:国内外あわせて約1.8万人規模
-
作用機序:RNA生成ストレスの誘発によるがん細胞死
抗がん薬市場の中でも、AMLは有効な治療選択肢が限られる領域であり、rogocekibは新しい治療オプションとして期待されています。
2. 業績動向
2025年8月期は、rogocekibの臨床試験費用が増加したことにより、
となりました。
2026年8月期も研究開発投資が続くため、損失の拡大が見込まれています。
創薬ベンチャーらしく、同社の財務構造は開発投資が中心で、黒字化は新薬上市後となる見通しです。
3. 中長期の事業方針
Chordiaは2030年に向け、
「日本発の研究開発型の製薬会社になる」
というビジョンを掲げています。
その中でも最優先事項は、
-
rogocekibの開発・承認・上市
-
国内外の提携強化
-
眼科疾患を含む共同研究の推進
とされています。
4. 研究開発体制(AMED助成金・AI活用)
国の研究機関(AMED)からの助成金を活用し、効率的な創薬を進めています。
-
AIによるバイオマーカー探索
-
前臨床から第2相までをコア領域として開発を推進
基礎研究から臨床までのスピードアップが期待されます。
5. rogocekib以外のパイプライン
Chordiaは複数の創薬テーマを並行して進めています。
● MALT1阻害薬
-
リンパ腫向け
-
最大496億円の契約実績
-
新規導出活動も進行中
● CTX-439(CDK12阻害薬)
-
固形がん領域
-
前臨床データの取得を進めている
● CRD-099(GCN2阻害薬)
-
細胞ストレス応答を標的
-
パートナー企業を探索中
いずれもオンコロジー領域で医療ニーズの高い分野です。
6. 海外展開とビジネスモデル
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日本:自社製造販売(製造はシオノギファーマに委託予定)
-
海外:大手製薬企業へのライセンスアウトを前提
国内外で開発コストと販売網を最適化するモデルを採用しています。
7. 競合状況と今後の展望
CLK阻害薬の競合は存在しますが、同社の臨床データが優位であれば大きな市場シェア獲得が可能です。
-
2030年に向け、営業利益・企業価値ともに成長見込み
-
成功すればPERは30~60倍の評価も可能とされる
市場の期待値は高い状態です。
8. 財務状況と資金調達
2025年8月期末の財務状況
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資産合計:2,681百万円
-
純資産:2,437百万円
-
負債:244百万円
研究開発費に充当するための新株予約権の発行も実施しており、資金調達を継続しながら開発を推進しています。
筆者コメント
Chordia Therapeuticsは、「日本発の創薬ベンチャーが世界で勝負する」という明確な方向性を持つ、国内でも数少ない本格R&D型企業です。
特にAML治療薬は市場のニーズが大きく、rogocekibが計画通り進めば、企業価値が大きく変わるインパクトがあります。
一方で、創薬バイオベンチャーは一般的に赤字が続き、資金調達が不可欠です。
その意味で、Chordiaは「リスクは高いが成功時のリターンも大きい典型的なバイオ株」といえます。
今後は、
-
臨床試験データの質
-
海外のパートナー契約
-
2028年の承認申請が実現するか
この3点が中長期の評価を大きく左右するでしょう。
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5.医薬品セクター株最新動向
2024年12月12日に掲載されたChordia Therapeutics<190A>の企業分析
元レポートは下記の通りです。
Chordia Therapeutics<190A>レポートPDF
出典元:FISCO
Chordia Therapeutics〈190A〉、抗がん剤開発で存在感を強化 ― 主力候補「CTX-712」が次段階へ
hordia Therapeutics株式会社(190A)は、小分子抗がん剤の研究開発を行うバイオベンチャーです。
武田薬品工業のスピンアウトとして2017年に設立され、独自の創薬技術を基盤に「研究開発型製薬企業(R&D-oriented pharma)」を目指しています。
主力開発品「CTX-712」を軸に、血液がんおよび固形がん領域で臨床開発を進めています。
企業概要と開発パイプライン
Chordia Therapeuticsは、小分子創薬によるがん治療薬の開発を専門としています。
主力パイプライン「CTX-712」はRNA制御異常に起因する腫瘍増殖を標的とするCLK阻害剤であり、米国において急性骨髄性白血病(AML)などを対象にフェーズ1/2臨床試験を実施中です。
また、免疫関連経路を標的とするMALT1阻害剤など複数のパイプラインを有し、血液がんから固形がんまで幅広い領域への展開を目指しています。
臨床進展と市場ポテンシャル
CTX-712は、初期臨床試験において安全性および有効性の両面で有望な結果を示しています。
RNAスプライシングの異常を抑制するという独自の作用機序から、既存薬では対応が難しい患者層への治療可能性が期待されています。
ChordiaはまずAML市場を主要ターゲットとし、その後、他のがん種への適応拡大を図る計画です。AML市場は世界的に需要が高く、同剤が成功すればブロックバスター候補としての成長余地があります。
戦略的提携とライセンス展開
同社は、研究・製造・流通の各段階で複数の戦略的パートナーシップを構築しています。
特にMALT1阻害剤に関しては小野薬品工業との共同開発契約を締結しており、免疫チェックポイント阻害薬との併用を視野に入れた共同研究が進行中です。
契約には一時金・マイルストーン収入・ロイヤリティなどが含まれており、これらの提携は同社の早期収益化と事業基盤の強化に寄与しています。
財務状況と経営方針
近年は研究開発への積極投資により営業損失が続いていますが、手元資金は約2年分の事業運営に必要な水準を確保しています。
必要に応じて株式発行などのエクイティ・ファイナンスにより追加資金を調達する方針です。
経営陣は、主力候補CTX-712の価値最大化とパイプラインの多角化を軸に、2030年までに黒字化と研究開発型製薬企業としての確立を目標に掲げています。
まとめ
Chordia Therapeutics〈190A〉は、RNA制御異常を標的とする革新的抗がん剤開発で注目を集めています。
フェーズ1/2試験の進展、MALT1阻害剤をはじめとする戦略的提携、そして堅実な資金運営により、今後の成長が期待されます。
研究開発型製薬企業としての確立に向け、同社の動向は今後も注目すべき局面にあります。
■ この企業を含む【5.医薬品セクター株まとめ】はこちら
5.医薬品セクター株最新動向
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