アイホン<6718>国内シェア61%の独走体制|北米在庫調整を乗り越え中期成長へ

アイホン(6718)は、日本のインターホン市場で約61%の圧倒的シェアを持つセキュリティ機器メーカーです。
2026年3月期第1四半期は北米市場の在庫調整で利益が落ち込んだものの、通期の進捗は計画ラインにあり、下期にかけて挽回が期待されています。
また、国内では集合住宅のリノベーション需要が増加しており、宅配認証システムや医療・介護向け製品の伸びが成長の後押しとなっています。

強固な財務基盤と高い配当利回りを維持しながら、北米市場を軸とした中期的な成長を狙うアイホンの最新動向を整理します。

2025年11月28日に掲載されたアイホン<6718>の企業分析

元レポートは下記の通りです。
アイホン<6718>レポートPDF
出典元:FISCO

アイホン(6718)

会社概要

アイホン株式会社(証券コード:6718)は、日本発の専業インターホンメーカーとして創業し、現在は世界約70カ国へ製品を供給するグローバルセキュリティ機器メーカーです。
主力製品は戸建住宅・集合住宅向けのテレビドアホンであり、国内では高いシェアを握っています。
また、医療・福祉施設向けナースコール、公的機関向けのコミュニケーションシステムなど、多様な製品ラインアップを展開しています。

製造・販売拠点は日本、北米、欧州、アジア(タイ・ベトナム)に分散しており、世界市場で安定した供給体制を構築しています。


競争優位性

① 国内市場シェア約61%の圧倒的トップ

国内インターホン市場でアイホンは約61%のシェアを持ち、業界トップとして確固たる地位を築いています。
屋外に設置される製品特性から耐久性・信頼性が極めて重要であり、高いアフターサービス品質が参入障壁となっています。

② 高い製品開発力

集合住宅用システム「PATMOα」や、荷物認証サービス「Pabbit」など、ライフスタイルの変化や新たなニーズに応じた製品開発を積極的に行っています。
セキュリティ性と利便性を両立させた製品は国内外で高い評価を得ています。

③ 財務基盤の強さ

自己資本比率は80%台後半と非常に高く、景気変動や為替変動への耐性が強いことが特徴です。
安定した財務基盤により、長期的な研究開発・成長投資が可能な体制となっています。


最近の業績

2026年3月期 第1四半期(2025年4〜6月)
  • 売上高:143億3,200万円(前年同期比 −9.8%)

  • 営業利益:1億9,200万円(同 −87.9%)

売上・利益ともに減少しましたが、通期計画は下半期への利益偏重が前提であり、売上進捗は計画通りに推移しています。

減益の主因は、売上の約8割を占める北米市場で一時的に在庫が積み上がったことによるものです。


通期業績の進捗および背景

2024年3月期の通期では、

  • 売上高:654億円(前年+3.3%)

  • 営業利益:45億円(前年+18.0%)

の増収増益を計画しており、
北米での需要回復や国内集合住宅向けリノベーション需要が追い風となっています。

国内市場の需要
  • 主力製品の価格改定前需要

  • 既存集合住宅のインターホン更新案件

  • ワイヤレスビデオドアホンの販売好調

これらが収益の押し上げに寄与しています。

北米市場の状況

公共安全への需要が強まっており、アイホン製品は品質評価が高く、ホワイトハウスなどの政府施設でも採用実績あり
関税関連の不確実性はあるものの、市場ポテンシャルは大きいと見られています。


将来戦略

第8次中期経営計画(〜2032年)
  • ROE10%以上を目標

  • 成長ドライバーは北米市場

  • 現地開発力の強化を重点施策に位置づけ

国内での注力領域
  • 老朽化したインターホン更新需要の取り込み

  • 宅配需要増加に対応した「Pabbit」拡大

  • 介護・医療領域向け「CareRings Contact」の普及


株主還元

アイホンは安定配当を重視した方針です。

  • 2024年3月期:年間配当130円(前年+50円)

  • 2025年3月期:同130円を計画

配当利回りは4%超と高水準を維持しています。

また、PBRは約0.7倍と低く、株価には割安感があります。


まとめ

アイホンは国内市場での圧倒的シェア、高い製品信頼性、強固な財務体質を武器に、世界市場で確固たる地位を築いています。
足元では北米での在庫調整により利益が落ち込んだものの、需要そのものは堅調で、通期の計画には大きな懸念はありません。

中期的には北米市場の拡大、国内のリノベーション需要、宅配・介護領域の新規市場開拓により成長が期待されます。
安定配当と割安なPBRも投資魅力となっています。

筆者コメント

アイホンは、数字だけを見ると第1四半期の減益に目が行きますが、実態は悲観する内容ではないと感じています。
そもそも利益は下期偏重の企業であり、北米の在庫調整も需要減ではなくタイミングの問題です。

むしろ私が注目しているのは、

  • 国内リノベ市場の継続的需要

  • 宅配・介護領域という新たな成長テーマ

  • 高すぎる自己資本比率(80%超)

  • PBR0.7倍という割安さ

の4点です。

財務の強さは中小型株では抜けており、外部環境の変動に飲まれにくいことは投資判断で大きな安心材料になります。
短期でドカンと伸びるタイプではありませんが、「堅実に積み上げる長期株」としては、引き続き魅力がある銘柄だと考えます。

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