テーマ:高市新総裁誕生と「政策期待相場」|円安・株高で史上最高値圏へ
全体動向(四半期サマリー)
2025年7〜9月期の東京株式市場は、「政治・政策・金利」が複雑に交錯したダイナミックな3カ月となりました。
米国の利下げ観測と円安基調が進む中、
自民党総裁選で高市早苗氏が新総裁に選出されたことをきっかけに、市場では財政拡張や金融緩和継続への期待が一気に高まりました。
これにより「高市トレード」と呼ばれる株高・円安の動きが鮮明となり、海外投資家の資金流入が強まったことで、日経平均は史上最高値圏に突入。
7月は関税や金利イベントを巡る警戒感で一進一退。
8月は米利下げ観測と好決算を背景に上昇基調を維持。
そして9月には高市新総裁の誕生を契機に、政策期待を背景とした強気ムードが一段と強まりました。
一方で、公明党の連立離脱報道など政権運営の不透明感も残り、為替や金利動向をめぐって短期的な調整も発生。
しかし、全体としては「政策期待 × 円安追い風 × 海外勢買い」という三拍子がそろい、2025年後半に向けて強気ムードを固めた四半期でした。
月別ダイジェスト
7月:関税・金利・政治イベントが交錯
トランプ米大統領による関税強化発言や日米交渉の進展、さらに参院選・FOMC・日銀会合など、材料が集中した月。
日経平均は節目の「4万円」を前に調整を挟みつつも、半導体・自動車・電線株が市場を支えました。
→ 2025年7月の株式市況まとめ|関税・金利・選挙が交錯した波乱の夏相場
8月:米利下げ観測と円安で最高値更新
米雇用統計の弱含みやFRBのハト派姿勢を背景に、米利下げ観測が急速に高まりました。
これを追い風に日経平均は中旬に史上最高値を更新。
AI半導体や商社株などテーマ性の高い銘柄が買われ、月を通して強気基調を維持。
→ 2025年8月の株式市況まとめ|米利下げ観測と円安・最高値更新で揺れた夏相場
9月:高市新総裁誕生と「高市トレード」
自民党総裁選で高市早苗氏が新総裁に選出。
政策期待と円安進行が重なり、**「高市トレード」**と呼ばれる株高・円安連動相場が顕著となりました。
米国のFOMCや配当落ち・リバランスによる調整をこなし、月末には再び史上最高値を更新。
→ 2025年9月 株式市況まとめ|円安と政策期待で史上高値圏に【初心者解説付き】
セクター別動向
セクター | 主な動き |
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半導体 | エヌビディアやTSMC決算が追い風。東エレク・アドテスト・ディスコなど主力株が市場をけん引。 |
自動車 | 日米関税合意でトヨタ・SUBARU・マツダが上昇。円安もプラス要因に。 |
電線株 | フジクラ・住友電工・古河電が高騰。電力インフラ関連として注目。 |
商社 | 8月にバークシャー・ハサウェイの買い増し報道で急伸。三菱商事・伊藤忠が主役。 |
医薬品 | ディフェンシブ需要で堅調。関税リスク報道で一時調整も。 |
銀行・保険 | 金利上昇一服で一進一退。イベント通過後は買い戻しも見られた。 |
初心者向け:この四半期によく出たキーワード
キーワード | 意味・ポイント |
---|---|
高市トレード | 高市新総裁の誕生をきっかけにした政策期待相場。財政拡張・円安・株高の連動。 |
関税政策 | 米国の貿易方針が輸出企業の利益を左右。関税引き下げは株価にプラス。 |
ETF需給要因 | ETF分配金支払いに伴う一時的な売り圧力。テクニカルな下げ要因。 |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 米国の金利方針を決定する会合。利下げ観測は株式市場にプラス。 |
日銀政策決定会合 | 日本の金利・金融緩和方針を決めるイベント。市場心理に大きく影響。 |
配当落ち・リバランス | ファンドや機関投資家の調整売りが出やすい時期。需給に注意。 |
円安進行 | 輸出企業の収益にプラス、海外マネー流入の要因。 |
今後(10〜12月)の注目ポイント
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高市内閣発足の行方と公明党の連立問題
→ 政権構成や政策方針が明確になれば、財政関連銘柄の動きに注目。 -
FRBの利下げ時期と米金利動向
→ 利下げが現実化すれば、円高リスクと輸出企業の収益バランスに影響。 -
円安の持続力と海外投資家の動き
→ 円安トレンドが継続するかどうかが今後の株価維持のカギ。 -
AI・半導体関連の需給バランス
→ 高値圏での持続性と決算内容の精査がポイント。
四半期総括
2025年7〜9月期の東京市場は、
「政治イベント × 金融政策 × 円安基調」がかみ合い、
イベントごとに押し目買いが入る強い相場を確認した3カ月でした。
不透明感も多い中で、個人投資家が学べるのは、
「ニュースと相場の連動を意識すること」「イベント前後の反応を観察すること」。
市場を動かすテーマの波を捉える感覚を磨くのに最適な時期だったと言えます。