2025年第2四半期の東京市場は、「政策(関税)×為替×半導体」が主役。
4月は米中の相互関税と円相場の急変で歴代級の乱高下→月末に7連騰で巻き返し。5月は関税ニュースと円高⇔円安、さらにMSCIリバランスなど需給イベントが値動きを増幅。
6月は米中摩擦・円高・中東リスクで揺れながらも、半導体・ディフェンシブが下支えして底堅さを確認。
「ニュース一つで地合いが変わる」イベント相場を、月別×テーマ別で振り返ります。
四半期ハイライト
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極端な値幅:4/7に大幅安→4/10に大幅高、同週で歴代級の上下動/四半期後半は押し目買いと買い戻しで下値固め。
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関税ヘッドラインが相場ドライバー:応酬→一部停止・緩和示唆で真逆の値動き。
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為替の振れが指数を規定:円高で輸出逆風、円安転換で自動車・電機が牽引。
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半導体の明暗:ASMLの受注鈍化で警戒→TSMC好決算で安心感、国内装置・部品に買い戻し。
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需給イベントの増幅効果:4月末の窓埋め+売り方の買い戻し/5月末のMSCIで値動き拡大。
月別サマリー
4月|乱高下→月末7連騰で巻き返し
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前半:米中の相互関税・為替急変で歴代級の振れ。
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中盤:追加関税・輸出規制警戒で一進一退も、TSMC好決算と為替(円安)で持ち直し。
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後半:米株高・円安・関税緩和期待、自社株買いなども追い風に7連騰達成。
➡ 詳細:2025年4月の株式市況まとめ|関税・為替・半導体で乱高下、月末は7連騰で巻き返し
5月|為替・関税・MSCIで期待→利確→需給増幅
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前半:米株安・円高で反落→関税懸念後退+円安で急反発。
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中盤:節目到達で利確・戻り売り、円高で上値重く。
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後半:MSCI定期見直しが需給を動かし、関税不透明感再燃で値動き拡大。
➡ 詳細:2025年5月の株式市況まとめ|為替と関税ニュースに振られたイベント相場
6月|米中摩擦・円高・地政学で揺れつつ下値固め
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序盤:米中摩擦と円高で急落も、対話継続報道で反発。
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中盤:雇用統計の強さと円安で3万8000円台回復→関税・レアアース懸念で反落。
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後半:中東リスクで神経質も、円安・半導体・ディフェンシブが支え、4万円手前で往来。
➡ 詳細:2025年6月の株式市況まとめ|米中摩擦と円高が揺らした初夏相場
テーマ別レビュー
1) 関税・通商
四半期を通じて最大の地合いドライバー。
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悪材料:追加関税・輸出規制の観測で輸出全般が重く、先物主導で指数が下押し。
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好材料:一部停止・延期・緩和示唆で一斉買い戻し。
実務では「影響品目/企業の輸出比率/想定レート」の3点セット確認が有効。
2) 為替(円高⇔円安)
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円高:自動車・電機など輸出に逆風、指標感応度の高い主力が軟化。
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円安:輸出採算改善でトヨタ・ホンダ・デンソー・ソニーGなどが牽引。
指数判断はドル円とSOX(半導体指数)併読が定番。
3) 半導体サイクル
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警戒:ASML受注鈍化などで装置・検査が一時調整。
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安心:TSMCの強いガイダンスで東エレク・アドテスト・TDK・村田・SCREENに買い戻し。
海外大手の受注・在庫・資本支出が国内関連の短期トレンドを規定。
4) 需給・テクニカル
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4月末:「窓埋め」進行→売り方の買い戻しで上げ加速。
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5月末:MSCIリバランスで終盤の値動き増幅。
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イベント周辺は「分割エントリー/利確の段取り」で被弾リスクを低減。
セクター&主力の動き
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半導体:前半調整→後半買い直し。四半期トータルでは指数牽引力を維持。
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自動車・電機(輸出):円安+関税緩和観測で上昇トレンド優位。
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銀行:米金利と地合いに連動、往来中心。
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ディフェンシブ(医薬・食品・小売):不安定局面の受け皿として機能。
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主力大型(SBG/主力外需):イベント前後は先物主導で値幅拡大。
初心者向け:今期よく出たキーワード
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関税:輸入税。引き上げ=輸出採算悪化/緩和・延期=安心感。
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円高・円安:輸出企業の利益に直結。日経は外需比率が高く感応度大。
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乱高下:ニュース×先物×需給が重なると値幅が極端化。
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窓埋め:ギャップを後日価格が埋めに行く現象。達成感→買い戻し誘発。
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MSCIリバランス:指数比率調整の機械的売買。月末の値動き拡大の典型要因。
第3四半期(7–9月)への示唆
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通商・関税の最終着地:品目・時期・程度の確度が上がるほど、バリュエーションの不確実性が低下。
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米金利とドル円:利下げ観測と雇用指標で振れやすい。輸出主力の想定レートと為替感応度を再点検。
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半導体需給:海外大手の在庫・受注・CapExアップデート待ち。設備投資ガイダンスに注目。
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イベント前のリスク管理:FOMC・雇用統計・指数入替などは建玉軽め→結果で再配置が基本線。