2025年1〜3月の東京株式市場は、「米関税政策」「円相場の変動」「AI・半導体関連の調整」が交錯し、激しい値動きが続いた3カ月でした。
年初は世界的な金利安定とAI関連株の買い戻しで堅調にスタートしたものの、2月以降は米通商政策をめぐる不透明感が強まり、外部要因に左右されやすい展開に。
最終的に日経平均は3万7000円〜3万8000円台を中心に上下動を繰り返し、「ニュース主導の波乱含み相場」となりました。
■ 全体動向
第1四半期の東京市場は、「外部要因による変動」と「内需・バリュー株の底堅さ」が同居する構図が鮮明でした。
-
1月: 新年相場としてAI関連・半導体株がけん引。米金利低下と円安基調を追い風に4万円台を試す場面も。
-
2月: 米トランプ政権の関税強化報道や米ハイテク株安でリスクオフが進行。日経平均は約1,100円安の急落局面を記録。
-
3月: バフェット氏の商社株買い増し報道が支えとなり、商社・銀行などバリュー株が買われ3万8000円台を回復。しかし月末には再び関税ヘッドラインと配当権利落ちで調整。
四半期を通して、
「関税」「金利」「為替」という3大テーマが相場の方向性を左右しました。
一方で、AI・商社・通信・医薬品といったテーマ株が断続的に物色され、下値では押し目買い意欲が根強いことも確認されました。
■ 月別ハイライト
【2月】外部要因で乱高下、関税と円高が重石
米関税政策と為替変動が重なり、後半には日経平均が3万7200円台まで急落。
米ハイテク株の下落と半導体セクターの調整もあり、輸出株中心に売り優勢に。
一方で、バフェット氏による商社株買い増し報道が投資家心理を下支え。
「外部要因による急落」と「内需株の堅調さ」が同居する展開となりました。
➡ 詳細:2025年2月 株式市況まとめ|関税リスクと円高で揺れた相場、指数入れ替えが追い打ちに
【3月】春闘・FOMC・関税ヘッドラインが交錯
3月は「イベントラッシュ」の月。
春闘による賃上げ期待、SQ・FOMC・配当権利落ちなどが重なり、日ごとに相場のムードが変化。
中旬にはバフェット効果で商社・銀行・自動車株が急伸し、3万8000円台を回復。
しかし月末は米「相互関税構想」報道と期初の益出しで再び急落。
イベント主導・ニュース主導型の典型的な乱高下相場でした。
➡ 詳細:2025年3月 株式市況まとめ|バフェット効果と関税ヘッドラインに揺れた春相場
■ セクター別動向(1〜3月)
セクター | 概況・材料 | 代表銘柄例 |
---|---|---|
商社・銀行(バリュー) | バフェット効果と円安追い風で堅調。TOPIX主導の上昇を牽引。 | 伊藤忠・三菱商・三井住友FG |
半導体・ハイテク | 米中摩擦や関税影響で調整。ただしAI関連は押し目買い。 | 東エレク・アドテスト・ディスコ |
自動車 | 関税リスク・為替変動に敏感。材料ニュースで上下。 | トヨタ・ホンダ・スバル |
ディフェンシブ(通信・医薬品) | 市場変動時の逃避先として底堅く推移。 | KDDI・NTT・武田薬品 |
内需・消費関連 | 春闘賃上げ期待で一時上昇。インバウンドも支援要因。 | イオン・すかいらーくHD・花王 |
■ 初心者向け:この四半期によく出たキーワード
キーワード | 意味・ポイント |
---|---|
関税ヘッドライン | 報道・発言段階で株価が動く。思惑先行の「ニュース相場」の典型。 |
春闘(賃上げ交渉) | 賃上げ→消費拡大期待→株価上昇につながりやすい。 |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 金利政策の決定機関。金利据え置き=株価の支えに。 |
配当権利落ち | 配当を受け取る権利が消える日。理論上、株価は配当分下がる。 |
バフェット効果 | 有名投資家の買い報道による心理的安心感。バリュー株上昇の引き金に。 |
■ 総括と今後の注目点(4〜6月に向けて)
第1四半期の日本株は「外部要因に翻弄されながらも、内需が支えた」構図が続きました。
為替と関税の変動リスクが相場を荒らした一方、商社・銀行・通信などのバリューセクターは底堅く推移。
日経平均は3万7000円前後を下値とする強弱交錯のレンジ相場を維持しました。
4〜6月にかけては、
-
米国の関税政策の具体化
-
為替動向(円高修正か、円安定着か)
-
日本企業の決算・自社株買い動向
が最大の焦点です。
特に「AI・製造・エネルギー・金融」を軸にした銘柄循環が起これば、
春から夏にかけて再び4万円台を試す展開も視野に入ります。
まとめ
-
キーワード: 関税 × 為替 × バリュー回帰
-
特徴: ニュース主導の乱高下ながらも押し目買い優勢
-
投資スタンス: イベントで売られた優良株を拾う「押し目狙い型」有効
-
注目セクター: 商社・金融・AI半導体・通信