2025年12月第2週の東京株式市場は、FOMC通過による安心感と日銀利上げ観測の綱引きのなかで、日経平均株価が5万円を挟んで上下する展開となりました。
週前半は米利下げ期待を背景に底堅く推移した一方、FOMC後は材料出尽くしや金利動向を警戒した売りも出やすく、値動きの荒い一週間となりました。
全体動向(週の要因分析)
今週の最大の材料は、米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合を控えた様子見姿勢でした。
米国では12月FOMCで0.25%の利下げが決定され、市場では「想定通り」と受け止められました。
利下げ自体は株式市場にとって追い風ですが、同時に2026年以降の利下げペース鈍化が意識されたことから、ハイテク株を中心に利益確定売りも出やすい地合いとなりました。
一方、日本では日銀の12月利上げ観測が根強く、長期金利の上昇が主力ハイテク株の重荷となる場面が目立ちました。
その反面、銀行・保険など金利上昇が追い風となるセクターや内需株、バリュー株への資金流入が続き、TOPIXは史上最高値を更新しています。
為替市場では円安基調が続き、輸出関連株を下支えしましたが、「日米金利差縮小→円高転換」への警戒も残り、投資家心理は強気一辺倒とはなりませんでした。
日別サマリー
12月8日(月)
前週末の米株高を受けて、週明けの東京市場は反発して始まりました。為替市場では円安・ドル高が進行しており、輸出関連株や株価指数先物の下支えとなりました。
特に、不動産や建設、陸運などの内需株には出遅れ感を意識した買いが入り、相場全体を支える動きが目立ちました。
一方で、日銀の追加利上げ観測や国内長期金利の上昇が意識され、主力ハイテク株の一角には利益確定や戻り待ちの売りが出やすくなりました。
そのため、日経平均は上昇する場面がありながらも下げに転じるなど、方向感に欠ける展開となりました。
12月9日(火)
前日の米国市場で半導体関連株が上昇した流れを引き継ぎ、東京市場でも値がさの半導体関連やフィジカルAI関連銘柄に買いが入りました。
東エレクやディスコなどが相場を押し上げ、日経平均は一時的に上げ幅を広げる場面もありました。
ただし、日本時間11日に控えるFOMCを前に、主力株には持ち高調整の売りも目立ち、積極的な上値追いの動きは限定的でした。
日銀の利上げ観測も引き続き意識されており、投資家は一方向にポジションを傾けにくく、指数は小幅な値動きにとどまりました。
12月10日(水)
FOMCの結果発表を控え、東京市場では警戒感が強まり、日経平均は反落しました。
朝方には株価指数先物主導で上昇する場面もありましたが、上値では売りが優勢となり、次第に下げに転じました。
特に、ソフトバンクグループ(SBG)や半導体関連株の下落が目立ち、指数の重荷となりました。
一方、為替市場で円安基調が続いたことから、自動車株などの輸出関連株は相対的に堅調に推移しました。
全体としては、重要イベントを前に積極的な売買を見送る投資家が多く、日経平均は前日のレンジ内での動きが中心となりました。
12月11日(木)
FOMCでの利下げ決定を受け、朝方は米株高を好感した買いが先行しました。
しかし、利下げ自体は市場の想定通りだったことから、次第に「材料出尽くし」と受け止められ、利益確定売りが優勢となりました。
特に、SBGの急落が指数を大きく押し下げ、日経平均は下げ幅を拡大しました。
また、ビットコイン相場の下落によるリスクオフの流れも重なり、投資家心理が悪化しました。
日経平均は一時節目の5万円を割り込む場面がありましたが、下値では商社などのバリュー株への買いが入り、下げ幅をやや縮めて取引を終えました。
12月12日(金)
前日の米国市場で主要株価指数が最高値を更新した流れを受け、東京市場では幅広い銘柄に買いが先行しました。
銀行や保険などの金融株を中心に買いが広がり、TOPIXは史上最高値を更新しました。
自動車株や内需株にも買いが波及し、日経平均は一時5万1000円台に乗せる場面がありました。
もっとも、節目の5万1000円を上回る水準では利益確定売りや戻り待ちの売りが出やすく、日経平均は伸び悩みました。
来週の日銀金融政策決定会合や米経済指標の発表を控え、積極的に買い上がる動きは限定され、引き続き慎重なムードも残る一日となりました。
初心者向け解説(今週の注目テーマ)
①「FOMC通過後に売られやすくなる理由」
FOMCのような重要イベントは、発表前に期待で買われ、発表後は材料出尽くしで売られやすい傾向があります。
今回は利下げが想定通りだったため、「これ以上の好材料が出にくい」と判断した投資家が利益確定に動きました。
②「日銀利上げ観測で株の明暗が分かれる理由」
利上げは、
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ハイテク・成長株:割引率上昇 → 株価の重荷
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銀行・保険:利ざや改善 → 追い風
となるため、セクター間で明確な強弱が生じやすくなります。今週はその典型的な動きが見られました。
総括/来週の注目点
今週の総括
FOMC通過で不透明感は後退したものの、日銀会合を前に積極的にリスクを取りにくい一週間でした。
日経平均は5万円台を維持する場面が多かった一方、資金は半導体一極から金融・内需・バリュー株へと循環しており、TOPIX優位の地合いが鮮明になっています。
来週の注目点
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18〜19日:日銀金融政策決定会合
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米経済指標(小売売上高・インフレ関連)
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為替の円高転換リスク
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年末を意識したポジション調整の動き
スタンス
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指数は追いかけず、押し目中心
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金利上昇に強い金融・内需株を軸に分散
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ハイテク株は逆指値を意識した管理重視
【前週】2025年12月第1週市況|日銀利上げ警戒と米利下げ期待が激突|半導体・AI急反発
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