2025年12月第1週市況|日銀利上げ警戒と米利下げ期待が激突|半導体・AI急反発

2025年12月第1週の東京株式市場は、「日銀の利上げ観測」と「米利下げ期待」が交錯する中、激しい値動きを伴いながら方向感を探る1週間となりました。
週初は利上げ警戒で急落しましたが、週半ばは米利下げ観測を背景に半導体・AI株が急反発し、指数は再び5万円台を回復しました。

 全体動向(週の要因分析)

今週の最大テーマは、日銀の12月利上げ観測と米FRBの利下げ期待の綱引きでした。

12月1日は、日銀・植田総裁が「利上げの是非について検討する」と発言したことで、12月会合での利上げがほぼ確実視され、金利上昇を嫌気した売りが一気に膨らみました。
特に不動産、電力、建設など金利上昇に弱いセクターが売られ、銀行は逆に全面高となりました。

一方、米国では弱い雇用指標やADP雇用統計の減少を受け、FRBが利下げに動くとの見方が強まりました。
これにより、週後半にかけて半導体・AI・ロボット関連株が再び主役に浮上
SBG、アドテスト、東エレクといった値がさ株が日経平均を大きく押し上げました。

また、トランプ政権がロボット産業支援に前向きと報じられたことで、「フィジカルAI」関連(ファナック・安川電)が急伸し、物色テーマが半導体一極から広がる兆しも見られました。

金利面では、日本は利上げ方向、米国は利下げ方向という逆方向の金融政策が意識される中、円高は進まず、日本株にとっては相対的に買いやすい地合いが維持されました。


 日別サマリー

12月1日(月)

日経平均:−950円(4万9303円)
日銀総裁の利上げ示唆発言を受け、利上げ警戒が一気に強まり急落。

→ 銀行株高・不動産株安という典型的な金利敏感株の反応。

 12月2日(火)

日経平均:+0.17円(ほぼ横ばい)
ファストリとファナックの上昇で下支え。銀行株は連日の高値更新。

→ 利上げ前提の銀行・保険が独り勝ち状態。

 12月3日(水)

日経平均:+561円(4万9864円)
米利下げ観測を背景に、AI・半導体株が反発。

→ SBG・アドテスト主導で5万円回復目前。

 12月4日(木)

日経平均:+1163円(5万1028円)
米ADP雇用減少 → FRB利下げ観測強化。ロボット・フィジカルAI関連が急伸。

→ ファナック・安川電が主役に浮上。

12月5日(金)

日経平均:−536円(5万0491円)
3日続伸後の反動で利益確定。12月利上げ警戒で方向感を失う。

→ 押し目買いは入るが、様子見ムードが拡大。


初心者向け解説(今週の重要ワード)

①「日銀利上げ観測」とは?

日銀が政策金利を引き上げると、企業の借入金利や住宅ローン金利が上昇します。
そのため、

  • 不動産

  • 建設

  • 電力

などの金利に弱い業種は売られやすくなります。
一方で、

  • 銀行

  • 保険

は、利ざや拡大が期待できるため株価は上昇しやすくなります
今週はまさにこの金利敏感株の明暗がはっきり分かれた週でした。


②「米利下げ観測」が株を押し上げる理由

利下げが行われると、

  • 企業の借入コストが下がる

  • 設備投資・消費が活発化

  • 将来利益の現在価値が高く評価される

という流れから、AI・半導体などの成長株(グロース株)が上がりやすくなります。
今週はADP雇用統計の減少が材料となり、SBG・アドテスト・東エレクが急反発しました。


③「フィジカルAI」とは?

ソフトウェア上のAIではなく、
ロボット・機械がAIで自律制御される実体経済向けAI分野のことです。

  • ファナック

  • 安川電

  • 産業ロボット関連

が代表例で、今週は「ロボット×AI」が次のテーマとして急浮上しました。

 総括/来週の注目点

今週の総括

今週の東京市場は、

  • 日銀の利上げ警戒

  • 米FRBの利下げ期待

  • 半導体・AIの復活

  • フィジカルAIという新テーマの浮上

が交錯する、極めてイベントドリブンな相場となりました。

指数は方向感に欠けながらも、
5万円割れ → 5万円回復 → 再調整という高値圏での神経質な展開が続いています。


来週の注目点

  •  米FOMC(9〜10日)の利下げ判断

  • 日銀金融政策決定会合(18〜19日)に向けた思惑

  • 半導体・AI株の続伸余地

  •  円相場(円高が進めば日本株の重荷)


■ スタンス(投資戦略)

  • 押し目は段階的に拾う

  • 銀行・商社・高配当は引き続き安定枠

  • 半導体・AIはブレイクアウト後の追随のみ

  • 逆指値必須でボラティリティ管理を最優先

【前週】2025年11月第4週市況|半導体主導からバリュー循環へ、TOPIXは最高値圏維持

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