2025年11月第3週市況|日中リスク・半導体調整・NVIDIA決算で揺れた1週間

2025年11月第3週の東京株式市場は、日中関係の悪化・米利下げ観測の後退・NVIDIA決算・米ハイテク株安といった外部材料が続き、日経平均は乱高下する展開が続いた1週間でした。
週央には一時 4万8700円台まで下落し、その後 NVIDIAの好決算で急反発 → 翌日は再び急落という、典型的なボラティリティ相場となりました。

目次

全体動向(週の要因分析)

① 日中関係の悪化

中国が日本への渡航自粛を要請し、日本産水産物の事実上の輸入停止を通達しました。
これにより、中国依存度の高い観光・小売り・化粧品などが大きく売られ、インバウンド相場が大きく崩れました。

市場心理は一気にリスクオフへ傾きました。

② 米FRBの「利下げ慎重発言」で金利上昇 → ハイテク株安

米金利の上昇を受け、AI・半導体の過熱感が強まり、アドテスト・東エレク・ディスコ・レーザーテクなどの値がさ株が連日で大幅安となりました。

日経平均は25日移動平均線(約4万9900円)を割り込み、トレンド系の売り(CTA・短期筋)が一気に出たことが下落を加速した要因です。

③ ビットコイン急落で投資家心理が悪化

週中のBTC急落(1400万円割れ)は、「日本の個人投資家はBTC+ハイテクの両建てが多い」という理由から、
株式の投げ売りを誘発した要因として意識されました。

④ NVIDIA決算でAI急反発 → 翌日は再び失速

  • AI半導体「Blackwell」の販売が好調

  • 売上・ガイダンスとも市場予想を上回る

これを受け、20日は日経平均が+1,286円と大幅反発しました。
アドテスト・東エレク・SBGの3銘柄だけで +700円寄与する異例の強さでした。

しかし翌21日には再び米ハイテク株安が波及し、AI関連が全面反落 → -1,198円と急落しました。


日別サマリー

 11/17(月)|日経 -52円(小幅安)

  • 中国の渡航自粛 → インバウンド関連が急落

  • JAL・ANA・百貨店・化粧品が全面安

  • 半導体は自律反発

  • 後場に押し目買いが入り下げ渋りました

「日中リスク」初動でセンチメント悪化

11/18(火)|日経 -1,620円(急落)

  • 日経平均が25日線を割り込みトレンド売り発動

  • 米ハイテク安/利下げ後退/BTC急落が重荷

  • インバウンド関連が続落

  • AI・半導体・電線株まで幅広く下落

 4月7日以来の「全面投げ売り」局面

11/19(水)|日経 -165円(続落)

  • NVIDIA決算前で半導体が持ち高調整

  • 中国が「日本産水産物の輸入停止」を通達

  • 小売・水産株に売り

  • 先物買い戻しで下げ渋る場面も

イベント通過待ちで方向感は限定的

11/20(木)|日経 +1,286円(大反発)

  • NVIDIA決算が市場予想を超える内容

  • AI関連が全面高(アドテスト・SBGで+700円寄与)

  • 円安(157円台)が追い風

  • 一時5万円台を回復

週で最も強い「AIショートカバー」相場

11/21(金)|日経 -1,198円(大幅反落)

  • 米ハイテク株安を受けAI/半導体が急落

  • テーマ株が総崩れ

  • 内需ディフェンシブ銘柄は底堅い動き

AI相場の過熱と冷却を象徴する展開


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初心者向け解説(今週のキーワード)

①「日中リスク」とは?

日中関係が悪化すると、株式市場では「売り」の反応が出やすくなります。
理由は、外交問題が そのまま企業の売上に直結している”からです。

① 中国依存度の高い企業が多いから

日本企業のなかには、売上の10〜40%が中国向けという会社も珍しくありません。

たとえば、

  • 観光(インバウンド) → 中国人観光客が全体の大きな比率

  • 化粧品 → 資生堂・花王などは中国売上が非常に大きい

  • 百貨店・小売り → 高級品の爆買いは中国需要が中心

  • 鉄道・空運 → 訪日客の減少が直撃

つまり、

「中国が日本への渡航を控えてください」と発表するだけで、売上が減る未来まで株価が織り込まれるのです。

② 中国は旅行・消費の規模が圧倒的

中国は世界最大級の観光客供給国です。

  • 中国 → 年間1.5億人が海外旅行

  • そのうち日本は人気上位

  • 1人あたりの消費額も多い

だから、中国人の動きひとつでインバウンド銘柄の業績が上下しやすいのです。


③ 中国政府の「通達」は市場が最も敏感に反応する

今回は

  • 「渡航自粛を要請」

  • 「日本産水産物の輸入を停止」

という政府公式の通達が出ました。

こうした政府発のアナウンスは、

政治判断=長期化する可能性が高いため、市場の反応が一段と強くなります。

④ 投資家心理が冷え込み、先物で指数を一気に売られる

インバウンドや化粧品など個別企業だけでなく、

  • 「アジア株全体の下げ」

  • 「リスク回避の円買い」

  • 「先物の売り」

まで連鎖が広がることがあります。

これにより、日経平均が一時的に数百円〜千円規模で下落するケースも普通に起こります。

今回の週もまさにそれでした。


⑤ なぜ「ニュースが出た瞬間に売られる」のか?

日中関係は政治リスクに分類されますが、
他の政治リスクと違い、市場がすぐ反応する理由があります。

 日中リスクは「業績に直結するから」

地政学ニュース(例:戦争・紛争)は時間差がありますが、
日中関係の悪化は、

  • 旅行が止まるのは即日

  • 消費が減るのも直近の四半期から数字に出る

という即効性があり、
数字で業績に響くと誰でもイメージしやすいため、売りが早いのです。


まとめ:日中リスクに株が敏感な理由

理由 内容
売上の中国依存度が高い 化粧品・百貨店・空運などは直撃
観光の規模が大きい 旅行ストップは一瞬で響く
中国政府の発表は強い影響 政策は急で、長期化する可能性がある
業績に即効で効く 四半期数字に表れるため売られやすい
先物の売りも出る 指数でまとめて売られ、日経平均も急落

② 25日移動平均を割ると急落が加速する理由

25日移動平均線(25MA)は、
「1ヶ月の投資家の平均コスト」=短期の相場の体温
として、世界中の投資家が参照する重要ラインです。

だから、ここを割ると売りの連鎖が一気に走りやすくなります。


① 投資家の「平均購入価格」を下回ると心理が変わる

25MAは、短期投資家の購入価格の平均。
ここを割ると、

  • 「含み益 → 含み損」になる人が急増

  • 逃げ遅れる恐怖が一気に広がる

この心理の転換が最初の売りトリガーになります。


② CTA(トレンド系アルゴ)が自動で売りに転換

CTA(商品投資顧問)やCTA系アルゴは、「価格が平均線を割ったら売り」
という機械的なモデルが多い。

特に指数先物で大量にポジションを持っているため、

 25MA割れ

先物を売る(ロスカット or 反転売り)
→ 日経平均が一気に下へ滑り始める

という流れになりやすい。

CTAは一度売りに転じるとトレンドが続く限り売り続けるという特徴があるので、下げが加速しやすい。


③ 機関投資家が「ポジション調整」を始める

機関投資家は、

  • TOPIX連動

  • 最低リスクのバランス型

  • リスクパリティ戦略

  • 月次のリバランス

などの都合で、
短期トレンドの変調を嫌います。

25MA割れはトレンド崩れのシグナルのため、

  • 持ち高の圧縮

  • 個別株の一斉軽量化

が起こりやすい。

特にハイテク・半導体など寄与度の高い値がさ株が標的にされるため、指数の下落速度が速くなります。


■④ 個人投資家の「投げ売り」が追い打ち

日本の個人投資家の特徴

  • チャート基準の逆指値が25MA下に多い

  • 信用(レバレッジ)取引が多い

  • 含み損に弱く投げが出やすい

25MAを割ると、個人が

  • 逆指値の自動ロスカット

  • パニック売り

  • 「戻り待ちの売り」

を連続で出しやすく、これが下げをさらに加速させる。


⑤ 25MA割れは「需給バランス」が一気に崩れる場所

ポイントは、
25MA付近は買いが溜まりやすいポイントだということ。

  • 押し目買いが集まりやすい

  • 個人の買いコストが集中する

  • 機関の短期モデルがここを基準にする

→ その買いの溜まり場が崩れると、一気に売りが勝つ構造になり、急落が発生する

⑥ 半導体・AIの「高寄与度銘柄」が連動して崩れる

日経平均の構成上、アドテスト・東エレク・SBG・ディスコなどは寄与度が大きく、ここが揃って売られることで指数が急角度で下がる。

つまり、

25MA割れ=指数を崩しやすい銘柄がまとめて売られる場面でもある。

まとめ:25MA割れで急落しやすい理由

要因 内容
心理的ライン 含み損に転じ恐怖が増す
CTAアルゴの自動売り 25MA割れは売りシグナル
機関の持ち高調整 トレンド崩れは即リスク圧縮
個人の逆指値が集中 パニック売り・ロスカット連鎖
寄与度の高い銘柄が標的 半導体・AI株がまとめて下落

 総括/来週の注目点

まとめ

  • 日中関係の悪化でインバウンド全面安

  • 利下げ後退とBTC急落でハイテクに売り圧力

  • NVIDIA決算でAI急反発

  • 翌日は米ハイテク安で再び急落

完全にイベント主導のボラ相場でした。

来週の注目ポイント

【最重要】

  • エヌビディア決算の余波(AIセクターの需給)

  • 日中関係の追加措置(渡航・輸入規制など)

【米国】

  • PCEデフレーター

  • SOX指数の方向感

  • 米金利(利下げ観測の戻りに注意)

【日本】

  • 日銀関係者の発言

  • インバウンド関連の下げ止まり

  • 内需ディフェンシブのリーダー交代


スタンス(売買方針)

  • 5万円節目前後は上下に振れやすいゾーンです。

  • AI・半導体は短期勝負に徹するのが無難です。

  • インバウンドは材料確認まで深追いしない方が安全です。

  • 調整したバリュー株(銀行・食品・鉄道)に資金回帰の兆しがあります。

  • 急落局面は 分割エントリー+逆指値 が鉄則です。

【前週】2025年11月第2週市況|米政府閉鎖の影響と解除後の反発、ハイテクに再び揺さぶり
【翌週】2025年11月第4週市況|半導体主導からバリュー循環へ、TOPIXは最高値圏維持

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