2025年11月第2週の東京株式市場は、
「米政府閉鎖の解除期待 → ハイテク主導の急伸 → 半導体主導の急落」
という、強弱材料が交錯する振れの大きい1週間となりました。
週前半は米国の政府閉鎖が終わるとの期待が投資心理を押し上げ、好決算銘柄や半導体株が買われ、日経平均は5万1000円台を再び回復。
しかし週末には、米ハイテク株の急落とNVDA決算前のポジション調整が重なり、半導体関連を中心に一気の利益確定売りも発生。
日経平均は金曜に一時1000円超下げ、ボラティリティの高さが際立った週となりました。
全体動向(週の要因分析)
11月第2週の相場を動かした主因は以下の4点。
① 米政府閉鎖の解除期待 → リスク選好回復
9日に米議会がつなぎ予算案で合意し、閉鎖が解除へ。
これにより 米国の統計再開・政策停滞解消 への安心感が強まり、10~11日にかけて日本株にも海外勢の買いが流入。
特に、前週まで調整していた アドテスト・東エレク・SBG等の主力ハイテクが大きく反発しました。
② 円安進行(1ドル=155円台) → 輸出株の追い風
米景気の底堅さから米金利が再び上昇し、円は11月で最安水準の155円台へ。
これが 自動車・機械などの輸出株を強く支援 し、バリュー株にも資金が入りやすい地合いが形成されました。
③ 決算シーズン終盤 → 銘柄ごとの明暗が極端
- フジクラ、TDK、味の素、医薬品株:好業績を背景に強い
- ホンダ、菱地所:下方修正・弱め決算で売られる
- SBG:過去最高益でも「材料出尽くし」で大幅安
決算を材料にした個別物色が一段と強まり、指数以上に銘柄の温度差が大きい週でした。
④ 米ハイテク株調整・NVDA決算前のリスク回避 → 半導体が急落
13日の米ナスダック急落を受け、14日は日本でも半導体が全面安。
アドテスト・東エレク・SBGの 3銘柄だけで日経平均を800円押し下げる など、指数主導の下げが目立ちました。
NVDA決算を翌週に控え、「一度リスクを落としておく」という海外勢の動きも加速したことで、週末は大幅な反落となりました。
日別サマリー
■【11月10日(月)】反発+635円
米政府閉鎖解除への期待、円安進行、好決算銘柄買いが重なり大幅反発。
アドテスト、東エレク、SBGなど主力株が買われ、午後にかけて上げ幅拡大。
一方、ホンダは下方修正で売られ、古河電は決算失望で急落。
■【11月11日(火)】反落▲68円
朝方は600円高まで上昇したが、半導体主力が急反転。
米政府閉鎖解除で経済指標が再開すると、
利下げ後退リスクが意識され、利益確定売りが優勢に。
ソニーGは好決算で大幅高、菱地所は決算失望で大幅安。
■【11月12日(水)】反発+220円
海外勢による好業績株(TDK・フジクラ)への買いが相場を押し上げる。
円安急進も追い風となり輸出株が堅調。
一方、SBGは「材料出尽くし」で大幅安となり、一時は指数を押し下げた。
■【11月13日(木)】続伸+218円
米政府閉鎖の正式終了・円安進行・先物買い流入でリスク選好が継続。
銀行・電線株などバリュー株が強い一方、SBGは引き続き軟調。
円は155円台まで下落し、自動車株が堅調。
■【11月14日(金)】急落▲905円
米ハイテク安、NVDA決算前の調整、半導体株への売りが集中し1000円超下落。
アドテスト+東エレク+SBGの3銘柄で800円超押し下げる荒い展開。
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初心者向け解説
①「材料出尽くし」とは?
材料出尽くし(=材料が出た後に株価が下がる現象)は、
初心者が最もつまずきやすい「逆の値動き」の代表例です。
なぜ良い決算でも下がるのか?
市場は 「未来を先取りして動く」 ため、
決算発表や好材料が出る頃には、
-
すでに多くの投資家が期待で買っている
-
株価が材料をかなり織り込んでいる
-
発表後は買い材料が不足する
という状態になっていることが多い。
これを相場では、
期待 → 現実 → 反動 の流れで起こる
材料出尽くしの典型的な流れはこうです。
-
期待で買われる
噂・業績予想・AIテーマなどで上がり続ける -
材料が発表される(決算・提携・上方修正など)
-
利益確定の売りが一気に出る
-
買い手不在で株価が急落する
サプライズの有無”が超重要
材料出尽くしは、
「内容が悪い」から起こるのではなく、
市場が求めていたハードルに届かなかった
ときに起きる。
市場が期待したレベル:もっと高い
このギャップで売られる。
SBG(ソフトバンクG)が売られた理由
SBGは 過去最高利益 を発表したにもかかわらず大幅安。
市場は、
-
AI投資の爆増
-
Vision Fund の評価益
-
大型買収や追加材料
など「次の一手」を期待していた。
しかし、実際は一段落感のある内容だったため、
という流れになった。
半導体株が材料出尽くしになりやすい理由
半導体株(アドテスト・東エレク・レーザーテックなど)は
-
AI・データセンターの超大型テーマ
-
海外からの資金流入が大きい
-
決算前に買われやすい
-
ボラティリティが高い
-
期待のハードルが常に高い
という性質がある。
そのため、
- 決算良いのに売られる
- 上方修正でも下がる
- 超好決算でも急落
が非常に起きやすい。
今週の半導体株の下落は、
-
ナスダック急落
-
NVDA決算前でリスク落とし
-
期待が過熱していた
という材料出尽くしの完璧な条件だった。
初心者が誤解しやすいポイント
上方修正 → 上がる
これは間違いです。
事前にどれだけ期待されていたか。
ここを見るのが重要です。
まとめ(初心者向け)
良い決算で下がるのは、株が期待で先に上がりすぎていたから。
②「米政府閉鎖」の解除が相場に重要な理由
米政府閉鎖(Government Shutdown)は、
予算が通らず政府機能が部分停止する状態。
これが続くと 株式市場にとって強いマイナス要因 となります。
なぜ閉鎖すると相場が読めなくなるのか?
米政府閉鎖で止まるもの
-
雇用統計
-
CPI(インフレ)
-
小売売上高
-
景況指数
-
住宅指標
-
各種経済統計の速報
-
一部の政策執行
これらが公開されなくなるため、投資家はこういう状態に陥る。
「景気は強い?弱い?」
「FRBは利下げを早める?遅らせる?」
➡ 判断材料がゼロに近づく
閉鎖中の典型的な市場の動き
- ボラティリティ低下(動きが少なくなる)
- 手がかり難で過剰に反応したり、逆に何も動かない
- 外国人投資家のフローが止まりやすい
そして…
株式市場にとって最悪なのは
「景気が良いか悪いか分からない」状態
解除されるとどうなる?
- 経済統計の発表が再開
- FRB(米中央銀行)の金融政策が読める
- 投資家が「方向感」を持てる
- 業績・景気・金利の見通しが回復
- リスクオン(株買い)に変わりやすい
今週の動きへの当てはめ(理解が深まる)
-
政府閉鎖が続いた → 統計が止まり相場に霧がかかった
-
解除の合意 → 「やっと景気が見える」安心感
-
円安進行 → 製造業や輸出株に追い風
-
好決算株 + ハイテクに買戻し → 日経平均上昇
まさに今週の反発相場は、
ことが大きい。
初心者向けの最重要ポイント
政府閉鎖は、
解除されると、
総括
11月2週は、
とテーマが次々切り替わった週でした。
円安・バリュー株シフトの流れは強いままですが、半導体株は米ハイテクの動向とNVDA決算前の調整が重なり、指数ボラティリティが急上昇する展開に。
機関投資家は 持ち高調整(リバランス) を強化しており、個別株の値動きが大きい相場となりました。
来週の注目点
① NVDA(エヌビディア)決算
最大のイベント。東京市場の半導体株に直結。
② 米経済指標が再開ラッシュ
前週まで止まっていた統計が一気に出るため、
金利・ドル円・日本株が大きく動く可能性。
③ 為替(円安155円台の持続性)
円安継続 → 自動車・機械が強い
円高反転 → 半導体・内需へ資金移動
④ 個別決算の最終盤
バリュー/内需でサプライズが出る可能性。
スタンス
- イベント前後はボラティリティ急上昇 → ロットは抑えめ
- 押し目はセクター分散(半導体一本集中は危険)
- バリュー株への資金回転を意識
- 逆指値で下振れリスクを管理
- NVDA決算後の方向感で翌週の戦略を再構築
【前週】2025年11月第1週市況|史上高値から急落・反発─AI株の高値警戒と円高の波
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