2025年9月第4週は、食品・DXサービス・物流・医薬品など幅広いセクターから新しいレポートが発表されました。
中食市場を担うSTIフードは増収減益からの巻き返しを狙い、kubellやユミルリンクといったSaaS企業は黒字化や安定ストック収益を軸に成長を継続。
また、ハマキョウレックスは20期連続増配を掲げつつ3PLで最高益を更新、大幸薬品は「正露丸」「クレベリン」を軸に反転を模索しています。
全体としては、「収益モデルの安定性」と「成長投資の持続性」がテーマ。SaaSは解約率やNRRといったKPI、食品は原価転嫁の定着度、物流は取扱量とマージンの維持、医薬品は新規格対応とブランド力が注目点となります。
全体動向(今週の着眼点)
今週は食品・中食の成長軌道、DX×SaaSの黒字化進展、物流・在庫管理の効率化が主題。
-
食品:中食需要の定着とフードロス対策が利益改善のカギ。
-
情報通信・DX:サブスク比率・解約率改善でSaaSモデルが再評価。
-
物流:WMS(倉庫管理システム)や在庫最適化が中長期の収益基盤に。
横断テーマは「構造的成長と投資負担の両立」。短期減益でも、中期での再現性ある成長戦略を持つ企業が評価される。
1.食品
STIフードホールディングス<2932>
-
セブン-イレブン向け惣菜・具材供給が柱。独自技術+一貫生産が強み。
-
25/12中間:売上+10.2%の183億円、営利▲6.1%の14億円。
-
通期予想:売上400億円、営利30億円と増益回復を見込む。
-
中期は北米展開や新工場建設で2桁成長を目指す。
チェックポイント
-
生産効率改善による利益回復スピード
-
北米進出とフードロス削減効果の実現性
-
配当(年40円、配当性向30%目標)+株主優待の持続性
5.医薬品
大幸薬品<4574>
-
「正露丸」「クレベリン」で知られる。
-
25/12中間:売上24.1億円(▲15.7%)、営利0.5億円(▲90.3%)。
-
医薬品事業の供給制約と原価上昇が響く。
-
感染管理事業は横ばい、クレベリン市場縮小が下げ止まり傾向。
-
JSAが二酸化塩素製品の新規格を策定。品質比較が容易に。
チェックポイント
-
正露丸の供給安定化(設備移設の進捗)
-
クレベリン再成長と規格対応の効果
-
海外売上(香港・中国・台湾)の回復度合い
10.情報通信サービス・その他
kubell<4448>
-
ビジネスチャット「Chatwork」運営、BPaaS事業を展開。
-
25/12中間:売上・EBITDA大幅増、財務基盤も改善(自己資本比率28.1%)。
-
中小企業市場特化の成長モデルが強み。AIを活用した新事業も準備。
-
株主還元は内部留保優先、配当未定だが株主優待制度あり。
チェックポイント
-
ARPU上昇・解約率低下の持続
-
BPaaSの収益化ペース
-
PLG戦略(プロダクト主導成長)が実需に結びつくか
プロジェクトホールディングス<9246>
-
DX支援コンサル・エンジニア派遣・HR(健康経営支援)を展開。
-
25/12 2Q:売上26.5億円(▲1.4%)、営利1.1億円(黒字化)。
-
通期予想:売上54億円(+2.3%)、営利5,000万円と慎重計画。
-
中期:2030年までに本部長クラス80名育成。株主優待を新設。
チェックポイント
-
DX人材育成のスピードと定着率
-
クライアント案件のリピート率
-
営業利益率の黒字定着
ユミルリンク<4372>
-
メッセージングPF「Cuenote」運営。売上の9割超がストック収益。
-
25/12中間:売上14.7億円(+12.6%)、営利2.8億円(▲6.9%)。売上は過去最高。
-
通期:売上31.5億円、営利7億円と過去最高更新見込み。
-
配当開始(年19円予想、配当性向15%目標)。
チェックポイント
-
解約率(月0.4~0.5%)の低水準維持
-
NRR(売上継続率)100%超の持続
-
SMS・Auth等新サービスの拡大
ロジザード<4391>
-
倉庫管理SaaS(WMS)が主力。売上構成比の8割がクラウド。
-
25/6期:売上21.8億円(+10.1%)、営利4.1億円(+17.8%)。
-
26/6期予想:売上24.4億円(+12.1%)、営利3.6億円(▲12.9%)と投資負担で減益見込み。
-
中期は2028年にクラウド売上24億円目標。
チェックポイント
-
新規アカウント獲得とコスト管理の両立
-
BtoB市場進出の成果
-
1株配当18円予想、還元姿勢
内部リンク
総括
-
食品(STI)は中食需要と海外展開で再成長の芽。
-
DX・SaaS(kubell/ユミルリンク/プロジェクトHD/ロジザード)は黒字化・安定収益モデルが見直しの局面。
-
医薬品(大幸薬品)は苦戦継続も、市場シェアと新規格追い風に反転期待。
今週の横断テーマは「成長投資と利益確保のバランス」。赤字転換を恐れず、中期でのKPI持続性と株主還元の設計を示せる企業が投資家に評価されやすい。
松井証券アプリなら、最新ニュースを見ながらすぐに日本株を取引できます。
チャンスを逃さない投資環境を手元に。
【PR】