全体動向
6月第1週の東京株式市場は、米中貿易摩擦の激化と円高進行が大きな材料となり、相場は方向感を欠きながら乱高下しました。
週前半はトランプ大統領の追加関税発言や中国の報復姿勢が嫌気され、半導体や鉄鋼株を中心に売りが広がりました。
日経平均は一時600円を超える下げ幅を記録しました。
しかし、週半ばには米中首脳の電話協議が伝わり、「対話継続」の安心感から買い戻しが入り反発。
ただし、週末には米国の雇用統計を控え、投資家の様子見姿勢が強まったことで上値は重い展開となりました。
為替は一時1ドル=142円台まで円高が進行。
輸出株に逆風となる一方、投資家は「金利低下や景気減速の可能性」を織り込み、ディフェンシブ株(薬品・小売など)に資金を振り向ける動きも目立ちました。
日別市況まとめ
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6月2日(日)|大幅続落、米中摩擦への懸念強まる
日経平均:494円安の3万7470円
→ 米ハイテク株安や追加関税への警戒で半導体・鉄鋼株が急落。
一方で中外薬やコナミなどディフェンシブ株が上昇。 -
6月3日(月)|小幅安、利益確定売りと持ち高調整
日経平均:23円安の3万7446円
→ 年金基金などによるリバランス売りが重荷。
リクルートや伊藤忠など主力株が軟調。 -
6月4日(火)|4日ぶり反発、米半導体株高が追い風
日経平均:300円高の3万7747円
→ 米エヌビディア株の上昇で半導体株に買い。
為替の円安進行も追い風。ただし利益確定で伸び悩み。 -
6月5日(水)|反落、米景気減速懸念で円高進行
日経平均:192円安の3万7554円
→ 米景気指標の悪化で円高に振れ、自動車株が売られる。
一方、ニトリや物流株など内需株は堅調。 -
6月6日(木)|反発、米中首脳協議で安心感
日経平均:187円高の3万7741円
→ 米中首脳の電話協議を好感し、半導体株や大型株が上昇。
ただし週末の米雇用統計を控え、買いは限定的。
初心者向け解説
① 米中摩擦って何が問題?
米国と中国は世界1位・2位の経済大国。互いに貿易を多くしているため、関係が悪化すると「モノが売れなくなる → 企業の利益が減る」という連想から株価が下がります。
特に関税(輸入品にかける税金)は、コストを押し上げて企業収益を圧迫します。
例)アメリカが中国製の半導体に関税をかける → コスト増 → 利益減 → 中国企業の株安 → 世界の半導体株安 → 日本株も売られる。
初心者は「米中がケンカすると、世界の株が下がる」と覚えておくと理解しやすいです。
② 円高と日本株の関係
円高=1ドルが安くなる(例:1ドル150円 → 140円)
→ トヨタのような輸出企業は、ドルで得た利益を円に換算すると少なくなるため、株価にはマイナス材料になります。
逆に円安は輸出企業にプラス。
今回も円高になった5日にはトヨタなど自動車株が下落、円安が進んだ4日には半導体や輸出株が上昇しました。
初心者は「円高=輸出株に逆風」「円安=輸出株に追い風」と覚えるのがポイントです。
③ 雇用統計がなぜ重要?
米国の雇用統計(毎月第一金曜日発表)は「世界で最も注目される経済指標」です。
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雇用が強い → 景気は堅調 → FRB(米中央銀行)は金利を上げやすい → 株価は下がりやすい
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雇用が弱い → 景気減速 → 金利を下げる可能性 → 株価は上がりやすい
投資家はこの結果次第で大きく動くため、発表前は売買を控えて「様子見」になります。今回も6日の時点で雇用統計待ちムードが強まり、積極的な買いが入りにくくなりました。
④ 利益確定売りと押し目買い
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利益確定売り:株が上がったときに「一度利益を確定しておこう」と売る動き。相場の上昇局面で出やすい。
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押し目買い:株が下がったときに「安くなったから買い」と動くこと。相場が強気の時に出やすい。
この週も「下げた日は押し目買い」「上げたら利益確定」という動きが交互に出て、株価が乱高下しました。
総括
この週の東京株式市場は、米中摩擦・円高進行・米雇用統計待ちという3つの要因で乱高下しました。
大きく崩れる場面があったものの、半導体株の強さや米中協議の前進で持ち直し、最終的には小幅反発で終了しました。
投資初心者にとっては、
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米中関係は世界市場全体に直結する
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円高円安は輸出株・輸入株の明暗を分ける
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雇用統計は世界が注目する指標
という基本を学べる週だったと言えるでしょう。
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