全体動向(4/21〜25)
この週の東京市場は、前半は円高進行と米株安の影響で売られたものの、後半は米株急伸・円安・関税緩和期待が相まって力強く反発しました。日経平均は週末にかけて3日続伸し、3万5700円台まで上昇。
つまり「外部要因(為替・米株・政治発言)」が相場を大きく動かした週でした。企業決算シーズン入りを控えつつも、投資家心理は比較的強気に転じ、輸出関連株を中心に買いが優勢となりました。
日別サマリー
4/21(月)
東京株式市場、円高・ドル安の影響で日経平均株価が3営業日ぶりに下落
日経平均株価は前週末比450円36銭(1.30%)安の3万4279円92銭。円相場が約7カ月ぶりに1ドル=140円台後半まで上昇し、輸出関連株を中心に売られた。
4/22(火)
トランプ発言で米株安波及、日経平均は続落
日経平均株価は59円32銭(0.17%)安の3万4220円60銭。トランプ大統領がFRBに利下げ圧力をかけ、米株安につながったことが日本市場にも影響。円高が進み、半導体などハイテク株も軟調。
4/23(水)
日経平均が3営業日ぶり反発、650円超高で3万5000円突破
前日の米株急伸と円安進行を背景に、日経平均は648円03銭(1.89%)高の3万4868円63銭。関税懸念の後退やパウエルFRB議長解任否定が好感され、輸出関連株が大幅高。
4/24(木)
続伸で3万5000円台回復、約3週間ぶりの高値
日経平均株価は170円52銭(0.49%)高の3万5039円15銭。トランプ政権が関税緩和の可能性を示唆し、米株高と円安が追い風に。企業決算シーズン入りで個別物色も。
4/25(金)
日経平均3日続伸、666円高で3万5700円台へ
終値は666円59銭(1.90%)高の3万5705円74銭。中国が一部輸入品の関税除外を検討との報道が追い風となり、輸出関連株や半導体株が買われた。円安・ドル高も相場を支えた。
💡 初心者向け解説ポイント
1) 円高・円安がなぜ株価に効く?
日本経済は昔から「輸出大国」と呼ばれるほど、自動車や電機、機械といった製品を海外に売って成長してきました。そのため、為替の動き(円高・円安)は企業の収益に直結します。そして収益の見通しが変われば、当然株価にも反映されるのです。
まず 円高 の場合。
例えば、トヨタが1ドル=140円で想定して自動車をアメリカに輸出していたとしましょう。ところが円高が進んで1ドル=135円になると、同じ1万ドルの車を売っても、受け取る円は140万円から135万円に減ってしまいます。つまり、円高は日本企業の「売上・利益を目減りさせる要因」になるのです。そのため市場では「円高=輸出企業に不利=株価の重荷」と見なされ、株価が下がりやすくなります。
逆に 円安 の場合はどうでしょうか。
1ドル=145円になると、同じ1万ドルの売上が145万円に増えます。実際には材料輸入コストの増加もありますが、自動車や精密機器のように海外売上比率が高い企業にとっては、基本的に利益が膨らみやすくなります。市場は「輸出採算が改善する」と見込み、株価を買い支える材料になります。だからこそ「円安=株高の追い風」と言われるのです。
この週の相場でも、その典型的な動きが繰り返されました。
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円高に振れると自動車や電機株が売られ、株価全体が重くなる
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円安になると輸出関連株に買いが入り、株価を押し上げる
というように、為替の変動が即座に市場心理へ波及しました。
初心者が押さえておきたいのは、為替は一見「難しい金融の世界の話」に思えても、株価に直結する超基本ファクターだということです。特に日経平均株価はトヨタやソニー、ホンダなど輸出企業の比重が大きいため、「円高=日経平均が下がりやすい」「円安=日経平均が上がりやすい」という構図が非常に分かりやすく表れるのです。
そのため、株式投資をする上では株価チャートだけでなく為替の動き(ドル円相場)にも必ず目を配る必要があります。ニュースで「円高」「円安」と聞いたとき、「日本株にどう影響するか」をイメージできるようになると、相場観がぐっと磨かれていきます。
2) 政治発言の影響力
株価は企業の業績や経済指標だけでなく、政治家の一言で大きく動くことがあります。特に米国は世界経済の中心であり、そのトップである大統領の発言は、市場全体に強いインパクトを与えます。
今回の例でいえば、トランプ大統領が「FRB(米連邦準備制度理事会)に利下げを求める」と発言したことで、市場は「米国の金融政策が変わるかもしれない」と敏感に反応しました。もし本当に利下げが行われれば、ドル安・円高が進み、日本の輸出企業の業績が圧迫される可能性があります。結果として、東京市場の株価も下がりやすくなるのです。
一方で、同じトランプ大統領が「中国への関税を下げる可能性」に言及すると、今度は逆の反応が起こります。関税が下がれば世界の貿易摩擦が緩和し、日本企業の輸出環境が改善する期待が高まります。その結果、投資家は安心感を持ち、株価が上昇する材料となりました。
つまり、「利下げ圧力」=警戒感 → 株価の重荷
「関税緩和の示唆」=安心感 → 株価の追い風
と、たった数日の間に同じ人物の発言で真逆の動きが起きたのです。
初心者に覚えてほしいのは、こうした政治発言は「必ずしも実行されるとは限らない」点です。実際の政策決定までには時間がかかりますし、途中で内容が変わることも多いです。しかし、市場は「可能性」だけで動くため、短期的な値動きは発言に大きく左右されるのです。
投資家は日々のニュースを追う際に、政治発言が出たとき「これは株価にプラスかマイナスか?」と考えるクセをつけると、市場の動きを理解しやすくなります。
総括
4月第3週の東京株式市場は、前半は円高進行やトランプ大統領の発言による米株安が響き、日経平均が下落しました。しかし後半は、米株急伸や円安基調、関税緩和期待が投資家心理を支え、輸出関連株を中心に大幅反発。週末には3万5700円台まで回復しました。
全体として「外部要因に左右されつつも底堅さを見せた一週間」であり、今後も為替と国際交渉の行方が相場のカギを握る展開となりそうです。
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