全体動向
この週の東京株式市場は、米国の関税政策・半導体関連の動向・為替(円高/円安) が主役となりました。
週初は米株高を受けて反発スタートしましたが、米政権による追加関税懸念や半導体輸出規制への警戒から16日には反落。
ただしその後は、日米関税交渉で為替議論が回避されたことや台湾TSMCの好決算 などが追い風となり、週後半は再び持ち直しました。
総じて、「関税リスクと半導体需要の明暗」「円相場の変動」 が市場の方向感を大きく左右した週となりました。
日別サマリー
4/14(月)
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日経平均:+396円(3万3982円)反発
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前週の大幅下落を受けた自律反発。米株高を背景に半導体関連に買いが集中。
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東エレク・アドテスト・TDKなどが買われる一方、円高進行で上値は重い展開。
4/15(火)
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日経平均:+285円(3万4267円)続伸
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トランプ大統領が「自動車関税救済策」を示唆し、自動車株が全面高。
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トヨタ、ホンダ、デンソーが強く、輸送用機器セクターが主導。
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防衛関連や銀行株にも買いが広がった。
4/16(水)
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日経平均:▲347円(3万3920円)反落
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米政権の追加関税や半導体輸出規制懸念が重荷。
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米ASML決算で受注減速→アドテストなど半導体株が急落。
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中国GDPは5.4%成長も、景気先行き懸念が強く売り優勢。
4/17(木)
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日経平均:+457円(3万4377円)反発
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日米関税交渉で「為替議論なし」→円安進行が株価押し上げ。
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台湾TSMCの好決算も追い風。ファナックやTDKが上昇。
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米株は下げたが、日本株は外部環境に耐性を示す動き。
4/18(金)
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日経平均:+457円(再掲・3万4377円)上昇維持
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前日の流れを引き継ぎ、円安+半導体好業績で底堅い。
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ただしトランプ政権のFRB議長更迭観測など、金融政策リスクが意識され始めた。
初心者向け解説
① 関税と株価の関係
関税とは、輸入品にかけられる税金のことです。日本は自動車や機械など「輸出で稼ぐ国」なので、関税が上がると 海外で売るときのコストが増え、利益が減る → 株価の重荷 になります。逆に関税が下がったり延期されたりすると、企業の利益が守られたり増えたりするので、株価には 追い風 です。
この週は、トランプ大統領の「自動車メーカーを支援する方法を検討している」といった発言が材料になり、自動車株が大きく上昇しました。一方で、半導体に追加関税がかかる可能性のニュースはマイナス材料となり、半導体株を押し下げました。
→初心者は「関税ニュース=輸出関連株の動きに直結する」と覚えておくと理解しやすいです。
② 半導体株の重要性と影響力
半導体は「産業の米(こめ)」とも呼ばれるほど、現代社会のあらゆる分野で必要不可欠な存在です。スマートフォンやパソコン、自動車や家電はもちろん、AIやデータセンター、5G通信、医療機器、ロボットなど、ほぼすべての先端分野に半導体が使われています。
つまり、半導体の需要動向はそのまま世界経済の方向性を映し出す鏡とも言えます。
そのため投資家は「半導体関連株」を市場全体の先行きを占う重要な指標として注目しています。
特に日本市場では、東京エレクトロン(東エレク)、アドバンテスト(アドテスト)、SCREEN、村田製作所、TDK、京セラなどが代表的な半導体・電子部品株です。
これらは日経平均株価やTOPIXにおいても影響度が大きいため、半導体株が動くと市場全体を押し上げたり押し下げたりすることも多いです。
この週の動きを振り返ると、半導体関連株には「良いニュース」と「悪いニュース」が同時に入りました。
まず、オランダの大手メーカーASMLが決算で「新規受注が減速」と発表したことで、「世界の半導体需要が鈍化しているのではないか」との不安が広がり、日本市場でもアドテストや東京エレクに売りが集中しました。
これは、半導体製造装置の需要が冷え込むと、関連企業の収益にも直撃するからです。
一方で、台湾のTSMC(世界最大の半導体受託生産会社)の決算は市場予想を上回り、純利益が大きく増加しました。
さらに次の四半期も増収見通しを示したため、「先端分野の需要は依然として強い」という安心感が広がりました。
このニュースを受けて、日本市場でも一部の半導体関連株に買い戻しが入りました。
初心者が押さえるべきポイントは、「海外半導体大手の決算や発言が日本株にもダイレクトに影響する」という点です。
日本企業は世界の半導体サプライチェーンに深く組み込まれているため、アメリカや台湾、オランダ、中国などのニュースが日本市場を揺さぶります。
つまり、半導体株を見ていれば「世界景気の温度感」や「投資家のリスク許容度」が読みやすくなるのです。
まとめると
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半導体は現代経済の心臓部。
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日本株においても影響度が大きい。
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海外大手の決算やニュースが即座に日本株へ波及。
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投資初心者は「半導体株の動き=世界景気のバロメーター」として意識しておくと◎。
総括
4月第2週は、米国の政策発言・国際交渉・半導体動向 に強く振られた週でした。
日経平均は上下に揺れつつも、結果的には 3万4000円台を回復 し、外部環境の改善期待に支えられた形。
ただし「関税」「円相場」「FRB政策」など不安材料は依然として残っており、相場は楽観と警戒のせめぎ合いが続いています。
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