全体動向
3月第3週の東京株式市場は、前半にかけて米国株高や著名投資家ウォーレン・バフェット氏による商社株買い増しを背景に大きく上昇しました。
17日は半導体株の急伸が日経平均を押し上げ、18日はバフェット氏の商社株買い増し報道を受けて商社や銀行、自動車などのバリュー株が買われ、3万8000円を突破する場面も見られました。
しかし、19日は日銀の政策金利据え置きと20日の米FOMCを控えた手控え姿勢から反落。21日も持ち高調整の売りに押され小幅続落し、週後半は上値の重さが目立ちました。
一方で、TOPIXは7日続伸と底堅さを見せ、特に銀行株や一部の大型株が市場を支えました。
日別サマリー
3/17(月)
前週末の米株高を受けて日経平均は343円高。特に半導体関連株が急伸し、東エレクやアドテスト、SBGが買われました。
3/18(火)
バフェット氏の日本商社株買い増しが明らかになり、伊藤忠・三菱商を中心に商社株が急伸。銀行・鉄鋼・自動車などの割安株にも買いが広がり、日経平均は448円高で3万8000円台を回復しました。
3/19(水)
FOMC(米連邦公開市場委員会)発表を控え、投資家は様子見姿勢。前場は政策金利据え置きを好感して上昇しましたが、後場は失速し、93円安で引けました。
3/21(金)
週末要因から持ち高調整の売りが優勢。日経平均は小幅続落したものの、ソフトバンクGの大型買収報道や銀行株の強さが下支えとなり、下落幅は限定的でした。
初心者向け解説
1.「バフェット効果」とは?
ウォーレン・バフェット氏は「投資の神様」とも呼ばれ、世界中の投資家に影響を与える存在です。
今回、同氏が日本の商社株を追加で購入したというニュースが伝わると、「あのバフェットが日本株を評価しているなら安心して買える」という心理が働き、投資家の買い意欲を刺激しました。
株式市場では有名投資家の動向が「お墨付き」と捉えられ、価格が大きく動くことがあります。これを「バフェット効果」と呼ぶことがあり、特に長期投資志向の彼の動きは「短期的な仕掛けではない」という安心感を市場に与えやすいのです。
2. 商社株はなぜ人気?
商社は「何でも屋」とも言えるビジネスモデルを持ち、資源・エネルギーから食品・インフラまで多角的に投資をしています。
このため一つの産業に依存せず、業績が比較的安定しやすいという特徴があります。さらに、配当利回りが高めに設定されることが多く、投資家にとって「配当収入が期待できる株」としても人気です。
また、円安局面では海外事業の利益が膨らみやすく、株価の追い風になります。3月第3週も円安が進んだことから、バフェット氏の買い増し報道と合わせて商社株が一段と買われました。
初心者の方は「商社株=安定したビジネス+高配当+円安メリット」という特徴を押さえておくと理解しやすいでしょう。
3. 「イベント前の手控えムード」とは?
株価は経済指標や金融政策のイベントで大きく動くことがあります。
この週では米国のFOMC(連邦公開市場委員会)の結果発表を前に、「内容次第で相場が荒れるかもしれない」と考える投資家がポジションを減らし、売買を控える傾向が見られました。
このように「大きなイベントの直前は様子見で動きが少なくなる」現象を、手控えムードと呼びます。
一見すると値動きが小さく落ち着いて見えますが、実は少ない売買の中で先物や一部の大口注文が入ると株価が急に振れやすくなるため、意外とリスクが高い局面でもあります。
総括
3月第3週の東京株式市場は、バフェット氏の商社株買い増しをきっかけにバリュー株への買いが広がり、日経平均は3万8000円を一時回復しました。
一方で、米国の通商政策や金融政策を巡る不透明感から上値は重く、週後半には調整色が強まりました。
初心者にとっては「有名投資家の動向が市場心理を大きく動かす」「商社株が安定株として人気」「大きなイベント前は様子見で値動きが荒くなりやすい」という3つのポイントを理解しておくと、今後の相場観察がより分かりやすくなるでしょう。
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