2025年3月第2週市況まとめ|日経平均は乱高下、心理的節目を巡る攻防続く

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全体動向

3月第2週の東京株式市場は、米国株の影響や為替変動、トランプ政権の関税政策に翻弄される展開となりました。週初は米ハイテク株安や円高進行を背景に大幅下落し、日経平均は半年ぶりに3万7000円を割り込みました。その後も景気減速懸念や日銀総裁の発言に左右され、上値の重さが続いた一方、週末にかけては先物主導の買いと配当取り期待で持ち直す動きも見られました。投資家心理は不安定さを増しつつも、需給要因やイベントに敏感に反応する週となりました。


日別サマリー

3月10日(日経平均:-817円76銭の3万6887円17銭)

米ハイテク株安を引き継ぎ、半導体関連が急落。円高進行で輸出株も売られ、節目の3万7000円を割り込む。先物売りで下げ幅は一時900円に迫る。

3月11日(日経平均:-235円16銭の3万6793円11銭)

米景気後退懸念やGDP下方修正で売り優勢。朝方には3万6000円割れも、自律反発や先物上昇で下げ幅を縮小。売買代金は5兆円超と活況。

3月12日(日経平均:+25円98銭の3万6819円09銭)

円安進行と先物買いで小反発。米・ウクライナ停戦合意の報道も心理を下支え。ただし、鉄鋼・アルミ関税の日本対象化が重荷に。

3月13日(日経平均:-29円06銭の3万6790円03銭)

日銀・植田総裁の「賃金上昇続く」発言で円高が進行、上値を抑制。朝方は米半導体株高を受け大幅高スタートも、伸び悩んで小反落。

3月14日(日経平均:+263円07銭の3万7053円10銭)

先物・オプション3月物SQ(3万6483円79銭)を下回らなかったことから先物買いが広がり反発。米株が調整局面入りするなか、日本株の相対的な底堅さが買い材料となり、配当取り狙いも下支え。


初心者向け解説

1. 春季労使交渉(春闘)とは?

「春季労使交渉」、通称 春闘(しゅんとう) は、毎年春に企業の労働組合と経営者(会社側)が話し合い、賃上げ(給料アップ)や労働条件の改善を決める大規模な交渉のことです。日本では戦後から続いている伝統的な仕組みで、多くの大手企業が同じ時期に一斉に交渉を行うのが特徴です。

特に注目されるのは「ベースアップ(ベア)」と呼ばれる基本給そのものの引き上げです。ボーナスや一時金の増額とは違い、ベアは毎月の給料が恒常的に増えるため、家計に与える影響が大きいのです。

春闘が株式市場に与える影響

春闘は単に労働者と会社の間の問題ではなく、日本経済全体に波及するイベントとして株式市場も強く意識します。

  1. 賃上げが実現すると個人消費が増える
    → 給料が増えれば生活に余裕ができ、家電や自動車、外食などの消費が活発になります。これは企業の売上増加につながるため、株価にプラスの影響を与える可能性があります。

  2. 企業のコスト負担が増えるリスクも
    → 一方で、企業側にとっては人件費の増加は負担です。特に収益力が低い企業では利益を圧迫する可能性もあるため、「賃上げができる企業」と「できない企業」で株価の明暗が分かれることがあります。

  3. 日銀の金融政策にも影響
    → 賃上げが強い流れになれば、物価上昇(インフレ)が定着しやすくなります。日銀は「賃金が安定して上がるかどうか」を金融政策の判断材料にしているため、春闘の結果次第で金利政策に影響することもあります。

投資初心者向けのポイント

  • 春闘は「給料が上がるかどうか」を決めるだけでなく、日本経済全体の成長力を映すイベントだと理解するとよいです。

  • ニュースで「大手企業が平均○%の賃上げ」と報じられると、「消費関連株(小売・外食・自動車など)」に注目が集まりやすくなります。

  • 逆に、賃上げ負担が重い業界(労働集約型の小規模製造業など)は株価にマイナス要因になることもあります。

2. 「SQ」とは?

「SQ(特別清算指数)」は、先物やオプション取引の最終的な清算に使われる特別な価格のことを指します。
毎月第2金曜日(3月・6月・9月・12月は「メジャーSQ」と呼ばれ特に重要)に算出され、この値をもとに取引が精算されます。

例えば、日経平均先物を「3万7000円で買った」という契約をしていた場合、SQの日に決められた「SQ値」と実際の契約価格との差額で損益が確定します。
そのため、このSQ値は多くの投資家にとって重要な基準となります。

市場では、SQの直前に投資家や機関投資家がポジションを調整する動きが出やすく、株価が荒れやすい傾向があります。
特に、SQ値を日経平均が大きく下回ると「追加の先物売り」が誘発され、相場が急落することもあります。
一方で、SQ値を上回る水準を保てれば「売り圧力をこなした」と安心感につながり、株価が下支えされる場合もあります。

今回(3月第2週)のケースでは、算出されたSQ値(3万6483円79銭)を日経平均が下回らなかったため、「先物売りが加速しない」という安心感が投資家心理を支えました。
これが週末の反発につながったといえます。

 初心者は「SQ=先物・オプションの決済基準となる日」であり、「その値を割り込むと相場が崩れやすい」と覚えておくと理解しやすいです。


総括

3月第2週の東京市場は、米国株の動向・為替・関税政策といった外部要因に大きく振らされました。日経平均は3万7000円を割り込む場面もあったものの、配当取りを意識した買いや先物主導の買いが下支えとなり、週末には持ち直しました。市場の方向感は依然として不安定であり、今後も米経済指標や関税政策のヘッドラインに敏感に反応する展開が続くと見られます。投資家は心理的節目やイベント要因を意識しつつ、冷静な対応が求められるでしょう。

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