2024年12月第4週市況まとめ|米国動向と個人投資家の売買が交錯

DMM FX

◆全体動向

12月第4週の東京株式市場は、米国株の堅調さに支えられた買いと、年末要因による個人投資家の売りが交錯した週となりました。
23日は米株高や米政府閉鎖回避のニュースを好感し大幅反発しましたが、24日は個人投資家による損益通算売りが重石となり反落。
25日は配当権利取りの買いが支えとなり小幅反発となりました。

全体的には、米国の利下げ観測や政治要因の安心感と、国内の年末需給(益出し・損益通算・配当権利取り)がせめぎ合う展開でした。


◆日別サマリー

🔹12/23(月)

  • 日経平均:3万9161円34銭(+459円44銭/+1.19%)

  • 米国株の上昇を背景に7営業日ぶり反発。

  • 米政府閉鎖回避や米長期金利上昇一服で安心感広がる。

  • 半導体、自動車が買われ、TOPIXも反発。


🔹12/24(火)

  • 日経平均:3万9036円85銭(-124円49銭/-0.32%)

  • 年末の損益通算売りが主因で反落。

  • 海外投資家はクリスマス休暇で様子見。

  • ホンダ・日産自・三菱自が経営統合協議+自社株買いで大幅高。


🔹12/25(水)

  • 日経平均:3万9130円43銭(+93円58銭/+0.24%)

  • 配当権利取りの買いが支えとなり小幅反発。

  • 午後にはトヨタのROE目標引き上げ報道で自動車株が上昇。

  • TOPIXは3日続伸、内需株や高配当株に買い。


◆初心者向け解説

1) 「損益通算」とは?

株の売買では、利益が出た銘柄と損失が出た銘柄を合算して、最終的に納める税金額を調整できる仕組みを「損益通算」と呼びます。
たとえば、ある銘柄で100万円の利益が出て、別の銘柄で50万円の損失が出ている場合、差し引き50万円が課税対象になります。

この仕組みを利用すると税金の負担を軽くできるため、年末には意図的に含み損のある銘柄を売って損を確定させる投資家が増えるのです。
これを「損出し」と呼ぶこともあります。特に個人投資家は、年末にかけて税金を抑える目的でこうした売買を行う傾向が強くなります。

結果として、市場全体では 「利益確定しているから、含み損を抱えた株を年末に処分する」→売りが増える → 株価の重荷になる という流れが起こりやすくなります。
実際に12月下旬は、需給要因から一時的に株価が下がりやすい時期とされ、投資家はその影響を意識する必要があります。


2) 「配当権利取り」とは?

株を保有していると、企業から配当金を受け取れることがあります。ただし配当を受け取るには条件があり、決算期の「権利付き最終日」に株主名簿に名前が載っている必要があります。
この日を過ぎてしまうと、その期の配当を受け取る権利がなくなります。

そのため、期末直前には「配当金をもらいたい」という投資家の買いが増え、株価を押し上げる要因になります。
これを「配当権利取り」と呼びます。特に高配当株や人気の優待株ではこの動きが顕著で、株価が短期的に上がりやすくなるのです。

ただし、配当権利を取った翌営業日には「配当落ち」といって、配当金相当分が株価から差し引かれる形で下がる傾向があります。
つまり、配当狙いで買っても短期的には株価が調整されるため、長期保有を前提にするかどうかで戦略は変わります。
今回の12月25日も、権利取りの買い需要が株価を支える形となり、相場に一時的な上昇圧力がかかりました。


3) 米国政治要因の影響

日本株は国内の要因だけでなく、米国の政治や経済の動きにも大きく左右されます。今回注目されたのは、米国政府の「つなぎ予算成立」による政府閉鎖回避です。
アメリカでは、予算案が議会で合意されないと政府機関が一部閉鎖され、経済活動に影響が出ることがあります。
もし閉鎖が長引けば経済に悪影響を与え、株式市場全体が下落要因を抱えることになります。

しかし今回は、バイデン大統領がつなぎ予算に署名し、閉鎖が回避されたことで市場は一安心。米国株式市場が堅調に推移した流れを東京市場も引き継ぎました。
投資家心理は「最悪の事態が回避された」という安堵感で改善し、半導体や自動車といった主力株を中心に買いが入ったのです。

このように、政治リスクが和らぐと投資家は安心してリスクを取れるようになり、株価の支えとなるのが一般的です。
逆に、米国大統領や政府高官の発言一つで「利下げが遅れるのでは」「関税が強化されるのでは」と警戒感が広がり、売りが優勢になることもあります。
したがって、米国の政治動向は常に投資家が注視すべき要素といえるでしょう。


◆総括

12月第4週は、米国株高や政治要因の安心感で日本株が底堅さを見せる一方、年末特有の需給要因(損益通算・益出し・配当権利取り)が相場の重荷にも支えにもなった週でした。
年末は海外投資家が休暇に入り市場参加者が減るため、小さな売買でも株価が大きく動きやすいという特徴があります。
投資家にとっては、ファンダメンタル要因よりも需給要因が効きやすい時期であることを意識する必要があるでしょう。

【前週】2024年12月第3週市況まとめ|半導体安と金融政策の不透明感

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