全体動向
12月第2週の東京市場は、日経平均が4日続伸し、一時4万円台を回復しました。背景には米ハイテク株高、FRBの追加利下げ観測、円安進行があります。一方で、半導体株の値動きが相場を大きく左右し、米TSMCの売上減や米SOX指数の下落を受けて日本市場でもアドテストや東エレクに売りが波及しました。
また、国内では防衛増税案や法人税特別措置のニュースが重工株を押し上げるなど、政策関連材料も相場を動かしました。総じて、強い米株と円安が日本株を支えた一方、「4万円台では戻り売りが出やすい」という上値の重さが鮮明となりました。
日別サマリー
12/10(月)
日経平均株価は前週末比207円08銭高の3万9367円58銭で続伸。中国共産党が積極的な財政・金融政策を打ち出したことで景気不安が和らぎ、円安・ドル高進行が追い風となり、自動車株や中国関連株が買われた。トヨタやホンダが上昇する一方、個人投資家の利益確定売りで上値は重く、日経平均は「陰線」で引けた。
12/11(火)
日経平均は4円65銭高の3万9372円23銭と小幅続伸。日銀の追加利上げ観測を背景に銀行株や保険株が買われ、川重など防衛関連株も税制改正の思惑で急伸。
しかし、米半導体株安やTSMCの売上減を受けてアドテスト・東エレクなど半導体株が急落し、相場の重荷となった。
12/12(水)
日経平均は476円91銭高の3万9849円14銭と大幅続伸。午前中には取引時間中として約2カ月ぶりに心理的節目の「4万円」を突破した。
米CPIが予想通りでFRBの追加利下げ期待が高まり、ナスダックが最高値を更新。東京市場でも半導体やソフトバンクGに買いが波及した。SQ算出を前に海外短期筋の先物買いも加わり、一時上げ幅は700円超に。
12/13(木)
日経平均は前日の水準を維持しつつも、利益確定売りで伸び悩む展開。円安進行で再び4万円を上回る場面はあったが、戻り売りに押され上値は抑えられた。
TOPIXとJPXプライム150も4日続伸。米国市場ではハイテク株に調整売りが入り、ナスダックは反落した。
初心者向け解説
1. 心理的節目「4万円」とは?
株価の世界では「キリの良い数字」が投資家心理に大きな影響を与えます。今回で言えば、日経平均株価が一時的に4万円という大台を突破しました。
投資家の多くは「節目に到達した=達成感」と感じやすく、そのタイミングで利益を確定する売りが出やすくなります。
その結果、一度は突破しても、その後に売りに押されて下がるという動きが頻発します。初心者が覚えておくべきは、「節目は勢いづくポイントでもあり、同時に調整のタイミングにもなりやすい」ということです。
今回も、12日に日経平均が取引時間中に4万円を突破しましたが、午後になると戻り待ちの売りに押され、上値が重くなりました。これはまさに典型的な「節目の売り圧力」が働いた例です。
2. 半導体株が相場を左右する理由
今の株式市場において、半導体は「産業の米」と呼ばれるほど重要な存在です。AI、自動車、スマートフォン、データセンター、通信機器など、現代のあらゆる産業に欠かせません。
そのため、米国の半導体株の動向が世界の株式市場に直結します。
今週もその典型例がありました。米TSMC(世界最大の半導体受託生産企業)が11月の売上で前月比マイナスを記録したことで、米国の半導体株が急落。
これを受けて、日本でもアドテストや東エレクといった主力半導体株に売りが波及し、日経平均全体を押し下げました。
初心者にとって大事なのは、「半導体株の動き=市場全体の方向性を示すサインになりやすい」と理解すること。半導体株が強ければ相場は堅調に、逆に弱ければ市場全体も下押しされやすいのです。
3. SQ(特別清算指数)とは?
12月第2週の相場を大きく動かした要因のひとつが「SQ算出」でした。SQとは、株価指数先物やオプション取引の決済価格を算出する日のことです。
毎月第2金曜日に算出されますが、特に3月・6月・9月・12月は「メジャーSQ」と呼ばれ、機関投資家や海外短期筋が大規模なポジション調整を行うため、株価が大きく動く傾向があります。
今週もSQを控えて先物主導の買いが入り、12日には日経平均が一時700円超上昇する場面も見られました。初心者は「SQ週は値動きが荒くなる」ということを意識しておくと、無理なエントリーを避けられます。
総括
12月第2週の東京市場は、米国株高・FRB利下げ観測・円安進行を追い風に日経平均が4日続伸し、ついに心理的節目の4万円台を回復しました。
前半は中国の景気対策や円安を材料に上昇。中盤にはFRBの利下げ観測を背景に米ナスダックが最高値を更新し、日本市場でも半導体やハイテク株に資金が流入しました。
一方で、TSMCの売上減や米SOX指数の下落を受けて半導体株が急落する場面もあり、相場の不安定さを象徴しました。
また、国内では防衛増税関連ニュースが川重など重工株を押し上げるなど、政策関連の動きも目立ちました。円安による自動車株高も支えとなったものの、4万円突破後は利益確定売りが増え、上値の重さが鮮明になりました。
総じて、日本株は堅調な地合いを保ちながらも、外部要因と節目意識に振らされやすい局面が続いたといえます。今後もFRBの利下げペースや為替動向、半導体株の値動きが相場を大きく左右することは間違いありません。
【翌週】2024年12月第3週市況まとめ|半導体安と金融政策の不透明感
【前週】2024年12月第1週市況まとめ| 円相場・半導体株・日銀政策がカギ