全体動向
この週の東京株式市場は、米国の経済指標の好調さ→トランプ氏の関税発言→米中半導体規制報道→円相場の振れ という外部要因に大きく翻弄されました。
週明け25日は米景気の堅調さを背景に急伸しましたが、26日以降はトランプ次期大統領の強硬な関税発言が投資家心理を冷やし、自動車や半導体など輸出株を中心に大幅安。
さらに円高も進み、日経平均は一時3万8000円を割り込みました。
しかし28日には「米の半導体規制が想定より緩い」との報道で半導体株が急反発、相場を押し上げました。ただし週末29日には円高進行で輸出株が再び売られ、戻り待ちの売りも重なって反落。結果的に、外部要因に振り回される典型的な“乱高下の週” となりました。
日別サマリー
11/25(月)
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日経平均:3万8780円(+496円)
米PMI速報値が強く、米景気の底堅さが安心感につながり東京市場も急伸。精密機器や化学株など景気敏感株に買いが広がりました。
国内企業の配当再投資需要も買いを支え、一時3万9000円を突破。ただし利益確定売りも出て、上値は重さが残りました。
11/26(火)
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日経平均:3万8442円(−338円)
トランプ次期大統領が「就任初日に中国・カナダ・メキシコへ関税」と発言。輸出株中心に大幅安となり、日経平均は一時700円超下落しました。
自動車・半導体に加え、海運など景気敏感株も売られ、市場全体に警戒感が拡大。ただし、配当再投資需要が下支えとなり、終盤は下げ幅を縮小しました。
11/27(水)
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日経平均:3万8134円(−307円)
関税強化懸念が続き、円高・ドル安も重荷に。輸出株(トヨタ・ホンダなど)や半導体関連が大幅安。株価指数先物の売りが下落を主導し、一時3万8000円を割り込みました。
一方で、円高メリットのあるニトリや一部内需株は買われ、市場の選別姿勢が強まりました。
11/28(木)
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日経平均:3万8349円(+214円)
米の対中半導体規制が「想定より厳しくない」と報じられ、安心感から半導体株が急反発。東エレクやアドテストが指数を大きく押し上げました。
朝方は米株安を受けて下落スタートしたものの、買い戻しが優勢に。円高進行も限定的で、日経平均は反発に成功しました。
11/29(金)
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日経平均:3万8208円(−141円)
週末は円高進行(1ドル=149円台後半)と利益確定売りに押され反落。自動車など輸出株が下落し、日経平均は一時300円超安で3万8000円を割る場面も。
もっとも3万8000円が下値支持として機能し、押し目買いで下げ幅を縮小。円高メリットを受けやすい食品株や内需株が買われ、下支え要因となりました。
初心者向け解説
この週はまさに「外部要因に振り回される相場」でした。初心者に押さえてほしいポイントは次の3つです。
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関税と株価の関係
関税はモノを輸出するときの「追加コスト」です。関税が上がれば輸出採算が悪化し株価にはマイナス、逆に緩和されれば株価の追い風になります。
今週もトランプ氏の発言ひとつで株価が急落したように、政策リスクは投資家心理を大きく揺さぶります。 -
円相場の影響
円高は輸出企業に不利、円安は有利。この「円高株安・円安株高」の関係は日本株の典型的な動きです。27日と29日には円高が進み、自動車や電機が売られました。
一方で、円高にメリットがある内需株が買われる場面もあり、為替を読むことが投資の大きなカギになります。 -
半導体株の存在感
半導体は「産業の米」と呼ばれ、自動車・スマホ・AIなど多くの分野に不可欠。米国の規制や世界需要次第で日本の相場全体を動かす存在です。
28日には「規制が想定より緩い」との報道だけで急反発し、日経平均を大きく押し上げました。相場を見るときは半導体株の動きに注目することが重要です。
総括
11月4週は、
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米景気期待で急伸 → トランプ発言で急落 → 半導体安心感で反発 → 円高で再び反落
という乱高下の展開となりました。
教訓としては、「海外要因に左右されやすい日本株」「為替と半導体株が相場のカギ」 という点です。初心者にとっては、こうした「株価が動くメカニズム」を意識することが、日々のニュースを理解する第一歩となります。
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