2024年11月第2週市況まとめ|4万円目前で失速、半導体と為替に翻弄された一週間

DMM FX

全体動向

11月第2週(11日~15日)の東京株式市場は、日経平均株価が心理的節目「4万円」を目前にして伸び悩む展開となりました。
米国株高や円安・ドル高の追い風を受けた場面もありましたが、米国の対中輸出規制やトランプ次期政権の政策不透明感など外部要因が重しとなり、半導体関連株を中心に上下の振れが大きくなりました。

また、為替市場では円安が進行し、一時1ドル=156円台後半を記録。これが輸出株の追い風となる一方、利下げペース鈍化観測が高まり、金利高止まり懸念からハイテク株の上値は重い状況となりました。週後半には自律反発も見られたものの、全体としては上値の重さが際立つ1週間となりました。


日別サマリー

11月11日(月)

日経平均は小幅続伸し、3万9533円32銭(+32円95銭)で引けました。米株高と円安進行を背景に買いが先行しましたが、米商務省がTSMCに中国企業への半導体出荷停止を命じたことが嫌気され、半導体株が下落。利益確定売りも重なり、一進一退の展開となりました。ソニーGや古河電気の好決算が下支え要因となる一方、信越化やソシオネクスは売られました。


 11月12日(火)

日経平均は反落し、3万9376円09銭(-157円23銭)。前場は米株高を受けて堅調でしたが、後場には先物売りが強まり一時400円近く下落しました。
米国による対中輸出規制強化懸念が広がり、半導体関連株が軒並み下落。さらにトランプ次期政権の外交人事で対中強硬派の起用が報じられ、地政学的リスクも意識されました。一方、リクルートの好業績は相場を一定程度下支えしました。


11月14日(木)

日経平均は3日続落、3万8535円70銭(-185円96銭)で安値引け。朝方は円安と先物買いにより一時300円超上昇しましたが、その後は手じまい売りが優勢となりました。
米国の「トランプラリー」が帳消しになったとの指摘も出ており、自動車業界を中心に決算の弱さが目立ちました。為替は1ドル=156円台へ下落。銀行株は金利高止まり観測で買われた一方、半導体株は売られ、相場の弱さが鮮明になりました。


 11月15日(金)

日経平均は4日ぶりに反発し、3万8642円91銭(+107円21銭)。円相場が156円台後半まで下落したことから、輸出関連株に買いが入りました。
半導体関連株もASMLの強気見通しやホンハイのAIサーバー需要拡大を背景に大幅高。ただし、3万9000円手前では利益確定売りが優勢となり、上値は重いまま。東エレク、レーザーテク、トヨタが上昇した一方、リクルートやNTTデータは下落しました。


初心者向け解説

トランプラリーとは?

「トランプラリー」とは、トランプ氏の政策への期待で株価が大きく上がる現象のことを指します。
2016年の米大統領選でトランプ氏が勝利した直後に、株価が急騰したのが語源です。
当時は「減税・規制緩和・インフラ投資」といった政策が経済を刺激すると受け止められ、多くの投資家が株を買いました。

今回(2024年の選挙後)も、「関税で米国製造業を保護する」「大規模減税を行うのでは」という思惑から、米国株や日本株に資金が流れました。日本では特に自動車・電機・建設といった景気敏感株が上がりやすいのが特徴です。

ただし注意点もあります。

  • 減税・インフラ投資=株高要因

  • 関税・外交リスク=株安要因

つまり、トランプラリーは「期待で株が上がる」一方、政策の中身次第では逆に下げ要因にもなるのです。

対中輸出規制強化とは?

米国は近年、中国への半導体や先端技術の輸出を制限する動きを強めています。理由は「安全保障上の懸念」や「技術の軍事転用を防ぐため」です。
たとえば米商務省が台湾TSMCに中国企業への半導体出荷停止を命じると、半導体関連株が一斉に売られることがあります。
なぜなら日本の半導体メーカーもサプライチェーンで中国と深くつながっているからです。

初心者が理解すべきポイントは、規制ニュース=世界のサプライチェーンに直結する株価要因だということ。
特に半導体株は「米国の政策」ひとつで大きく動くので、国内材料よりも海外ニュースを注視する必要があります。

総括

11月2週は、円安進行と半導体株の動きに市場が翻弄された週でした。4万円を意識した株価水準では利益確定売りや戻り待ちの売りが出やすく、結果的に大きな方向感を示せませんでした。外部要因としては、米国の輸出規制・金利動向・トランプ次期政権の政策不透明感が引き続き重石となっています。

今後の焦点は、米国ハイテク株の動向と国内企業決算、さらに日銀の利上げ観測。年末相場に向けて強気材料と不透明要因が交錯する中、慎重な姿勢が求められるでしょう。

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