ニッポンインシュア<5843>家賃債務保証事業の成長と高収益モデル

ニッポンインシュア〈5843〉は、家賃債務保証サービスを主力とする保証会社です。
2025年9月期通期決算では、賃貸市場環境の追い風と業務効率化を背景に、大幅な増収増益と増配を達成しました。
本記事では、同社の事業モデルや決算概要、KPIの推移に加え、成長戦略や今後の注目点について整理します。

2025年12月03日に掲載されたニッポンインシュア<5843>の企業分析

元レポートは下記の通りです。
ニッポンインシュア<5843>レポートPDF
出典元:FISCO

ニッポンインシュア〈5843〉2025年9月期通期決算を踏まえた企業分析

(2025年12月3日掲載/出典:FISCO)

企業概要

ニッポンインシュア株式会社は、2002年に設立された家賃債務保証サービスを主力とする企業です。福岡を拠点に全国展開しており、賃貸住宅向けの家賃債務保証を中心に、介護費債務保証や入院費債務保証など、生活に密着した保証サービスを提供しています。

保証人を確保しにくい借主と、不動産管理会社・オーナー双方のニーズを満たす役割を担い、賃貸市場において重要なインフラ的存在となっています。


家賃債務保証サービスの仕組み

家賃債務保証サービスは、賃貸住宅契約時において、保証会社が借主の連帯保証人に代わる役割を果たす制度です。

借主が家賃を滞納した場合、保証会社が一定範囲で立て替えを行うため、

  • 借主は入居のハードルが下がる

  • 不動産管理会社・オーナーは未回収リスクを軽減できる

というメリットがあります。
同社はこの分野に特化したノウハウを蓄積してきました。


2025年9月期 通期決算概要

2025年9月期の通期決算では、大幅な増収増益を達成しました。

  • 売上高:3,737百万円(前年同期比 116.0%)

  • 営業利益:759百万円(同 181.5%)

  • 経常利益:775百万円

  • 当期純利益:528百万円(同 188.7%)

賃貸市場における成約賃料の上昇や、業務効率化の進展が業績拡大に寄与しています。


業績ハイライトと配当動向

契約件数は安定的に推移し、契約単価の上昇が収益成長を後押ししました。
これを背景に、1株当たり配当は16円から19円へ増額されています。


家賃債務保証料の内訳

家賃債務保証に関する売上は、以下の通りすべて増加基調にあります。

  • 初回保証料:1,964百万円(前年同期比 118.8%)

  • 更新保証料:973百万円(同 111.0%)

  • 月額保証料:409百万円(同 136.2%)

特に月額保証料は高い伸びを示しており、ストック性のある収益が着実に積み上がっています。


KPI(重要業績評価指標)の状況

2025年9月期の主なKPIは以下の通りです。

  • 初回保証契約件数:33,749件(前年同期比 100.8%)

  • 初回保証料契約単価:51,846円(同 110.4%)

  • 求償債権発生率:6.3%

  • 求償債権回収率:98.8%

回収率は高水準を維持しており、リスク管理能力の高さが確認できます。


成長戦略の方向性

同社は、家賃債務保証で培ったデータとノウハウを活かし、以下の三つの柱を軸に成長戦略を進めています。

① 主要都市を中心とした事業展開

主要都市を重点エリアとし、新規取引先の開拓を進めることで、持続的な成長を目指しています。

② システム活用によるコストリーダーシップ

デジタル技術を活用し、業務効率を高めることでコスト削減を図り、競争力を強化しています。

③ 人材育成による接客力向上

形のないサービスを提供する事業特性を踏まえ、社員研修を通じて信用力と対応品質の向上に取り組んでいます。


新領域への展開

家賃債務保証の経験を活かし、同社は以下の分野にも事業を拡大しています。

  • 介護費債務保証

  • 入院費債務保証

高齢化社会を背景に、今後の需要拡大が見込まれる分野として位置付けられています。


2026年9月期 業績予想

2026年9月期の業績予想は、引き続き成長を見込む内容となっています。

  • 売上高:4,233百万円(前期比 113.3%)

  • 営業利益:883百万円(同 116.4%)

  • 当期純利益:617百万円(同 116.8%)

  • 1株当たり配当予想:22円

増収増益とともに、増配継続が計画されています。


業務効率化とサステナビリティへの取り組み

業務効率化

RPA、OCR、クラウドシステムの導入により、処理の迅速化と正確性向上を進めています。

回収力・顧客満足度の向上

AIオペレーターやロボットコールを活用し、顧客対応の効率化と満足度向上を図っています。

コスト削減

業務量の増加に対して人員増を抑える体制を構築し、持続的なコスト削減を実現しています。

サステナビリティ

デジタル化によるペーパーレス推進や、多様な債務保証サービスの提供を通じて、社会的課題の解決にも取り組んでいます。


まとめ

ニッポンインシュア〈5843〉は、家賃債務保証を軸に安定した成長を遂げている企業です。
2025年9月期は大幅な増収増益を達成し、KPIや回収率からも事業の健全性が確認できます。

今後は、主要都市への展開拡大、デジタル化による効率化、新たな債務保証分野への進出を通じて、さらなる成長が期待されます。
2026年9月期の業績予想および増配計画の進捗が、今後の注目点となるでしょう。

筆者コメント

ニッポンインシュアは、家賃債務保証というニッチながらも社会インフラ性の高い分野に特化し、安定した成長を続けている企業です。

2025年9月期は、契約単価の上昇や業務効率化の進展により、売上・利益ともに大きく伸長しました。
求償債権回収率が高水準を維持している点からも、リスク管理能力の高さがうかがえます。

今後は、主要都市での展開強化やデジタル化によるコスト競争力に加え、介護費・入院費債務保証といった新領域の拡大が成長のポイントとなりそうです。
増益・増配基調がどこまで持続するか、2026年9月期の進捗に注目したいところです。

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2025年03月04日に掲載されたニッポンインシュア<5843>のレポート要約

元レポートは下記の通りです。
ニッポンインシュア<5843>レポートPDF
出典元:FISCO

ニッポンインシュア<5843>|AIとRPAで業務効率を革新、家賃保証サービスの成長を加速

会社概要

ニッポンインシュア株式会社は、家賃債務保証サービスを主軸とする金融関連企業であり、「不動産会社発の保証サービス企業」として、独自のノウハウと地域密着型ネットワークを強みに持つ。
東証スタンダード市場に上場し、全国主要都市に拠点を展開。九州から関東にかけての広域をカバーし、安定的に契約件数を伸ばしている。

同社は不動産管理会社としての経験を背景に、「入居者・オーナー・不動産会社」三者の信頼関係構築を重視。
家賃保証という金融サービスを、より身近で安心できる形に進化させている。


業績動向

2025年9月期第1四半期の決算では、初回保証料が前年同期比113%と大幅増加
新規契約件数と更新契約件数の双方で堅調な成長を記録し、売上・利益ともに順調に拡大している。

また、月額保証料収入の安定化が進み、リカーリング型収益の基盤が強化。
業績全体としては、前期を上回る伸びを見せており、通期でも増収増益の見込みが立っている。

KPI(主要業績指標)では、初回契約単価や更新率が安定推移し、求償債権発生率も低水準を維持。
健全な収益構造とリスク管理が機能している点が評価できる。


成長戦略

ニッポンインシュアは「事業効率化 × 顧客体験の最適化」を軸とした成長戦略を推進している。

1. 主要都市を中心に事業拡大

関東・九州・関西を中心に営業拠点を拡大し、地場の不動産会社や管理会社との取引を拡充。
地域ごとの特性に応じた営業戦略を展開し、着実に市場シェアを伸ばしている。

2. システム活用によるコストリーダーシップ

AI・RPA・OCRを積極的に導入し、与信審査や顧客対応の自動化・効率化を実現。
これにより、審査精度の向上とオペレーション負荷の軽減を両立。
人的コストを抑えながらも高品質なサービス提供を維持している。

3. 不動産業界との連携強化

不動産管理会社のノウハウを持つ同社は、業界内ネットワークを活かした新規取引先の拡大を推進。
顧客満足度向上と再契約率向上を両立させる仕組みを構築している。


組織体制と人材育成

成長を支える柱として、社員教育と接客技術の強化にも注力。
定期的な社内研修やケーススタディの共有を通じて、顧客対応品質を磨いている。
さらに、AI・デジタルツールの習熟を支援し、業務効率化と人材の専門性向上を両立。


業務効率化とシステム投資

システム投資によって業務の見える化を推進。
社内外の情報を一元管理することで、審査スピードの向上と顧客対応の迅速化を実現している。
同時に、ペーパーレス化の推進など環境配慮型オペレーションも強化中。


サステナビリティ経営

ニッポンインシュアは、社会的責任を意識したサステナブル経営にも取り組んでいる。

  • 社会貢献活動(地域支援・教育活動)

  • 従業員の働きやすさ改革(評価制度・育成支援)

  • 環境対応(紙資源削減・DX推進)

これらを通じて、企業価値の向上と社会的信頼の確立を目指している。


今後の展望

2025年9月期は、事業基盤の拡大とデジタル技術の活用を両輪とした持続的成長を計画。
家賃保証サービスの市場拡大に加え、関連サービスの多角化や新ビジネスモデルの創出にも意欲を見せている。

長期的には、

  • 契約数・保証料収入の持続的成長

  • システム投資による生産性向上

  • 顧客接点の強化によるブランド価値向上
    を目指す方針を掲げており、引き続き注目が集まる。

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