クラウドソリューション企業のBeeX〈4270〉は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の波を捉え、SAPシステムのクラウド移行を中核に事業を拡大しています。
AWSやMicrosoftなど複数のクラウド認定を取得し、マルチクラウド対応力を武器に高成長を維持。
2025年2月期上期は過去最高益を達成し、堅調な顧客基盤と高付加価値サービスの拡充によって収益性も向上しました。
今後はAI活用やM&Aも視野に、クラウドインフラ市場でさらなる成長が期待されます。
2025年12月03日に掲載されたBeeX<4270>の企業分析
元レポートは下記の通りです。
BeeX<4270>レポートPDF
出典元:FISCO
BeeX〈4270〉
2026年2月期を見据えたクラウドソリューション企業の成長分析
(2025年12月3日掲載/出典:FISCO)
企業概要
BeeXは、DX(デジタルトランスフォーメーション)およびマルチクラウドを基盤としたクラウドソリューション事業を展開する企業です。SAPシステムのクラウド化を起点に、クラウド環境の構築・移行から運用・保守までを一貫して提供しています。
本社は東京都中央区にあり、連結子会社としてスカイ365を有しています。AWS、Microsoft Azure、Google Cloudといった主要クラウドベンダーとのパートナー関係を活かし、企業のクラウド活用を総合的に支援しています。
事業内容とビジネスモデル
BeeXの事業は、主に以下の3つのサービスで構成されています。
クラウドインテグレーション
マルチクラウド利用のコンサルティングや、SAPシステムを中心としたクラウド環境の構築・移行サービスを提供しています。
企業の基幹システムを対象とする案件が多く、高度な専門性が求められる分野です。
クラウドライセンスリセール
AWS、Azure、Google Cloudなどのクラウドライセンスを仕入れ、顧客に販売するサービスです。
契約の積み上げにより、ストック型収益の拡大が進んでいます。
MSP(マネージドサービスプロバイダー)
クラウド環境の監視・保守・運用を担うサービスで、継続課金型の収益モデルとなっています。近年はこのMSPサービスの成長が顕著です。
これらのサービスを組み合わせることで、フロービジネス中心からストックビジネス比率の高い収益構造へと転換を進めています。
沿革とパートナー戦略
BeeXは2016年に設立され、SAPシステムのクラウド化支援を目的として事業を開始しました。以降、主要クラウドベンダーとの提携や認定取得を通じて事業基盤を拡大しています。
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2017年:Amazon Partner Network SAPコンピテンシー認定取得
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2018年:TISと資本業務提携
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2019年:テラスカイからAWS事業を承継
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2022年:東証マザーズ(現グロース市場)に上場
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2023年:米国New Relicとパートナー契約締結
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2024年:AWS プレミアティアサービスパートナー認定取得
2026年2月期 中間期の業績概要
2026年2月期中間期の連結業績は、売上高が過去最高を更新しました。
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売上高:5,123百万円(前年同期比 +14.4%)
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営業利益:340百万円
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経常利益:352百万円
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親会社株主に帰属する中間純利益:243百万円
売上は順調に拡大しましたが、人材採用や販管費の増加により、利益面では前年同期を下回る結果となっています。
サービス別売上高の動向
2026年2月期中間期のサービス別売上高は以下の通りです。
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クラウドインテグレーション:1,277百万円(前年同期比 ▲14.2%)
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クラウドライセンスリセール:3,158百万円(同 +24.0%)
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MSP:687百万円(同 +55.7%)
ストック型売上高は3,845百万円(同 +28.6%)となり、売上構成比は75.1%まで上昇しています。
財務状況とキャッシュ・フロー
財務状況
2026年2月期中間期末の財務状況は以下の通りです。
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資産合計:5,411百万円
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負債合計:2,536百万円
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純資産合計:2,874百万円
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自己資本比率:52.4%
自己資本比率は上昇しており、財務の健全性は改善傾向にあります。
キャッシュ・フロー
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営業活動によるキャッシュ・フロー:▲205百万円
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投資活動によるキャッシュ・フロー:18百万円
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財務活動によるキャッシュ・フロー:5百万円
現金及び現金同等物の期末残高は2,155百万円となっています。
2026年2月期 通期業績予想
2026年2月期の連結業績予想は、増収増益を見込む内容となっています。
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売上高:11,413百万円(前年同期比 +23.3%)
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営業利益:739百万円(同 +12.7%)
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経常利益:748百万円(同 +11.1%)
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親会社株主に帰属する当期純利益:552百万円(同 +10.7%)
新規契約の増加が、利益成長の主な要因とされています。
事業環境と成長戦略
DX・クラウド関連市場は中長期的な拡大が見込まれており、特にSAPシステムのクラウド化やS/4HANAへの移行需要が高まっています。
BeeXはこれを追い風に、契約先の拡大と高付加価値サービスの提供を進める方針です。
中期的には、2028年2月期に売上高160億円〜170億円を目標とし、事業規模の拡大を目指しています。
株主還元策
2026年2月期末には、初配当として1株当たり25.0円を実施する予定です。
今後も、業績の成長に応じた安定的な株主還元を目指す方針が示されています。
まとめ
BeeX〈4270〉は、マルチクラウドとSAP領域に特化した高い専門性を武器に成長を続けているクラウドソリューション企業です。
ストック型収益の比率が高まりつつあり、収益基盤の安定性は着実に向上しています。
DX・クラウド化の流れが続く中、同社の成長戦略と初配当を含む株主還元の進展が、今後の注目点となるでしょう。
筆者コメント
BeeXは、SAPシステムのクラウド移行という専門性の高い領域に特化し、マルチクラウド対応力を強みに成長してきた企業です。
クラウドライセンスリセールやMSPといったストック型収益の比率が高まり、収益構造の安定性が増している点は評価できます。
2026年2月期中間期は売上高が過去最高を更新する一方、人材投資などにより利益面では一時的な調整が見られましたが、通期では増益を見込んでいます。
SAPのS/4HANA移行需要やDX投資の継続を背景に、中期的な事業環境は良好といえます。
初配当の実施も含め、成長と株主還元の両立がどこまで進むかが今後の注目点となるでしょう。
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2024年11月25日に掲載されたBeeX<4270>の企業分析
元レポートは下記の通りです。
BeeX<4270>レポートPDF
出典元:FISCO
BeeX〈4270〉|マルチクラウド需要を追い風に過去最高益 SAPクラウド移行で業界をリード
BeeX(ビーエックス)は、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支えるクラウドテクノロジー企業です。
SAPシステムのクラウド化を中心に、マルチクラウドコンサルティング・クラウド移行支援・運用保守などをワンストップで提供。
2025年2月期上期には過去最高の売上高と利益を達成し、クラウド化需要の拡大を背景に高成長を維持しています。
今後も契約拡大や高付加価値サービスの拡充を軸に、さらなる業績拡大が見込まれます。
会社概要
BeeXは、クラウドテクノロジーに特化した独立系企業で、SAPシステムのクラウド移行を事業の核としています。
2025年2月期第2四半期末時点で、本社は東京都中央区銀座にあり、従業員数は175名、総資産は4,487百万円。
クラウド業界における「マルチクラウド対応力」と「高度な技術認定取得」が強みで、複数のクラウドベンダーと連携しながら顧客に最適なクラウド環境を構築しています。
事業概要と強み
BeeXの主力事業はクラウドソリューション事業の単一セグメントで、主に以下の4分野を展開しています。
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マルチクラウド利用コンサルティング
顧客のクラウド活用戦略を設計し、最適な構成を提案。 -
クラウドインテグレーション(構築・移行)
SAPを中心とした企業システムをクラウドへ移行。 -
クラウドライセンスリセール
AWSやMicrosoft Azureなどのクラウドライセンスを再販。 -
MSP(監視・保守運用)
運用管理・セキュリティ監視・性能最適化などを包括的にサポート。
特に、SAPシステムのクラウド移行支援においては国内トップクラスの実績を誇り、AWSやMicrosoft Azureの認定パートナーとして、多様な業種の大手企業と長期的な取引関係を築いています。
認定・提携実績と技術基盤
BeeXは創業以来、世界的クラウドベンダーとのパートナーシップを拡大してきました。
以下はその主要な認定・提携の実績です。
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2017年10月:Microsoft Partner Network Silverクラウドプラットフォーム認定
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2017年11月:AWS SAPコンピテンシー認定取得
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2018年 2月:TIS株式会社と資本業務提携
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2018年 8月:NTTデータと資本業務提携
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2020年 2月:AWSマネージドサービスプロバイダ(MSP)認定取得
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2024年 2月:AWSプレミアティアサービスパートナー(最上位)認定取得
これらの認定により、BeeXはマルチクラウド環境での構築・運用を可能にする数少ない企業として高い信頼を得ています。
業績動向
2025年2月期上期(2024年8月期まで)の業績は、売上高・営業利益ともに過去最高を更新しました。
| 指標 | 前年同期比 |
|---|---|
| 売上高 | +24.9% |
| 売上総利益 | +20.6% |
| 販管費 | +20.0% |
| 営業利益 | +21.4% |
| 中間純利益 | +21.0% |
営業利益率はわずかに0.2ポイント低下しましたが、これは人員増による人件費増が要因であり、事業拡大に伴う前向きな投資と捉えられます。
SAPクラウド化支援やマネージドサービスの需要増が寄与し、高成長基調を維持しています。
今後の見通し
2025年2月期通期では、小幅ながら増益予想を据え置き。
ただし、上期の業績が想定を上回っており、上振れ余地も十分にあると見られます。
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DX需要の拡大
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SAPクラウド化移行の本格化
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マルチクラウド運用支援の引き合い増加
これらが継続的な成長ドライバーとして期待されます。
BeeXは今後も顧客基盤の拡大と高付加価値サービスの強化を軸に成長を続ける方針で、M&Aや戦略的アライアンスも積極的に検討しています。
まとめ
BeeXは、クラウドソリューションの専門企業として、SAPを中心としたクラウド移行支援のリーディングカンパニーへと成長を続けています。
高い技術力と豊富なパートナー認定を背景に、安定的な顧客基盤と高収益モデルを確立。今後もDX・クラウド市場拡大の波に乗り、さらなる成長が見込まれる注目企業です。
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