1. 全体動向
5月第3週の東京株式市場は、米国債の格付け引き下げや円高進行といった海外リスクが重くのしかかり、日経平均は 4日連続の下落 を記録しました。市場では米国の信用リスクや長期金利の上昇への警戒が広がり、売り圧力が継続。投資家心理を左右する材料が少ない中で、下支えとなる押し目買いも散見されながらも、指数は軟調さを脱せませんでした。
2. 日別市況まとめ
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5/19(月)|4日続落、米国債格下げ影響で売り優勢
日経平均:3万7498円63銭(−255円09銭 / −0.68%)
→ ムーディーズが米国債の格付けを「Aaa」から「Aa1」に引き下げたことで市場心理が悪化。
→ 為替も円高方向に振れ、輸出株に逆風。
→ ただし押し目買いも入り、下値が極端には伸びなかった。 -
5/20(火)|小幅反発、米株高に連動
日経平均:3万7529円49銭(+30円86銭 / +0.08%)
→ 米株高・金利低下を追い風に、買戻しが優勢。
→ ただし上値には慎重さもあり、伸びは限定的。
→ 為替市場での円高警戒も材料視された。 -
5/21(水)|続落、財務相会談控え持ち高整理
日経平均:3万7298円98銭(−230円51銭 / −0.61%)
→ G7会議・日米財務相会談を前に、ポジション調整売りが目立つ。
→ 円高傾向も追い風とはならず。 -
5/22(木)|続落、3万7000円割れの節目崩れ
日経平均:3万6985円87銭(−313円11銭 / −0.84%)
→ 米国金利上昇、米国債リスク、円高進行が重し。
→ 半導体株など輸出・成長株中心に売られ、指数を押し下げ。
→ 医薬品株やディフェンシブ株に買いが入る場面もあったが、相場全体の流れは弱含み。
3. 初心者向け解説
① 米国債格付け引き下げとは?
格付け会社は「この国や企業はどのくらい安全にお金を返せるか」を評価してランクをつけます。
今回の米国債引き下げは、世界で一番信用力が高いとされる米国に対して「借金が膨らんで将来返済にリスクがあるかも」と判断されたことを意味します。
→ これが発表されると、投資家は「安全じゃないなら米国債を売ろう」と動き、米国債の金利が上昇。
→ 金利が上がると「株を持ってリスクを取るより、安全な債券の方がいい」という流れが強まって株が売られやすくなります。
② 為替(円高・円安)が株式に与える影響
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円高:1ドル換算で得られる収益が目減り → 輸出企業には逆風
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円安:逆に収益が膨らむ可能性 → 輸出企業には追い風
株式市場では、円高=輸出企業にマイナス と理解しておけば基本OKです。
例えばトヨタが1ドルで車を売っても、為替が円高に振れると「日本円に換算した利益」が減ってしまいます。
そのため円高になると自動車や電子部品など輸出関連株は売られる傾向があります。
③ 投資家心理とポジション調整
重要イベント(G7/財務相会談)を前に、投資家は警戒を強め、ポジションを軽くする(持ち高整理)動きが出やすいです。
このような「割れないように売る動き」が、下降トレンドを加速させることもあります。
④ディフェンシブ銘柄とは?
景気に左右されにくい業種(医薬品・食品・電力など)を指します。
この週は不安定な地合いの中、医薬品株が上昇しました。投資家が「安全そうなところ」にお金を逃がした結果です。
4.総括
2005年5月第3週の東京市場は、外部要因(米国債格下げ・米金利上昇・円高)に翻弄される1週間でした。
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日経平均は3万7000円を割り込み、投資家心理の弱さが露呈。
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主力の半導体や輸出株は売られ、防御的な医薬品株が買われるなど、「守りに入る相場展開」でした。
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今後も米国の金利・為替動向、さらにG7での政策協議が重要なカギとなりそうです。
初心者の方へ
株式市場は国内要因だけではなく、海外の金利や格付け、為替などによっても大きく揺さぶられます。特に「米国の動き」は日本市場に直結します。
短期的な値動きに振り回されすぎず、イベントスケジュールや海外情勢も確認しながら投資判断を行うことが大切です。
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